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Nov 2015

スタイルが変わる時

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by 卓 坂牛

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今日は多くのことが片付いた。近隣工事に対する要望書の作成(マンション理事長の仕事)新しい事務所の契約(社長の代理の仕事)、電話のこと(同じく)、コピーのこと(大学教員の仕事)、バングラデシュでのプレゼンパワポのこと(建築家の仕事)を走り回って電話しまくって片付けた。ほとんどが事務仕事だけれどこういう仕事が片付くと頭の中でもやもやした霧みたいのが晴れる。そこで風呂につかりゆっくり読書。山本貴光『文体の科学』新潮社2014。ここでいう文体は一般に言う文体ではない。一般のそれが文の意味内容、リズム、音韻などから生成されるスタイルを言うのに対して、ここでの文体はそれに加えて配置された文章の視覚もこみで、すなわち物質としての文体を含意している。そして物質と意味の弁証法がどのように具体的な書物において行われているかを探るのがこの書の目的である。
スタイルは言わずものがな、建築学でも大きな考察対象である。いや建築に限らず、およそ表現対象はすべてである。そして最近ずーっと考えているのはスタイルは何時何によって変わるのかということである。
村上春樹は自分の文章を英訳して和訳するという込み入ったやり方で新しい文体を作った。そういう一人の天才が時代を乗り越えるということはあるだろう。しかしそれは常にそうなのだろうか?ここでいう文体は意味も視覚も含意しているとなると実は書のようなものがかなりそれに近い気もするのだが、そう考えるとこれも天才が何かを作っている。では建築はどうだろうか?やはり天才なのだろうか?

茨城町廃校利用計画

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by 卓 坂牛

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茨城町の廃校利用計画プレゼンテーションを町役場で行った。2時から2時間。理科大坂牛研究室の院生年生も徹夜で作った50分の1模型を前に、説明。町づくり課、政策推進課、などの方々から意見をいただく。
今年は2年目で、5つあった小学校を一つに絞り、市民の意見、内閣府の地方創生の考え方とも整合させながらここまで作り込んだ。年度末には基本構想をまとめる段階にしたいところ。

男女性問題

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by 卓 坂牛

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ところでその昔2丁目によく飲みに行ったものである。この本はゲイである著者砂川秀樹氏が東大に提出した博士論文を加筆修正したものである。よって概念規定がとても正確で勉強になる。例えばゲイが行くゲイバーとノンケが行くゲイバーは呼び名も違えば中身も違う。それは想像に難くない。僕はゲイではないから僕が行っていたバーは後者である。それは「観光バー」と呼ばれるのだそうだ。そうだったんだ!なんていうことを今更知った。さて2丁目独特の建築というものがあるのだろうか???

片付け

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by 卓 坂牛

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要は、片付けの二つの原則。①捨てる。②使ったものは元に戻す。③捨てる時は手にとってみてときめくかで決める。
ということが書いてあるが、おそらく僕はそのほとんどを実行しているので学ぶことはなかった。唯一この人の言うことでやっていないのは本は捨てない。それは仕事柄仕方ない。もう一度読むかもしれない本は絶対読まないと言うのはこの著者であり、我々は使うので捨てない。その他のものはもうめちゃくちゃ捨てる。困ったり、不便したりもするが構わず捨てる。
だったらこんな本読む必要はない。確かに。アマゾンはこういうリスクがある。

中野事務所に缶詰

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by 卓 坂牛

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さてこの本の宣伝としてはじめにの文章を載せておこう。
大学を出てプロとして図面を描くようになった時に最初に言われたことは
「図面で一番重要なことはレイアウト!」だった。
それは寝耳に水。そんなことは大学で誰も教えてくれなかったからだ。残念ながら30年前に教えてくれなかったことは今でも教えられていない。加えてレイアウトが最重要であることも変わってはいない。
レイアウトを大学で教えない理由は、教える原理がきちんと定まっていないからである。何を教えたらいいのか先生もよくわかっていないからである。加えて工学部にある建築学科では教えることが多すぎてこういう大事なことを教える時間がないからである。
そこで背水の陣で学生からプロまで、レイアウトを自習できる本を作ることにした。自習できるということは原理をきちんと飲み込めてそれを実践できるということである。その意味で本書はその辺にあるグッドレイアウト集ではないしレイアウト原則集でもない。
この本は二章構成である。第一章は論理、第二章はその実践を学ぶように作られている。第一章では原理としてレイアウトの四つの方法とその効果をお示しする。第二章ではその方法を用いてプロのグラフィックデザイナーが建築家の作ったプレゼンボードを作り直すという荒技を紹介する。この二つを学ぶことであなたのプレゼンの感覚は飛躍的に向上するはずである。
学生のみならず、プロも含めて彼らのプレゼンボード(図面)を見ながら「惜しい」と思うことが多い。内容はいいのに表現がダメなのである。作っている方は内容がよければいいだろうと思っている節がある。しかしそれは大きな間違いである。表現が稚拙な人は設計者としての能力を疑われるものである。ゆえに『建築プレゼンのグラフィックデザイン』の習得は設計者として生きていくための最初のステップなのである。

山岳建築から学ぶ

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by 卓 坂牛

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先日ゲストクリティークに来てくれた多木陽介さんが編訳した本がある。『石造りよのように柔軟な—北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略』という本である。実は出版された時に編集した鹿島出版会の川尻さんに献本していただいていたのだがきちんと読んではいなかった。
先日多木さんと会ってこのお話を少し聞いて興味が湧き通読した。この本はトリノ工科大学の教授2名の調査に端を発する。グローバル建築が世界を均一に塗りこめてきたことへの批判としてイタリア山岳都市をつぶさに観察し、そこから学ぶことがあるという主張の基礎観察である。この山岳建築の一つのタイプに一階が動物の小屋、二階が人の住まい、三階が干し草置き場という家があり、冬になると寒いので人は動物の小屋で動物の発熱で暖を取って生活をするという話を多木さんがしてくれた。本を見ると確かにそういう写真まで載っていた。現代の日本人が果たしてここまで出来るかどうかは別として、我々が再度こうした建築から学ぶことが多々有ることを教えてくれる良き教科書である。

岩床

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by 卓 坂牛

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鶴見俊輔の『文章心得帳』を読んでから鶴見のファンになった。中島岳志が鶴見俊輔を岩床と呼び、ぶれない保守だとして鶴見の対談集を編んだ(鶴見俊輔『昭和を語るー鶴見俊輔座談ー』晶文社2015)。そして中島曰く鶴見の岩床は表層の思想なんてものでは無くて態度と人柄と言う。僕はまだ思想を信じたいけれど、あるところでそうではないという気持ちになりそうな気もしている。果たして自分には岩床があるだろうかと心配になる。自分の岩床とは何か。
2重人格でもいいと思っている自分の中にそれらを統括するメタの自分がいてそれが岩床になればいいなと思うのだが。

無意識の流用

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by 卓 坂牛

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今日の一時間設計は篠原一男のハウスインヨコハマ。久しぶりにその写真をみていてドキッとした。ファサードについている出窓がリーテム東京工場のファサードの出窓と同じだった。自分が無意識の内に先生のデザインを使っていたわけである。設計後10年してから気がついた。

さあ年内出版に

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by 卓 坂牛

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辺見君のあとがきがついにできた。ご苦労様やっと出版が見えてきた。さてところで、問題はタイトルである。Concrete and Culture ──Material History 普通に訳せば、コンクリートと文化となる。しかしこのタイトルだと「コンクリート」と「文化」が切れ切れになってしまう。天内さんの案では
『コンクリートと文化──とある素材のモノ語り』
『コンクリートと文化──素材に関する10の物語』と章の数を入れるのも.
『コンクリートの文化史──言葉と物質』
『コンクリート──物質の文化的価値』
僕としてはカタカナで
『コンリクリート・カルチャー──近代コンクリートの生産・消費・政治』と考えているがどうだろうか?

富士山

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by 卓 坂牛

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午後富士吉田製氷工場コンヴァージョン現場に行く。学生たちが床に出っ張るコンクリートの削り工事をやっている。今日は快晴で初めて富士山の全貌を拝めた。逆光だがこの形は世界でも類を見ない。斎藤さんと来年の話をする。製氷工場の真ん前にある朽ちたマンションを外国人バックパッカー向けに改装するリノベプロジェクトを行うことに決定。テーマは美しい廃墟。これは萌える。夜大学に戻り、2年性の合評会。課題は新しい大学建築。レベルの高い案が多くてとてもうれしい。