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Dec 2015

学生のノリで社会人にならないように

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by 卓 坂牛

自分の気持ちがわかったのだが、、、、研究室の学生でも、あるいは研究室所属前の学生でも学生は結局お金払って大学来ているお客さん。と信州大学の時に散々言われたので今でもそう思っている節がある。なので報連相が遅い奴がいてもまあほっとけと思う。なのだが、今日よく知った設計事務所にかなり私との信頼関係のもとに推薦を頼まれ、とある研究室の学生を推薦したのだがその学生から面接の報告が全くなかったのでえらく怒った。おまえそんなことだとそこで働き始めてもあっという間にクビだぞと言った。事務所という場所は金を払って行く場所ではなく、金をもらう場所なのである。全然立場が違う。よほどのパワハラ先生以外は大学なんてまあ超生ぬるい温床。ハラスメントが厳しくなっている昨今、先生は怖くて何もできない。何もできない=何もしないになりかねない。学生はそういう状態にあることを肝に命じたほうがいい。社会に出て学生やってたら、僕なら即刻クビにする。

けっこう古い

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by 卓 坂牛

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レイナー・バンハム『建築タイプの歴史』は近代まで建築史において王宮と教会しか登場しないのにそれ以降数多くのビルディングタイプが登場それらを説明する本である。産業革命と近代市民社会が社会の資産構造を平準化して、社会の分業体制を作ったことが様々な新たな建築タイプを作ったということが書いてあるはずなのだが、よくよく読んでみると、けっこうどのビグディングタイプもオリジンは中世にあったりするから予想を大きく外れる。もちろん近代に入りそのオリジンはドラスティックに変貌するのだがそれでもあるはある。まるっきり新たに登場するのは駅くらいである。

年末恒例本のまとめ買い

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by 卓 坂牛

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午前中博士論文審査を行い、その足で森美術館に行き村上隆を見てhttp://ofda.jp/column/から年末恒例本の買いだめで神保町に。まずは南洋堂ではウィーン、ドイツの本を物色したが、古い建築家のものしかなかった。でもワーグナー、オルブリッヒを。ラテンアメリカ、スペイン系も新しいものはあまりなく比較的、これがあったら便利、あるいは学生のお勉強のためにあったらいいなという本を選ぶ。そのあと小宮山書店で写真、芸術、ファッションの本を物色。写真ではティルマンス、ガルスキーなど。ファッションではパープルのアンソロジー。アートジャコメッティからリヒターまでいろいろ。なんやかんやで80冊くらいにはなっただろうか。3時間集中して本を選んで疲れた。一緒に行った中川君とコーヒーを呑んで別れる。南洋堂の週間売れ行きランキングでグラフィック本は1位という嬉しい誤算。
やっぱりハウツー本の体裁の方が売れるということがよくわかった。この本はヴィジュアルプレゼンテーションの体系化の原理を追求した書であり、本当は研究書なのである。しかしそれをそう見せると売れないので泣く泣くハウツー本に見せている。「高々ハウツー本でしょ。建築にはもっと大事なことがあるのだよ」というご批判は甘んじて受けるとしても、そういう方にこそその内容を瞥見していただければ幸いである。

システム2で考える

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by 卓 坂牛

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ダニエル•カーネマン村井章子訳『ファスト&スロー』早川書房2014(2011)を通読。人間にはファストに考えるシステム1(ヒューリスティック)とスローに考えるシステム2がある。普通人間は思考の省力化のためにシステム1が駆動するのだが、その結果に疑いを持ったり、解決できなくなるとシステム2が動きだす。
昨日までのワークショップでエルンストが言っていたことは、建築の場合、往々にして手がさっさと動いて(システム1)形を作ってしまう。しかしそれはIsmであり、常にシステム2で考えてsuchnessを探究せよと言っていたのである。

実りあるワークショップでした

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by 卓 坂牛

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毎年国際ワークショップの時期は朝から晩(夕食)まで来日した建築家と一週間ほとんどべったり一緒にいるので他の仕事は保留となるし、結構タフである。そして今年のワークショップも今日がファイナルレビュー。ゲストにディビッド・スチュワート先生を呼び実りある結果が得られたことに満足だった。
最後の挨拶でも行ったのだが、今年のワークショップはテーマも少々難しく、果たして学生がうまく理解して消化できるか心配だったが。しかし朝から夕方までもエルンストの実に献身的なエスキスチェックによって彼らのアイデアは見違えるように素晴らしいものとなった。
僕もエルンストから教えられた。一つは建築家は常に観察すること。観察が命ということ。これは自分でも肝に命じていたことであったが。エルンストの強い教えで僕の確信となった。二つ目は問題状況を3次元のドローイングで示すこと。これもやっていそうでやっていない。すぐに模型化しようとするのだが、実はドローイングは瞬間にできることなのである。この二つは学生にも伝わったのではないだろうか。何が問題で何がそれを解決できるのか。分かっているようでできていなかったことである。

富士吉田まちづくり忘年会

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by 卓 坂牛

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富士吉田でお手伝いをしているまちづくりNPOの皆さん、斉藤さん、じゅんさん、もえさん、(うーんもう一人思い出せないごめん)と坂牛研富士吉田チームと荒木町で忘年会。鈴新、コクティルコース。来年もよろしくお願いします。

しぶとい

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by 卓 坂牛

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エルンストはかつての外国人招聘の先生たちと違って朝から晩までエスキスする。だいぶ勝手が違う。彼の設計者魂だと思う。このねちっこさには驚く。今日はウィーン工科大学の博士課程にいる谷さんも来られ3人で発表を聞く。ひとりひとりバラバラだったのが敷地ごとにグループ化して、明後日には6つくらいになるかもしれない。スチュワート先生も来るのであまり長くならないようにしたいところである。

仮説があるのか?

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by 卓 坂牛

3年生の建築空間論の講義は2回講義してそれに関連してグループプレゼンをさせている。そのプレゼンを聞きながら思うのだが、よーく勉強しているけれど単なる知識の羅列で終わるものが多い。なのだが今日は僕の講義より面白いと思うものがいくつかあった。その差はどこにあるかというと「仮説」があるかどうかという点にある。これは今やっている博士論文の審査でも話題になっているのだが、仮説がないと論文の背骨ができないのである。例えば資料の選び方ひとつとっても、仮説があってそれを論証するためにそれは選択されるのであり、珍しい、希少だからという理由からだけで選択されるのではない。
僕はカタルーニャ工科大学で来春博士論文の審査をするのだが、この大学では審査員は公開審査の前に所見を書いて大学に提出する仕組みになっている。その所見表にはすでにhypothesis used(使われている仮説は何か?)という問いが入っている。仮説を論証するのが論文の枠組みとして確立しているのである。仮説を論証するというのは、意匠論のような人文的な枠組みであろうと、構造、設備のような工学的枠組みであろうと必須なのである。

エルンストと話す

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by 卓 坂牛

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毎年この季節には国外の建築家が来てワークショプをやり、1日我が家に招待する。今年はオーストリアの建築家でウィーン工科大学教授のエルンスト・ベネーダ。そして毎年そうなってしまうのだが、連日のワークショップとその後もなんやかんやと一緒にいて毎晩夕食を共にし、一杯やることになる。30年前からの付き合いがまた濃厚に蘇る。新たな問題がここに生まれるときはとても楽しい。

魔法の手帳

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by 卓 坂牛

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昨日日経アーキテクチャーの取材を受けてネットを使った情報発信について聞かれた。
そもそもブログを始めたのは日記帳を持つのが重いから。そもそも日記をつけ始めたのは梅棹貞夫『知的創造の方法』に書いてあるダビンチの魔法の手帳の話に啓発されたから。それは日々の発見を書き留めるノート。だから正確には僕は日々の出来事を備忘録のように書くのではなく発見を書きたいと思っている(発見ないことも多いけれど)。ついでに読んだ本の感想を記しているのは本のエッセンスを忘れないためであり、ブログの検索機能を使って膨大な知識を整理するためである。それを公開にしているのは書き留める内容のレベルを向上させるための自分へのプレッシャー。
発見ノートは高校時代からつけ始めたが写真の発見ノートは89年1月となっている。日建設計に入社して3年目である。丸善の立派なノートを使い始めて心機一転してノートにナンバリングし始めた。それが15年続く。13冊使った。