Archive

Nov 2013

男手一つで娘を育てる話

On
by 卓 坂牛

%E5%86%99%E7%9C%9F131111huino.JPG
小説はあまり読まないけれど、疲れた頭のエンジンをかけるために積んである。そんな一冊藤野恵美『ハルさん』(2007)創元推理文庫2013。土日ともに大学で過ごした疲れた体には丁度いい。妻を亡くして男手一つで育てられた娘が結婚して終わると言うテレビドラマにありそうな話。一章ずつが娘の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学時代と言う紙芝居のようなストーリー展開である。それぞれの時代におこる事件やら娘のしぐさやら考えることがわが子のそれにもちょっと似ているところが面白いやら懐かしいやら。

イベント続きの週末

On
by 卓 坂牛

%E5%86%99%E7%9C%9F131111kouryuu.JPG
●理科大建築学科のOBOG交流会
土曜日は理科大一部生の卒論発表会。他の研究室発表を聞いている時は気が楽だけれど自分の研究室の番になると冷や冷やである。僕の研究室の一部生3人はなんとか時間内に発表が終わりほっとした。
日曜日は建築学科のOBOGと現役の交流会。一つのキャリア教育。建築関係全域から多くの先輩がいらして学生は恵まれている。
夜は信大のOBの一人立野君が結婚してミヤンマー転勤ということでお祝いの会。OBOG10人くらいが集まった。皆元気そうで何より。
131111tateno.JPG
●明日ミヤンマーに旅立つ立野君夫妻行ってらっしゃい

配偶者が書展を行います

On
by 卓 坂牛

131100seishin50-2.jpg
私の配偶者が今月19日から24日まで銀座大黒屋ギャラリー(鳩居堂の二つ隣のビルの6階)でお弟子さんといっしょに書の展覧会をいたします。師匠である故上條信山、市澤静山、両巨匠の書も賛助出品していただけるようです。銀座にお越しの際は是非お立ち寄りいただければ幸いです。なにとぞよろしくお願いいたします。
131107sehin250-2.jpg

ルイザ・ランブリの写真

On
by 卓 坂牛

%E5%86%99%E7%9C%9F131108%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AA.JPG
「ジュゼッペ・テラーニをはじめ、ル・コルビュジエ、ルイス・バラガン、SANAAなどによる近・現代建築の名作とされる作品を、独自の視点で撮影した写真作品で知られるルイザ・ランブリ」(ここまではギャラリー小柳の紹介分引用)なる写真家がいる。イタリアコモ生まれで1969年生まれ僕より10若い。だいぶ前に彼の作品集を買って机の上に置いてたまに眺めていたのだが、今まであまり気に留めていなかった写真に今日は目が向いた。それはオスカー・ニーマイヤーの有名なPlacio do Itamaratyである。先日本物を見てきたのだがこんな場所があっただろうかと不思議に思ってよーく見ていたらどの部分であるかが分かった。ニーマイヤー得意のコンクリートの大スパンを単純な梁の連続で作った1階部分でありその大理石の壁面に落ちる光を露出を変えて撮っているようである。
彼の建築写真は建築の部分を何気なく切り取る。ドアが開いていたり、窓が透けて向こう側が見えたり、建築をとっていると言うより、そこにいたら感じるであろう気分を焼きつけている。だからそう簡単にその写真が誰のどの建築であるかは分からない。でもそこに行ったことがある人が彼と同じ気分をそこで持っていたらそれが再現されるし、仮に行ったことが無くても彼の気分を想像の上で共感できればみずみずしい気分が湧きあがるのである。

日本にサイクリング文化を根付かそう!

On
by 卓 坂牛

%E5%86%99%E7%9C%9F131107rene.JPG
年末のワークショップに向けてレネから4つのテキストが送られてきた。主にコペンハーゲンのサイクリング文化の歴史と現在に至る努力と現状である。ここには結構びっくりするような数字が並ぶ。・通勤通学の37%の人は自転車を利用する。
・350キロの自転車専用レーンが整備済み
・自転車に乗る人の80%は安全を感じている
・交差点での自動車の止まる位置は自転車より5メートル後ろ。
・自転車用信号は車用に比べ4秒早く緑が点灯する。
・信号機は自転車が時速20キロで走りスムーズに流れるように点滅する
彼らはどのようにして既存の道路に自転車専用レーンを作ったのだろうか?テキストによると彼らは4レーンある自動車道路の2レーンを自動車用に残し残りの2レーンをそれぞれ自転車用と歩行者用に2分したようである。渋滞しないのかと思うのだがそれは自動車に乗る人が減ればその分渋滞も減ると言うわけである。通勤通学者の自転車使用率が多くの国では1~2%なのに比べ37%とは驚異的である。
さて日本の大都市でどこまで自転車通勤通学が達成できるだろうか?
未だ雲をつかむような話である。先ず思いつくのは職住接近でなければ、、、、安全を考えれば自転車専用レーンが必要だろうし、、、、、我が家の傍の道には自転車マークが出ているがそれは歩道の一部。これでは歩行者とぶつかりそうでやはり危ない、、、、、
ただ最近は結構多くの自転車通勤者と思われる人が平日の朝新宿通りを疾走している。期待できるような気がする。
このエネルギーの無い時代に現状の使用量を前提とした議論ばかりではなく、使わないで楽しく豊かになることを考えるのも重要である。
￿￿

ミクロの決死圏

On
by 卓 坂牛

i131108%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%81%8Amg30e5c7cbzik2zj%5B1%5D.jpg
TUSフォーラムなる理科大の叡智を結集した医療と工学の接点を探求するフォーラムが開かれ、理科大の理事長、学長、教授陣、来賓など計10名以上のレクチャーが12時から夕方6時まで続いた。都合ですべてを聞くことはできなかったが、トップランナーのお話は実に面白いし興味深い。医療と工学の接点は工学でも最もハイテクな分野だろうし、当然ミクロの世界でもあり、我々建築屋からすると同じ工学といえども異次元の世界に侵入したような興奮を覚える。特に驚いたのは東大片岡一則先生のお話。最初に登場したスライドが昔懐かしい「ミクロの決死圏」の映画ポスターである。この映画は医者と潜水艦をミクロサイズに小さくして病気の人体に入り込み病巣を駆除するというものである。なんでこんなポスターを見せてくれたかというと、現代医療ではミクロサイズの病気駆除マシンが作られているという。もちろんそれは機械ではなく、分子なのである。しかしその分子が体の中である目的を与えられてその通り動くというのであるから驚きである。こう考えると建築とは実に泥っぽい。

キュレターなるもの

On
by 卓 坂牛

1311005%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8A%E3%82%8B%E3%82%8B%E3%82%8A%E3%81%A3%E3%81%B2.JPG
ハンス・ウルリッヒ・オブリスト『キュレーション―「現代アート」をつくったキュレーターたち』フィルムアート社2013は著者が20世紀のキュレーター11人にインタビューした記録である。これを読むと現代アートは彼らが作り上げてきたということがよく分かる。
その昔西村清和さんの『アートの哲学』を読んだ時にちょっとびっくりした覚えがある。現代アートはその文脈を勉強しないとその価値は分からないと書いてあったからである。つまり現代アートとは見た目の判断は困難で、誰かが作った文脈地図に価値も意味も記されているというのだ。言い換えれば誰かが「これはこういう理由でいいのだ」と宣言したからそのアートは価値を持つのであり、宣言されないものは無意味なのである。そしてその宣言をしてきた人たちがキュレーターという人種なのである。
ではキュレーターなるもの自分の勝手な好みで宣言できるのかと言えばそんなことも無い。宣言したアートを誰も相手にしてくれなければそこでキュレーター生命は終わる。だから人々の指向と時代の進行方向の交わるポイントに矢を射るのが彼らの仕事であり能力なのである。伸るか反るかのぎりぎりのところで彼らも生きているのである。

CAの観察

On
by 卓 坂牛

銀行のマガジンラックの雑誌にもとキャビンアテンダントで現在はコンサル業を営む方のエッセイが載っていた。それには「人は第二印象が重要」ということが書かれていた。第一印象が重要とはよく聞くが第二印象とはどういうことか?著者曰くキャビンアテンダントをしているとぱっと見で人は分からず、実際に話をしてみてその人がすっと分かると言うのである。そしてその時に重要なのは声と姿勢と顔だそうだ。相手の目を見て短い時間でも話をするとその三つに相手の様々な側面が現れてくるのだと言う。確かにそういわれてみるとそういう気もする。それらにはその人の自信や優しさ、誠実さや強さ、誇りや謙虚さが出るような気がする。特に見習いたいと思えるような人にはそうしたもののバランスが程よく感じられるものである。さすが人を見る職業の人の言葉だなと思った。

今年の日展を見ながら思う

On
by 卓 坂牛

今年の日展は先日の朝日の記事の影響で客足が減るかとも思ったが、まあ例年並み。あまり時間が無くて駆け足で見た。久々に伝統的な美術を見た。朝日の記事には少々びっくりもしたけれど、ああいう話は書道以外の洋画、日本画の世界にもおおかれすくなかれあるようだ。そもそも芸術の賞と言うものは審査員という特権階級を作ることにその目的があるともいえる。それによって絶対的な業界秩序ができあがり雲のようなあやふやアートの世界にある価値基準を作るのである。
トップクラスのアーテイストと、はしにも棒にもかからないアーティストは誰が見ても一目瞭然だけれど、その中間のボリュームゾーンの甲乙はつけがたい、それを派閥で人数分けするのはひどい話だが自然の成り行きだったのかもしれない。しかしそういうことでランク付けされるのもたまったものではないから特権階級による審査なんていうものはさっさとやめて、かなり多くの人数(10000人くらい)で投票するといいと思う。一回でも入選した人たちが投票権を持ちその中から10000人を無作為抽出してその年の審査員になるのである。こうなるとかなりの偶然性も入りそして民主的でもある。
夕方ヴァイオリンの恩師山口元男先生の17回忌。懐かしい方々と久々にお会いする。

川村さんからモエレ沼の本をいただいた

On
by 卓 坂牛

131102%E5%8B%87%E9%87%8E%E5%8F%A3.JPG
河村純一さんから河村純一、斉藤浩二著、戸矢晃一構成『建設ドキュメント1998-イサム・ノグチとモエレ沼公園』学芸出版社2013を頂いた。その中にガラスのピラミッドの話が載っていた。13歳年下の友人であるペイがルーブルに作ったガラスのピラミッドを意識して、イサムはこのピラミッドを「僕のガラスのピラミッド」と呼んでいたと言う。夏に初めて訪れた時にピラミッドと聞いて行ったのだがどうにも不思議な形をしていると思ったが、彫刻家のこだわりがここにあるということが読んでみて分かった。
モエレの巨大さは行くまではそれほど魅力的ではなかったのだが、行って見ると感ずるものがある。