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Feb 2013

王先生来研

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by 卓 坂牛


夕刻同濟大学の王教授と郭さんが来研。昨年東南大学のシンポジウム、同濟大学でのレクチャーを企画してくれたお二人である。日本に来たついでに来研してくれた。卒業設計を見ていただいてコメントをもらった。あまりに的確なご意見に改めて最近の中国建築家の力を感じた。その後三人で夕食。聞いたら明日は中国の建築家、教授陣20人が東工大を訪れるとのこと。理科大は理科大で中国との関係をきちんと作りたいものである。

レンガローカリズム

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by 卓 坂牛


S.E.ラスムッセン吉田哲郎訳『北欧の建築』SD選書を読む。あのドイツ表現主義の影響を受けたグルントヴィ記念教会がコペンハーゲンにあるとは知らなかった。それにしてもこの教会の形は不思議である。加えてこういう垂直性の高い形状がレンガを積んでできていると言うのも不自然な感じ。組積造文化なのだから当然といえば当然なのだが、、、、今度訪れるオーフス大学のスタジオではレンガを使って地元の料理を食べるレストランが大学院生の課題だそうだ。なぜレンガなのかと言うとレンガはその土地の土でできているから。昨年同様今年も異国でのローカリズムを痛感させられそうである。この徹底したローカリティ精神はこの教会の頃からあったのだろうか?

王羲之見たぞ しかし直筆はないのだ

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by 卓 坂牛


上野公園に新しくできたガーデンカフェで昼食をとり国立博物館に向かう。王羲之展を見る。平日の昼間だと言うのに10分待ちである。書人気はすごい。
王羲之は中国晋の時代、4世紀の書家である。中国の書の神様みたいな人なのだろう。
それにしても王羲之展と言いながら王羲之の直筆は一点もない(見た限りでは)すべて弟子たちが書き写したものあるいは臨書したものなのである。
更に展示には王羲之の字を臨書した唐の時代の巨匠の作品があり、其の唐の時代の巨匠たちに習った宋の時代の書家の作品があり、彼らに習った元、明、清の書家の作品が並ぶのだが、字が時代とともにくねくねしてくる(ように見える)。配偶者に言わせるとどんどん駄目になってきているのらしい。昔ほどいいという通念が確立している芸術分野もそうないのでは?

来年度前期輪読本を考えた

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by 卓 坂牛


やっと自分の読書リスト更新が終了。ああ時間がかかった。それを踏まえて来年度前期の輪読本を考える。主として社会学、哲学、ファッションを織り交ぜ4年生からM2まで飽きずに読め、加えてM1、M2がこれまで読んでない本を選ぶのは結構いろいろなリストをあっちゃこっちゃ見ながら決めなければならない。そしてたどりついたのがこれ。あれ建築の本があまり入ってない。建築の本は各自読んでください。
1 三浦展 高円寺 東京新女子街 洋泉社 2010
2 三浦展 郊外はこれからどうなるか 中公新書クラレ2011
3 赤川学 社会問題の社会学 弘文堂 2012
4 東浩紀 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 講談社 2011
5 佐藤信 60年代のリアル ミネルヴァ書房 2011
6 与那覇潤 中国化する日本 文藝春秋 2011
7 アマルティア・セン アイデンティティと暴力 勁草書房 2011
8 ジョアン・エントウィスル ファッションと身体 日本経済評論社 2005
10 西谷真理子編 相対性コム デ ギャルソン論 フィルムアート社 2012
11 藤原 徹平 他 ファッションは語り始めた フィルムアート社 2011
12 ジョナサン・クレーリー 観察者の系譜 以文社2005
14 藤森照信 藤森照信の茶室学 六耀社 2012
この中で僕が最も好きな本はジョナサン・クレーリー『観察者の系譜』。しばらく絶版だった書です。

厚みについて考え中

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by 卓 坂牛


朝、半蔵門を目指して走る(自転車で)すると右前方に深い藍色のタイル張りのビルが見えた。お菓子の泉屋のビルである。半蔵門でUターンして近くに行って見たらこのタイル両端部が緩やかに面取りされている。厚いんだよな。この厚み感は単なる物質感を超えて奥行き感を作る。それが陰影を伴うので遠目で深みを出す。
8時に家を出て9時に現場。事務所検査の駄目直しをチェック。10時からオープンハウス。一番乗りは元商店建築編集部の新海さん。久しぶりありがとうございます。今日はひっきりなし。東工大、理科大、信大、多摩美、OFDA、雑誌の方々、他にもたくさん。久しぶりにお会いできた方はうれしかった。今日だけで150人くらい来てくださっただろうか?あまりに人がたくさんいて見る方も大変だったかも。とにかくありがとうございました。いろいろな方にご意見いただいたのだが、多くの方に「太い、厚い」と言われた。今時の細い、薄いとは大違いというもの。そうかもしれない。朝見たタイルへの共感とこのことは関係するのかしないのか???考え中。

伊勢丹のディーテール

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by 卓 坂牛


朝伊勢丹まで走った(と言っても自転車で)普通の時間帯だと人が多くて建物をしげしげと眺めることなどできないが、この時間だと建物周りをぐるりと一周じっくりと見ることができる。繊細な壁面のレリーフ、細かなアイアンワークに目が留まる。よくこんな仕事したよなあと感心する。ふと足元を見ると何気ない石の曲面加工にも驚かされる。無垢の削りだしである。コーナーに石目地がないからなかなか分厚い石である。現代ならパチンコ屋さんやラブホテルには使われそうなものだが、商業施設にはまあないと言っていいのでは。
午前中研究室へ。昨日いただいたデンマークからのメールに返信。レクチャーの内容を考えないと。午後、社会人修士の面接試験。みなさすがにしっかりした受け答えである。その後なんやかんやの会議が連なり。夕刻から来年度のゼミ本を選ぶべく自分の本リストを見る。見てあわてる。1年以上更新されていない。だいぶサボってしまった。更新作業をずーっとしていたら9時をまわった。まだ去年の11月分までしかリスト化できない。あと3か月分はまた来週。

格差再生産の構造にため息

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by 卓 坂牛


午前中教室会議@九段、午後入試の決定会議@神楽坂、そしてその後一部の兼担の先生を交えて卒業判定会議@九段。昨日同様会議漬けの一日で九段神楽を往復。慌ただしい一日である。夜研究室で読みかけの新書を読む(橘木俊詔、迫田さやか『夫婦格差社会―二極化する結婚のかたち』中公新書2013)。このタイトルは一見夫と妻の間の格差を問題にしているようだが、そうではなく夫婦と夫婦の間の格差のことである。
簡単に言うと夫が外で働き、妻が家庭を守りつつも、夫の稼ぎが悪ければ妻がパートでもしてそれを補てんしたのが一昔前の夫婦。その時代は一億総中流だったのだが、今は妻が働くことがもはや前提となっている。加えて、稼ぎのいい夫は稼ぎのいい妻と一緒になっていることが多い。逆はもっと真で稼ぎのいい妻は稼ぎのいい夫といっしょになっている確率がとても高い。ということは稼ぎの悪い夫(妻)は稼ぎの悪い妻(夫)と一緒になっていることが多いのである。
前者のカップルをパワーカップルと呼び、後者をウィークカップルと言うそうだ。これはアメリカなどでは更に顕著な傾向なようだ。僕の世代でも僕の周りには、医者と弁護士、日銀と財務省、教授と教授、なんていうのが散見される。ということはもっと若い世代はもっとこういうカップル多いのだろう。そしてその逆も多いということである。
ウィークカップルと言う言葉はそれにしてもなんだか不愉快な言葉である。金がない人間が楽しく暮らせる社会があっていいではないか。たまたまいい教育が受けられなかった偶然が運命を決定し、それが再生産されることでこういう現象が助長されているのは明らかなのである。
高級高等教育以外が豊かさにつながる社会を作らないと国は亡びるよな!!

神楽に一級の工房ができそうだ

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by 卓 坂牛

朝平瀬さん来研。とある本を一緒に作ろうと言う企画会議第一回。二人とも遅刻してきてその時間がぴったりあった。午後一に神楽で主任会議。電動自転車で移動。最近気温の割には体感温度がすごく低い。会議終了して九段に戻り、何していたのだろう?ひたすらメール打ったり、電話したり、来年度のゼミスケジュールなど考えているうちに夕方、山名さんが来て神楽の製図室と準備室を見に行こうと言われ神楽へ移動。壁一面の本棚に、GAJAPAN,GADOCUMENT、建築知識、ディテール、エルクロなど、見事に一杯。山名研が彼らの蔵書をここへすべて移動してくれた。ここは製図室というより授業では使わず、学生が純粋に制作に没頭できる工房にする予定。なかなか一級の工房ではないか。ここにヒートカッターや工具も置きたいのだが、さてこれを管理するにはどうするか?放っておけば一年で半分になりそうである。とりあえず、框スライディングドアを本棚や棚につけることを考える。その後レーザーカッターのある部屋を覗き、そして九段に戻る。

理科大葛飾キャンパス竣工

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by 卓 坂牛


理科大金町キャンパスの竣工式に出席。10時40分から見学会が行われ12時くらいから直会。日建設計らしい建物だなと思ったし、パースなんかで見たものよりはるかにいい。安副社長に会い、設計チーフの川島さんともご挨拶。川島さんらしい設計だと思う。完成度がとても高い。一方この場所にこのヴォリュームがちょっとでかいなあとも感じる。以前に後輩先生が撮った写真を見た時これは丸の内?と思ったが本物見てもそう感じた。容積率200%を超えるキャンパス計画はかなりの密度にならざるを得ない。200をつくる方法はほかにもあるのだろうが、中心軸をがっちりとるとどうしてもこんなヴォリューム配置になるのだろう。

ワークショップ報告会@荒木町

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by 卓 坂牛


アルゼンチンワークショップの報告会を新宿歴史博物館で行いました。ワークショップの敷地が荒木町なので報告会も荒木町のそばで。夜は荒木町に移動して懇親会。アルゼンチンに行った理科大の学生だけではなく、信大、早稲田、芸大、電気大、いろいろな大学の学生、そして先生として行った塚本さん、ワークショップを本にして出版してくれた鹿島出版会の川島さん、土屋さん、デザイナーの渡辺さん、理科大OBの薩田さん、広谷さん、理工から岩岡さん、OFDAから木島さん、竹内君、そして地元の日本設計の大野さんありがとうございます。今後の荒木町を考える会の礎になればと思います。