久しぶりにゼミをやってちょっと焦る。というか学生たちが焦っていないようなので焦る。数週間時間があったのにこれだけしか進んでいないのかと思うとがっかりである。①怠惰なのか?②論文の書き方が分からないのか?③論文を書く楽しみにたどり着いていないのか?
① の場合の処方箋は簡単である。真面目にやれ。
② の場合の処方箋も簡単である。巷に氾濫している論文の書き方ハウツー本をさっさと読め。
③ の場合が一番厄介である。真面目にやっていて、論文の構成や書き方も知っているが何が楽しいかわからないやつ。この場合はとにかく自分の獲得したデーターを上から下から斜めから見つめるしかない。例えばりんごの研究をしているとする。この集まったデーターをどう並べたらこの赤いりんごが黄色いと言えるか考えることである。自分の味方を提示することで今まで見えなかったりんごの側面を提示することが論文なのだから。
朝から書評やら審査やらで山積みの本から3冊読んだら疲れてしばし寝る。起きてもうそっちの本に飽きたので読みかけの藻谷浩介『デフレの正体—経済は「人口の波」で動く』角川2011を読む。なるほどと思うこと多し。経済のことは本当に分からないことだらけなので、ここで納得していることが功をそうするのかも分からないが、今まであまり聞いたことがなくてでも的を射ていると思うことがいくつかあった。その一つは人口変動と経済の関係。すなわち今の日本はものを生産する人口が毎年減る。つまり定年する人が多い。それは消費する人が減ることを意味する。よって内需が減少する。内需が減少するのに一生懸命GDPを増やせば作ったものは外に売るしかない。売るために価格を下げるべく生産性を上げ、人件費を下げる。消費人口が減るのにその消費者の消費能力を下げるのだからさらに内需は減少するというこの悪循環が起こっている。この理屈はその通りと思わざるを得ない。著者の対策は3つある。
① 高齢富裕層の持つ資産を生前贈与で若者へ
② 女性に就労を
③ 外国人観光客の増加
一聴するとどうしてと?聞こえるが全ては上記の悪循環を断ち切り内需を拡大するものとなるのである。