昨日は製図第五(四年生前期)の講評会、非常勤講師の川上先生、片倉先生、広瀬先生に加え東工大の奥山先生を招き講評いただく。発表は12人に絞り、一人15分程度の持ち時間でじっくりと行った。最後に一人一作品ずつを優秀賞に選んでいただいた。作品の質は比較的上がってきたと数年前から見てきた非常勤の先生の弁。しかしそれでも未だ4年生の製図としては、もう一つ物足りない。問の立て方が凡庸。制作が未完。リアリティが不足。もちろんこれらの問題はここ(信大)だけの問題とは限らないが、やはりそれらの点をクリアしたものが光るものになるのである。しかし彼等を最初に3年生の時に見たときから比べれば格段に進歩していることが嬉しい。路傍の石も磨けが光る。そして今年の3年生は確実に今年を超えると確信している。ただ3年の後期の一番大事な時期をどう過ごすかにかかってはいるが。講評会後バーベキューパーティー。小雨交じりだったがなんとか持ちこたえた。
川崎の家の査図(図面チェック)。1時から始めて8時まで。結局2軒分だから結構時間がかかる。これでも完全ではない。昔日建時代は二日がかりの査図もあったけど見てくれる人は大変だった。
学会発表の様子を電話で聞いたが、思ったとおり、論文と設計の両方をやっているからどっちつかずとの厳しい質問があったようだ。しかし今のシステムだといたしかたないという気がする。
明日は4年生の発表会である。奥山が東京から来てくれるなるべく実りある講評会にしたいものである。
再来週の中国出張にそなえ原稿の締め切りを一週間延ばしてもらう。若林さんの方は締め切りどおり提出するとのことで少し焦る。しかしこの出張はどうもはずせない。
明日は朝一でゼミ。これから長野に向かう。
今日はあちこち駆けずり回った。25度だが湿気がひどい。梅雨は明けそうで明けない。家の除湿機は一日で一杯になってしまう。夜帰宅後ひたすら原稿のための資料読み。かみさんは書道の稽古(をされに)国立博物館に、娘は試験が終わり友人と遊びに。もう直ぐ夏休みである。大学は未だ先なのに。
ホルへ・ルイス・ボルヘスの「アレフ」という短い小説を読んだ。アレフという名の小さな球体をめぐる話。「アレフ」という語はヘブライ語のアルファベットの最初の文字である。同名の宗教団体の方が今では有名かもしれない。因みにそちらの団体名もこのヘブライ語から取っているようである(ホームページによると)。さてそれは世界中が映りこむ不思議な球体である。「アレフの直径は恐らく二、三センチメートルにすぎなかったが、そこに全宇宙が、縮小されることもなく、そっくりそのまま包含されていた。」占い師の水晶体のようなものである。その球体の話を読んでいたらグーグルアースを思い出した。世界中が一瞬にして覗き込めるその速さと正確さはアレフそのものである。50年以上も前の奇想天外なお話が今では普通の現実になっているという一例である。
川崎の家の納図。午後某スポーツクラブと打ち合わせ。夕刻小川次郎さんと繁昌朗さんが来所、最近彼等の設計で着工した日本工業大の百周年記念館と新潟のアートトリエンナーレの作品をレクチャしてもらった。記念館は蔵書20万冊の図書館を主体とした学生交流施設。プランはL。断面は敷地にそって揺るやかな傾斜の連続そして斜めのタワー。構造は金箱さんで細いメンバーで統一された網の目のような鳥かご。外装はダブルスキン。設備は床噴出し、霧吹きだし、自然換気。材料がやたらすごい。泡入りガラス、コンクリートゆか、リシン吹きつけ天井。セメント研ぎ出しコンパネ壁、、、、、とにかく眼が回る。凄い量の内容がつまった設計なのである。
アートトリエンナーレがまたすごい。細骨材に土を使った土コンクリート。現場で土を採取し、大学に持ち帰り構造の先生に実験してもらい。また現場に持ち帰り生コンプラントで混ぜる。形は人間32体を模した7面体。高々10㎡の小屋だが形が複雑で10回くらいに分けて打ったという。そしてこれらを90%学生の力でやっているところが驚異である。
レクチャー後伊藤、木島を含め荒木町でジンギスカンを食べながらこの驚異の設計に盛り上がり、東京周辺(中心ではなく)大学建築学科で何かしようと話あう。何か作ろうか??と言ったところでではまた20日信大に来ていただいた後で続きを語ろうと約し別れる。
昨年OFDAで木島と共同設計した「するが幼稚園」が公共の色彩賞という賞を受賞した。事務所にもどるとその審査評のようなものがまとまった冊子が届いていた。その中で審査委員長の言葉がとても嬉しい。曰く「幼稚園と言いますと、とかく、原色を使って、コミックあるいはアニメ風のものが多いんですが、ここでは、非常に洗練された幼稚園のあるべき姿を創造された点が高く評価されました。・・・大人が『幼稚園というのはこんなものだろう』ということで作った幼稚園とはまったく違ったアイデアに大変敬服しております」
一見原色に見えるのだが、ベースの色は全て少しずつトーンを少し落とした微妙な色をかなり根気よく作ったのである。現場でも柱一本一本に数種類の色見本を貼り付けて最終の色決定をした。そんな色選定が報われた。
色といえば、東京に戻る新幹線の中で論文の色の節を打っていた。その中で頭をよぎる疑問。ゼンパーは何で多色にこだわったのだろうか????人が色を使う根源的な動機はどこにあるのか?ポンペイの色はとても美しかったがあれは壁画である。ベルサイユのように金色を塗るのは財力の証であろう。単純に建築を色で埋める衝動とは???
7年ぶりに人間ドッグを受けた。場所は長野の日赤である。大学からよく見える大きな病院。今まで幸いお世話になることは無かったので今日始めて足を踏み入れた。一つの大きなヴォリュームだと思っていたのだが、さにあらず。3本のタワーが低層で繋がっている。ドッグはいろいろな科に行ってはスタート地点に戻らなければならないのだが、複雑で戻れない。知らぬ間に重篤患者のゾーンに入り込んだり、手術室ゾーンに迷い込んだり、もっと分かりやすいプランにならないのだろうかと思ってしまうが病院建築は難しいのでなんともいえない。日建の頃は残業が増えると無料でドックだったが大学はそんな甘くないのでしっかり有料。幸いこれといった危険信号はなく良かった。でも最後に医者に「お酒も飲まないのに胃の内壁が荒れてますねえ。胃炎の症状ですよ。ポリープもある。胃カメラを勧めます」と言われた。やはりストレスだろうか?
朝のゼミでハーバート・リードの『モダンアートの哲学』を読む。『物の体系』『空間の生産』を読んだあとだから、とても読みやすいし内容もイギリス系の知らないアーティストが一人いるくらいでとても分かりやすい。午後は4年の製図だが、もう締め切り3日前なので後はレイアウトに助言するくらいである。皆枚数は多いが中身はスカスカの模様。授業を早く切り上げ自転車で5分のところにある県立図書館に本を借りに行く。フーコーの思考集成がここには全巻そろっている。フーコー二冊、ついでに『人文地理学の発展』という本を見つけたので借りる。大学の図書館は工学部だから工学系の本しかない(人文系は松本キャンパスにあるので請求してから3日くらいしないと届かない)。だから県立図書館は人文系の本が欲しいときには便利だし、県立だからそこそこ蔵書は多い60万冊。僕がよく行く区立四谷図書館が11万冊だから使った感じはまあよい。
7時半のアサマで長野へ。このアサマは大宮の次が上田で長野に8時50分に着く。最速のアサマ。途中霞、霧の中を通り抜け上田に着いたら快晴。長野は爽やかな秋晴れのような天気である。朝から会議。午後は資料をいろいろと読むのだが余り冴えない。昨日は少し進んだ着想があまり展開しない。この天気のように爽やかになりたいところである。明日は8時に院に入学希望の京都造形大の4年生が来研予定。今日はもう帰ろう。
昨日までの気分を入れ替えて読書。と思ったが娘の試験勉強(日本史)に付き合わされた、日本の古代というのはうっすらと覚えているのだが細かいところはてんで駄目である。娘のノート見ながら問題を出して答えを言わせるのだが、答えの意味が分からないので、答えの解説をしてもらうというどちらが先生か分からない状態。でもこれは結構楽しい。その後エドワード・ソジャ『第三空間』青土社2005を読み始めた。だいぶ前に確か井上君に勧められて買い、積読してあった。ルフェーヴルをゼミで読んだのを良い機会と思い、『第三空間』と『ポストモダン地理学』両方一気に読んでしまおうというところである。
昨日のpc運びで腰が痛いが致命的ではなかった。毎朝の背筋トレーニングが効いているのだと思う。夕方ちょっとジョギング。ワタリウムまで行ってパイクの展覧会を見てこようと思ったが、外苑西通りの途中で疲れて引き返した。慶応病院の裏手には病院の歴史的な建物が結構建っていることが分かった。