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May 2017

安藤忠雄と皆川明

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by 卓 坂牛

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先日久々に見た安藤さんの若い頃の作品に不条理を見出した。物の中にある合理では説明のつかない物の体系というものがある。一方今日読んでいた皆川明の『100日WORKSHOP-ミナペルホネンの布地を使って暮らしに空想を取り入れよう』スペースシャワーブックス2017は一見肩の力が抜けた自然と自由を感じるのだが、その実この空想世界の自由というものも不条理ということもできよう。硬い岩山のような不条理と柔らかいカーテンのような不条理とが頭の中で交錯する。どちらもその物が発信する音のようなもので人を説得しているような気がする。もはや建築でもファッションでもなくて音楽である。住むと、着ると音がなり出すようなものなのではないだろうか?

所員が一人もいない世界一の設計事務所

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by 卓 坂牛

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ケヴィンケリーはワイワードの創刊編集長である。彼が分析したネット社会(『インターネットの次に来るもの-未来を決める12の法則』NHK出版2016)は今後とてつもなくますます社会を変えていく。僕もそう思う。12の指標は、変化、認知、流動、画面、アクセス、シェア、選別、リミックス、VR、自己診断、などである。我々の身の回りの多くのことはITにとって変わられ、職能をドラスティックに変えていく。世界一のタクシー会社ウーバーは車を一台も持たず、世界一のメディアFBはコンテンツをひとつも持たず、アリババは倉庫を持たず、エアビーアンドビーは不動産を持たない。所員が一人もいない世界一の設計事務所が出来るのも間近である。

不条理

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by 卓 坂牛

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安藤忠雄の最初の作品集はたぶんこのSD81年6月号ではなかろうか?当時大学3年生だったが皆虜にされていた。しかし面白いのは、当時篠原一男、磯崎新が巨匠でいて、にもかかわらずポストモダン全盛期でマイケル・グレイブス、ロバート・スターンなんかがアメリカの風。そこに安藤忠雄もどーんと登場した。玉石混交だったのである。当時安藤40歳。
ページをめくると思い出されるあの感動。そして何がボクらを引きつけたのかとよくよく見たときに、当時の安藤建築にはある種の不条理があったようにいまさら思う。住吉の長屋にの外に出ないと行けない部屋。大楠邸の上げて下ろす動線。小篠邸の緑豊かな敷地で緑が見えない居間。建築が持っている一般的な作法を壊して、そこに生まれる別の「もの」のあり方を提示していることに「戦う男ボクサー安藤」を感じてブルブル震えていたのだと思う。昨今老獪になった。

いい店

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by 卓 坂牛

金町の駅前にちょっと面倒くさい赤提灯がある。酒を頼むとこちらのリクエストを受け付けない。純米?大吟醸?普通の酒?と聞いて4合瓶しかないから。と言ってそれに応えないと何も持ってこない。200種類あるから一番いい酒持ってくるよというのでこちらはお任せと言うしかない。でも任せて間違うことはない。今日も広谷さんと行って美味しい酒を出していただきました。金町一のいい店です。

迫力

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by 卓 坂牛

月曜日はゼミ日。1時から建築理論ゼミ。3時から英語ゼミ。4時半からthesisゼミ。理論ゼミは主として博士。英語ゼミは主として留学生。thesisゼミはm2と4年。博士と学部生のレベルが違うのは仕方ないかもしれない。知識もに能力も違うから。しかし留学生と4年や修士を比べたら能力にそれほど差があるとは思わない。しかしプレゼンを聞いていると迫力が違う。

理論と実践

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by 卓 坂牛

マルクスは自らの主張を科学的と形容し、オーエン、サンシモンたちの主張を空想だと一笑に付した。マルクスの影響を強く受けた父の世代は自らの社会改革運動を科学と称して科学の条件を理論と仮説と実験(実践)であるとした。それゆえ自らがアカデミックな世界に引きこもることを是とせず生涯実践を継続し、労働大学をつくり理論的な探求も行っている。その生き方から学ぶところは多く自らも理論と実践ということを生涯貫くのだろうと思っている。アカデミックセクターに期せずして入ったがその世界にこもるのは是としない。生涯創り続けることで理論を証していかなければならないだろうと思っている。

散歩

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by 卓 坂牛

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夕方駅上の自転車屋に行き自転車のカゴを替え、サドルにウレタンカバーをつけ、ベルを替えて、ヘルメットとポンプを買う。100円ショップで結束バンドと滑り止めのゴム網を買ってそばの俺のフレンチでオススメの野菜盛り合わせを食べた。「俺の⚪︎⚪︎」は本当にコスパがいい。そばのホテルのロゴがいい。こういう欠けた字って魅力的。

帝国は滅びる

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by 卓 坂牛

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予備校の先生が書いた帝国の本(『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』神野正史祥伝社2016)が面白い。帝国が文化(建築)をどう他国に植え付けていったかに興味がありいろいろな帝国を調べているが、この本は文化とはかんけいなく、帝国はなぜ滅亡するかを分析する。ローマ、中華、イスラム、大英、アメリカである。この他にもあるのだが、オスマンはイスラムの最後に入り、ポルトガル、スペイン、オランダは大英のイントロとして書かれている。さてなぜ帝国は滅びるのか?一言で言えば1)国内が安定し、2)農業が(工業が)向上すると、3)人口が増え農地(資源)が減り対外膨張戦争を行い国庫が圧迫され、4)増税により農民(市民)の窮乏で反乱が起きるというプロセスである。著者は現在の帝国アメリカも永遠ではないという。現在の彼らの姿を見ているとまさにこのプロセスに乗っている。

赤坂の料亭を改装したゲストハウス

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by 卓 坂牛

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引っ越し先のはす向かいに素敵なカフェKAISUがあってお昼を食べに行って見た。1階がカフェで2階がゲストハウス。赤坂らしく、料亭をリノベしたものである。ベッド数46で朝食付きで4000円くらいである。大半は外国の客らしく昼をとっていた時も一人ヨーロッパ系の泊まり客がスーツケースを持って入ってきた。年齢層は20台後半とのこと。場所は借りてやっているので単価が4000円だと稼働率が高くないとペイしないと言っていた。この辺りでは数少ないから客も多いと思うが家賃も高そうで痛し痒し。

米軍基地

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by 卓 坂牛

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ディヴィッド・ヴァイン『米軍基地がやってきたこと』原書房(2015)2016によればアメリカの海外軍事基地は800近くありアメリカ以外の国が海外に持つ軍事基地は50に満たない。この非対称性にまず呆然とする。アメリカは世界の秩序維持を大義名分に掲げるがほんとうだろうか?共和党と民主党の政策で唯一一致すると言われるのがこの基地の維持だという。これはもはや政策ではなく、国防総省が国家以上の権力と化し、そしてそれをサポートする軍事産業との軍産複合体の強大な力に誰も何も言えないというのが実態ではないのだろうか?
これらの基地が起こす弊害は数多あるがその一つが性の問題である。性暴行や売春という形で表面化するが、著者によれば、これは事件を起こした軍人だけの問題ではないという。入隊してきた軍人教育で最も難しいことは人を殺す精神状態を持てるようにすること。そしてそのためには自分が最も強くて相手より上位にいると思わせる。手っ取り早いのはまず女性を蔑視する男性性を植え付けるのだそうだ。この結果が基地外での性問題であるが、基地内でも女性軍人の37%が2回以上レイプされているという統計があるそうだ。