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Feb 2010

モードへの介入

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by 卓 坂牛

土屋淳二『モードの社会学(下)』学芸社2009を読む。下巻の最初はモードと社会秩序と題して、モードを規定してくる外圧の話である。その外圧としてあげられるのは習俗と権力。そして国家がモードに介入してきた例として戦争時の制服のようなものがあげられる。まあ戦争時と言わなくとも、制服には常にその手の力が浮かび上がる。それが国立だと国家ということになろう。その上その制服がもと海軍の制服だったりするとこれは戦争の匂いまでしてしまう(我が母校はそうだった)。まあセーラー服と言われてそんな臭さも吹き飛んだキッチュならもはや結構だが。そんな制服を着ていても対して文句を言わなかった僕らは政治音痴だったのだろうか?学帽はポマード付けてフライパンで焼けと先輩に教わったが制服はそのまま着ていた。
そんな制服という権力に対してそれへの反発が生じるのは極めて正常な事態であり、それに文句も言わず従順に従う姿は滑稽でさえあると著者は言う。同感である。そう考えると國保選手の姿は権力に対する自然な反発と見えてくる。むしろ従順に制服を律義に着こなし、一糸乱れぬ部行進でもされようものなら、隣国のファッショを想像しないだろうか?まあ文科省の大臣が騒ぎ立てたが、そんな馬鹿な発言はさっさと撤回した方が利口だと僕には思えるのだが。

コンペと英語と

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by 卓 坂牛

昨晩David Stewartからメールをもらい、添削に意見があれば送り返しなさい、recheckする。またポートフォリオにスペルミスが沢山あるので一度チェックしなさいとの指示。数十年前の学生時代に戻った。しかしそんなにミスあるのか?自分でチェックしていないだけに慌てる。?どのくらいありますか?と恐る恐る聞いたのだが、そんなこと聞いた自分が馬鹿だった。長野に来るアサマで初めてきちんと英文を読んでみると、まあ、あるわあるわ各ページ一つか二つは見つかる「恥ずかしい!!」。人任せはどこかでつけが回ってくる。車中昼食をとり1時に研究室に駆け込む。1時半にD設計事務所来研。壁に貼ったスケッチで建物の配置と空間と構造の考え方を説明する。なんだか分かったのだか、分からないのだが分からないが、なんとなくこの案の方向を検討したいとのこと。ついては良い構造事務所を紹介してほしいと言われる。金箱さんに電話をして、コンペの概要を説明し参加を打診。乗り気なので来週打ち合わせへ行くことにした。D設計には、僕の考えが難しそうで、普通の陸屋根にするようなら構造打ち合わせには行きませんからと伝える。
その後市原のコンペの打ち合わせ、どうにもプレゼンが詰まっていかない。ここ1週間くらい同じものを見ているようだ。信大にきて最初にやった立川のコンペを思い出す。夕方のアサマで東京へ。載ったところでDavid Stewartの僕の作品集へのessayが届いた。読みはじめた。たかだか1500wordsのエッセイなのだが、これが難解である。今翻訳中の英文に匹敵する難解さである。車中ずっと辞書片手に読み続け家に帰っても読み続け、やっとおぼろげに全体に言いたいことが分かった。でもまだ分からない重要なところが数か所ある。

千葉大の卒計

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by 卓 坂牛

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午前中事務所で軽く打ち合わせをして、千葉大学にでかける。卒計の講評会に呼ばれた。千葉大には初めて行った。千葉にあると思っていたら隣の西千葉という駅にある。四谷からでも小一時間かかるのだが、駅の目の前にあるのが嬉しい。キャンパスはここが本部で医学部と園芸学部が別の場所にある(しかしその二つが千葉大の看板学部らしい)。とはいえども広くて雰囲気がある。うちのようにタコあしでキャンパスが5つにも分かれていると本部と言っても今一つ淋しいし。工学部などは専門学校のようである。千葉も信大と同じく創立60周年なのだが樹木の育ち方が全然違うのには驚いた。欅の大木がここかしこに植わっていて落ち着いた雰囲気を醸し出している。そのことを岡田哲史さんに言うと「暖かいからじゃない?」と言われた。そんなものだろうか?
卒計講評会は学生が企画しているとのこと。栗生さん、岡田さんをはじめ、構造の先生、非常勤の先生など先生だけで7人も参加しているのがすごい。200人はいるホールに学生は1年生から4年生まで満員と言うのもまた立派。
4年で卒計をとっているのが45人いると言う(一学年75人)そのうちから選ばれた10名がプレゼンをする。人の大学で講評するのは気が楽である。今までエスキスしてないからしがらみもなく好きなことが言える。なかなか素敵な作品を発見。集合住宅の家がすべてタブローになっている。模型の大きさも横4メートル縦1メートルはあるだろうか?木箱の中にドールハウス風の部屋がランダムに重ねられていた(写真の4倍くらいの大きさ)。生活が風景であるというのがコンセプト。

China

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by 卓 坂牛

頭の痛い打ち合わせで朝から資料作り。原因は中国プロジェクト、中国設計者やプロマネがなかなか動こうとせず困ったものである。午後この件でクライアントと打ち合わせ、我々の立場と中国設計者との責任分担を明確にし、対処法を説明し理解を得た。しかし中国側に是正させるための要求書類の作成を依頼される。これが手間である。理詰めで責めるにはクライアントと中国側の契約書を分析し、どこに彼らの責任があるかを明らかにせねばならず時間を食う。しかし一番の問題はそうした正攻法が通じる相手ではないというところのようだ。中国にももちろんきちんとした人もいるのだろうが、理屈の通らない人たちも未だ大勢いるようである。
夜janaiaに今取り組んでいる住宅のプロジェクトの考えた方を説明してほしいと言われ、少し話す。今まで来た研修生の中では一番英語が苦手のようで、こちらの話すことは理解できているようだが、それに対してなかなかリアクションが来ない。なかなか話が深まらない。まあ少しずつやるしかない。
夜懐かしい昔のクライアントである某生保の方から電話をもらう。とあるセミナー講師をお願いしたいとのこと。時間が合えばお受けしますと伝える。

ファッション

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by 卓 坂牛

朝ジムに行き少し走る。帰宅して昼を食べながモーグルを見ていたら上村が4位になった。4回オリンピックに出て一度も転倒しないのが先ず凄い。次に7位、6位、5位、4位と毎回成績が上がっていることに驚く。そしてもちろん16年間も自分の肉体を維持してきたことには頭が下がる
午後土屋淳二『モードの社会学(上)』学文社2009を読み終え同下巻を読み始める。世の中の多様に変化するモノゴトを「アイテム」と呼び、それらの存在のあり方を「モード」と呼ぶ。そして「モード」の要素として「形」「機能」「意味」を抽出する。さらに「ファッション」とはこのアイテムのモードを集合的に操作するプロセスと定義している。この定義に従うならばおよそデザインと呼ばれるような行為のすべては建築を含めて明らかにファッションと呼べるものになろう。
夕方事務所に行き雑務。明日必要な資料を探すが、一昨年のコンピュータークラッシュで見当たらない。まあ仕方ない。入試などでしばらく手を付けていなかった建築の条件原稿を書く。溜まったメモを再読し、頭を活性化させながら書き始める。どうも資料をためてから書くまでの時間があくと思い出すのに時間がかかり効率的じゃない。そんなことは分かっちゃいるのだが、うまくいなかい。

テレビ

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by 卓 坂牛

10時から研究生のT君とコンペの打ち合わせ。既存建物の皮を剥ぐようなイメージとそこに空けられた開口部が視界を大きく展開してくれそうである。既にできている材料をA1にレイアウトしてみる。あいたところに構造、設備、採光、セキュリティ計画などを作り張りこむ。大きな方向はほぼ固まった。あとはモケイ写真がどれだけ訴求力をもって撮れるかにかかっている。しかしキュリティ計画なんて聞いてくるってなんのためなのだろう?遅めの昼食を食べてから、もう一つのコンぺのスケッチを進める。夕刻研究室を出ようとすると院生がポートフォリオを見せてくれた(見てくれと頼まれた)うーんものの配置はいいのだが、内容の濃いところ薄いところの差が多すぎるのと色味に流れがない。夕方の(結局この時間)アサマに乗り昨日から読み続けていた真山仁『虚像の砦』講談社2007を読み続ける。最後の護送船団と言われる(なんてこの小説を読むまで知らなかったけれど)テレビ局の裏を暴くものである。ついに四谷までに読み終らず、駅ビルのベンチに座って読み切る。帰宅後面白いよと皆に進めると「真山仁ってハゲタカの人でしょ?」と言われ調べるとなるほどそうであった。元読売の記者だけあってなかなかしっかり調べてあるように思われた。まあとにかく面白い。のだが、これを読むともうテレビは嘘八百で見る気が失せるし、そこでの政治家の発言なんて余りに空しく響きそうである。

ダイヤの乱れ

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by 卓 坂牛

午前中の電車で甲府に向かう。架線凍結で大月から河口湖方面が一部不通。小淵沢から塩尻が不通。車窓から見える木々が霧氷で白く凍りついている。今年の冬は突如大寒波である。甲府の打ち合わせ後長野に向かう予定だが復旧しなかったらどうしよう?甲府に泊まるか?
午後一杯ゆっくりと打ち合わせ。2回目の打ち合わせは多少緊張も解ける。お互い手の内は明かした後なので、和やかである。絞られた二つの案を前にそれぞれに意見をもらう。甲府は寒く暑いところなので必ずしも南向きだけがいい部屋とは限らないという感覚が面白い。
5時半ころ甲府に着き、スタッフのT君は新宿へ。長野方面ぼちぼち動き出したようだがまだダイヤは大幅に乱れている、先週あった特急が無い。次の電車はだいぶ先の各駅。松本からの乗り継ぎも各駅。「止まるかもしれませんから」と脅された。こうなればのんびり行こう。駅ビルの本屋で時間をつぶし、文庫の小説を買ってくる。長野まで各駅に揺られのんびり読書。長野に着いたのはもうかなり遅い。夕食をとってマンションへ。メールをチェック。2月26日行う、信大での修了、卒業設計のレビューに元青木事務所の西沢徹夫君が来てくれるとのこと。彼はなんたってかなり辛口だから、こりゃ楽しみである。まあ皆さん涙腺に栓をしていらっしゃい。風呂につかりながら文庫本の続きを読む。

久しぶり東京

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by 卓 坂牛

昨晩は修論が終わり、修士設計、卒業設計を手伝った2年生3年生を含め、4年生m1 m2数十人が集まり、僕の帰った2時ころまでまだ店にいた。僕は今日のことがあり、一足先に店を出た。昨晩の長野は雹。帰宅してシャワーを浴びあっという間に眠りに着いた。朝は8時ころ目覚め9時ころのアサマで東京へ。久しぶりである。事務所に戻りとある昔の資料を読みこむ。午後、昨晩届いていたS先生の序文を英文に翻訳する。もちろん後日David Stewartに見てもらうつもりである。それにしても難解なS先生の文章だが、見事に英語にできる。つまりとてもロジカルな文章だと言うわけだ。主語の不明なところは一つもなかった。Janaiaがやってきて僕がオフィスにいるのは金曜日だけかと聞く。最近は卒業を控えイレギュラースケジュール。来週はいるよというと、いろいろ質問をしたいという。そう言えば日本の大学に少し来たがっていたことを思い出し、どこか行きたい大学はあるかと聞くと、東工大の名前がでた。Janaiaのラビレット建築大学から東工大に現在留学中の学生がいるようだ。そこでStewartさんを紹介する。メールするように言う。明日の打ち合わせの模型ができたところで帰宅。久しぶりに家で夕食。

修論発表会

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by 卓 坂牛

この四日間信大の一番大きな会議室で合同会社説明会が行われている。順番で回ってきた就職委員として今日の午前中の挨拶など行う。数十社集まっていたが8割は東京の会社である。日本経済を象徴している。こういう日に限って電話が数回鳴る。電話なんて昨今かける時しか使わない。だいたい仕事の話は事務所にかかる。僕あてならメールが大半。だから電話の用件は緊急を要すること。そして緊急と言う場合だいたい、いいことか悪いことのどっちか。今日の場合一つは悪く、一つは良いことだった。あーあー。なんか悪いことの方が勝っていて憂鬱である。午後は修士論文の発表会。悪いことは続く。僕の研究室の学生による「建築家の言説における形容詞の研究」という論文がとある先生によって血祭りにされた。曰く「どこが工学的な論文なのか?文学部の論文である。形容詞の数を数えているだけではないか?建築とどんな関係があるのか?」などなど。この先生は相手を徹底して追い詰めていく。この言葉を聞いていてふと、昔東工大のとある先生が言っていたことを思い出した。言説研究で有名なこの研究室の学生論文の発表会後、判定会議で当時まだ在職していた某先生が徹底して批判したそうだ、曰く「そんな論文は設計の何の役にも立たない」。この時は言われた先生が切れて、これまた別のある先生が仲裁にはいったとか。まあ役に立つか立たないかはその建築家次第であり、この批判はあたらない。戻って工学的な論文かどうかを審査の基準とする意味は薄い。そもそも昨今工学とは何かは再定義されるべきだろうし、文学部的で悪いと言う理由はましてない。まあそこまで言われると『言葉と建築』なんて言う本を訳している僕としては立つ瀬がない。ただも少しこういう研究の意味や意義はよく伝えないとエンジニア系の先生には分からないだろうと少し反省。判定会議でそのあたりを説明したら「そんなもんですかねえ」とにこにこしていた。やはり日本の建築は以前エンジニアリング強しというところだろうか。

卒論発表会

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by 卓 坂牛

今日は9時から夕方まで卒論発表会。発表を聞きながら、頭の半分は週末の住宅のプランが蠢く。その上体育館コンペの構造と雪問題も頭を浮遊する。最近はタイトルを聞くと何研の話でどんな内容か察しがつくようになってきた。と思っていたら、誰がやっているのか分からない新鮮なテーマが登場した。夜間電力を使った躯体蓄熱冷暖房システム。とある電力会社の委託研究らしい。すぐにでも実際に使えそうなアイデアである。コンペの設備計画にいれてもいいかもしれない。発表会は大きなミスをする学生もなく無事終了。判定会議の後、構造のI先生に長径50mのポストテンションのお皿を細い柱で浮かす案を説明。可能性を問う。ワイヤーで下から束立てはいるだろうとのこと。やはり雪が3メートルあるからシザのようにはいかないか。しかし細い柱をたくさん建てるのなら耐震壁はいらないかもしれないと言われた。設備の先生に帯雪方法が妥当か問う。滞雪はいいがやはりキャンチの軒先は融雪ヒーターがいるとのこと150メートル60センチ幅で90㎡。100Wで9kW。1時間18円。けっこう安い?計算間違いか?夕食後別のコンペの打ち合わせ。模型を切った張ったしながらプランを調整し、立面を変えていく。なんとなくの方向性は見えてきた。これでいけるだろうか?時間はあと一週間である。うーそれにしても人出がない。3年生はもう先輩の手伝いもないのだろうに、、、、12時ころ終えて事務所から送られてきた図面を見ながらカウンタースケッチを書いて送る。打ち合わせは金曜日。しんどいなあ。