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Aug 2015

ドイツ留学する二人の送別会

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by 卓 坂牛

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茨城町小学校再生計画の打ち合わせをしてから、ドイツに留学する二人の送別会を研究室で行う。一人は今秋からミュンヘン近くの大学のランドスケープ学科にもう一人はこの秋からはドイツでインターンシップを行い来秋から留学を計画中。これで今年度坂牛研からは5人が海外に羽ばたくことになる。結構なことである。

ノーベル経済学賞はノーベル賞ではない

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by 卓 坂牛

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新宿で学生が出品したアート作品を見てから病院へ。会える時に親父に会っておかねば。気がつくと口もきけなくなっていたというのがお袋の時の後悔である。しかし病室に入るとすやすやと眠っており仕方なく本を開く。藤井聡『〈凡庸〉という悪魔—21世紀の全体主義』晶文社2015を読む。驚きの新事実。ノーベル経済学賞の正式名称はアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞でこれはノーベル賞ではないのである。
なぜノーベルが金儲け理論に賞を与えるのかが不思議だったのだがこれで合点がいった。この賞は経済の自由化を目指し、国家介入を排除するために金融機関が勝手に新自由主義経済学者の地位をあげてプロパガンダするためのものなのである。
目が覚めた親父にそのことを話すと頷いていた。金曜日なので「デモに行ってくると言う」と「我が息子のその心意気が嬉しい」とにこにこしていた。国会前は人まだ閑散としており、首相官邸前に行って少々様子見。阿佐ヶ谷で友人と会う。

本当かい?

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by 卓 坂牛

夕方末広町での打ち合わせの後御茶ノ水まで歩き親父が入院している三楽病院に面会に行く。部屋に入るなりとても元気に話し始めた。一昨日の疲れ果てた姿とは大違いで驚いたし少しほっとした。
先日ポツダム宣言を英語で読んだ話をしたら勢いはなしは親父が玉音放送を聞いた時の話となった。「何言ってんだか正直言ってよくわからなかった。勝ったんだか負けたんだか???」どこで聞いていたのかとくと郷里の青森だという。あれ??その時親父は20歳。大学は行ってなかったの?と聞くと「大空襲で大学は閉じていたという」そうなんだ。焼けちゃったの?と聞くと焼け野原の中に東大はポツンと残っていたという。ここだけ戦後の教育のために意図的に残して空襲したのかと聞くとそうではない。連合軍は東大を占領した時の本部にしようと計画していたとのこと。ところがマッカーサーが来た時当時の東大総長南原が頼み込み東大を大学として生かしてもらったのだそうだ。銀杏並木は焼け野原の中のオアシスだったのだそうだ。「よかったね大学に行けて」と行ったら「本当に良かった」と頷いていた。大学がオアシスだと思えるって幸せだ。

開口と目地

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by 卓 坂牛

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千葉の現場は内装に突入。窓まわりのディテールはかなりスッキリと納まった。しなの内装は初めて目地を積極的に入れてみた。なるべく均等にいれないで開口の線をもらい半ば自動的に伸ばしていくという方法をとった。なかなか悪くない。現場はお盆を挟んでいたせいかややスピードが鈍っている。結局アルゼンチンから帰るころに検査だろうか?

親父も90

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by 卓 坂牛

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一昨日親父が家の前で転んで動けなくなったというメールを同居している兄よりもらった。すると次の日その容態が悪くお茶の水の病院に入院したというメールが来た。すぐに兄に電話をして病院に行こうかと問うとその必要はないが明日にでも見舞いに来て元気付けて欲しいと言われた。90にもなると生きる気力があるか否かが大きな問題である。本日大学の用事を終えて病院に夕方行くと個室に移っていて兄が部屋にいた。親父は薄眼を開けているのだがこちらに気づいているのかどうかよく分から無い。「卓だよ」と大きな声を出して顔を近づけると「おお卓か」といつもの返事が返ってきたのでほっとした。しかしその後ほとんど何も話さ無い。兄が帰った後も話はし無いがしばらくこの部屋にいて同じ空気を吸おうと思い本を読み始めた。鶴見俊輔『文章心得帖』ちくま学芸文庫2013。読み始めたら親父のことなど忘れて没頭した。この手の文章指南の本をかなり読んでいるがだいたい得るところが少ない。しかしのこの本はプラクティカルである。
使えると思ったことは三つある。一つは紋切り型を排除せよ。そして紋切り型を避ける方法その1形容詞を使わず動詞で語れ。その2形容詞の最上級は避けよ。その3漢語の名詞には注意せよ。二つ目は文章を書くことは選ぶこと。書きたいことは山ほどあるが何を書か無いかがポイントである。そして3つ目は書きたいことの束をそれぞれとても小さな紙に書いてみること。大きな紙に書くと不要なことを含んでしまうからだそうだ。
なるほどと思うことばかり、これは明日から実行できそうである。そして実にこのことは建築にも言えそうである。極端な形(最上級)を使わ無い。人の動きを考えよ。やりたいことを減らす。などである。もしかすると文章を書くことと建築の設計をすることはかなり近いことなのである。それが証拠に設計のうまい人はだいたい文章もうまいものである。などと考えているうちに面会時間をとうに過ぎているのに気がついた。では「親父よまた明後日」。

ポツダム宣言を読もう

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by 卓 坂牛

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日本の総理大臣がポツダム宣言を読んだことも無いということが話題になったが、自分自身高校の教科書に載っていたかどうかも記憶の彼方である。やはり終戦記念日も過ぎて一度は読んでおかねばと思い大学に行く地下鉄の中で読み始めたら金町に着く前に読み終わった。13項目からなるこの宣言は実に簡明なものである。英語で読んでも20 分はかから無い。
宣言の第二項はアメリカとイギリスと中国が日本を脅すくだりである。この部分の「イギリス」国名の表記が面白い。第一項ではGreat Britainと記されていたものが脅し文句になるとthe British Empireになっており、本国だけじゃ無いぞ世界のイギリスが日本に最後の打撃をくらわすべく着々と兵力を増強しているのだぞと言っているわけである。
このポツダム宣言は7月26日出されたものの、日本はこれを「黙殺するのみである」と当時の鈴木首相はコメントしそれがignore it entirely あるいはrejectと訳され報じられたのである。
そして8月15日ポツダム宣言を受け入れ戦争は終わった。

批評メディア論

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by 卓 坂牛

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大澤聡『批評メディア論—戦前期日本の論壇と文壇』岩波書店2015 著者の博士論文の第一部を基礎とした著述だそうだ。博士論文が元になった本は例外なく面白いし充実している。という仮説は今回も覆されず、やはり面白かった。論壇とか文壇とかとはほとんど縁がなく、たまに文藝春秋を読むくらいである。一体論壇とか文壇は何のために、誰のためにあるのかというのがこの本を読んでみたくなったきっかけであるが、なるほどと思わせた。
つまり論壇と呼ばれる、政治経済などおよそ文学以外の論考について批評を加える場が論壇である。文壇は文学作品に対するそれである。そしてさらにそれらの批評を批評する論壇時評、文壇時評が登場する。論壇、文壇の批評の生成理由の一つは、あまり多い著作物をすべて読むわけにいかない読者のための時間節約のためのガイドブックなのである。そして二つ目の理由は多くの著作に価値付けする場として論壇文壇があり、その価値付けを価値づける場として時評が存在する。ということは時評を含めて論壇文壇は悪く言えば価値付けする利権を守るための集団の場と言い換えることもできよう。特に時評を書く人間の権力は本人が意識に関わらず相当なものになるだろう。下手をするそうした場において権利の囲い込みが行われていた可能性は大いにある。特に芸術が関わる文壇においては大いに可能性ありである。
今大騒ぎになっているグラフィックデザインの世界の権利の囲い込みは今に始まったことでもないのかもしれない。
ところでこの本の装丁中野さんなんだ。いかにもという感じです。

コールハースの要素本

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by 卓 坂牛

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日建をやめて住宅を作り始めた時に考えたことは、構造的な部位では無い建築要素で最も重要なものを抽出してそれを建築のテーマにしようということだった。そこで浮上したのは開口部。開口部は最も使う人との関係が強いと思った。それ以来建築の構成要素に興味があり、前期の集合住宅課題で私の班は地域の人が集う「屋根」と住人が会話する「廊下」と周囲に呼応した「窓」を設計することを課題とした。
そしたら先日後期の課題を議論していて高橋堅さんがコールハースの建築の要素本が面白いというので買って眺めている。15の要素の系譜学である。その中には屋根も廊下も窓も含まれている。おそらく殆どハーバードの学生が作っているのだろう。内容はそんなに新鮮とも思え無いし、言葉の水準がめちゃくちゃだけれどちょっとしたアイデア集として使えるかも。

お盆にバルセロナからの来客

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by 卓 坂牛

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先日バルセロナで会った、UPCの先生が日本に来るというので神楽坂で会って街を少し散歩して食事をした。盆休みというのに神楽坂は結構な混み具合。この街は不思議。ディビッド・スチュワート夫妻もそこにジョイン。その後我が家でデザートとコーヒーという予定のところに、高校の友人から「飲まない?」とのメールが来たので拙宅にお呼びした。皆で食後の一杯を楽しんだ。

恩師と対談

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by 卓 坂牛

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私の新著の最後に恩師との対談を入れたく本日坂本先生に時間をとっていただきました。編集者が同行すると堅苦しくなるので、私一人でレコーダーを三つ持って参上しました。編集者からは1時間半お話しきてくださいと言われ、かなり緊張して2時から話を始めました。しかし終わると5時。編集者がいればうまがガイドしてくれたのでしょうが、だらだらととりとめもなくお話しさせていただきました。さすがに終わるとフラフラでしたがおわってから事務所スタッフの方々達とコヒー飲んで雑談をして6時頃事務所を後にしました。とても実りある、あるいは先生が本音で語ってくれた対談でした。これをどこまで活字にするか楽しみです。ボスを4時間監禁してスタッフの方にはお忙しいところ恐縮です。ありがとうございました。