太平洋に沈む夕陽
リマのような公共交通機関がバスしかなく、タクシーにタクシーメーターがついてなくて値段は毎回交渉という場所でどうやって移動するか途方にくれていたが、ルイスがuberを使えというのでアプリをダウンロードして使ってみた。なんとこれは便利なことか。こちらの場所はGPS上に表示されており、行きたい場所を入力して車のグレードを選ぶと近くにいるuberに登録している車が表示されその中の一台がこちらの要望を了承するとその車の運転手の名前、車種、ナンバーそして値段が表示される。それを確定すると数分でやってくる。安全だし値段は行く前に決まるし何時ころ着くかも分かるのである。これを使ってサンクリストバル(スペインの要塞があった丘)の上まで行ってみた。丁度夕日が太平洋に沈む時で絶景であった。
捨てろ
機中で外山 滋比古『知的な老い方』を読む。すでに90を過ぎた親父より年上のこの人の文章はなかなか過激。ものを捨て、役職を捨てろと説く。大事に買った本だけは持っておこうと思ったけれど70になったら考えが変わったという。誰ももらってくれないからこれは捨てるのが一番だという。僕も本棚だらけの家を構想しているけれどこんなもの70になったらクズかもしれない。外山氏を持ってさえ、本当に大事な本なんて数十冊しかないという。本を捨て勉強は図書館でしてホテルに住むことを奨励する。家はいらないか?
ものだけではなく仕事や役職もまわりから嫌がれるから捨てたほうがいいといい実際著者は定年2年前にやめたそうだ。仕事なんて自分で作ればいいと言う。なんともかっこいい。僕も見習おう。
B面建築
だいぶ前に川尻さんから頂いていた、川尻さんが担当された長坂常さんの作品集『B面がA面にかわるとき増補版』鹿島出版会2016をじっくりと見て読んでみた。冒頭の長坂さんの言葉はとてもわかりやすかった。素人がやっつけで作ったようなライブ会場の何とも言えぬかっこよさと大学でならった建築のかっこよさの埋めれぬ溝が少し埋まってきた。そしてそれをB面、A面と表している気持ち。とても理解できる。加えてこの作品集に載っているB面作品のカッコよさもよく伝わる。そうそうたる顔ぶれの解説がある。特に千葉雅也さんの言葉はそれなりの説得力がある。それでも彼の言葉の訴求力をもってしても、たんなる写真ではあるがこの長坂さんの作品写真の訴求力には勝てない。僕の場合建築写真のカッコよさを信じないほうだし、ビジュアルのかっこよさに興味がわかない方なのだがB面建築の場合はどうも違うようである。というのもそもそも長坂B面作品は今までの建築というものとはちょっと毛色が異なるからなのだろう。なんだかレイチェルホワイトリードのモニュメントのようでもあり、川俣正の破壊的なインスタレーションのようでもある。でもちょっとそれらとは異なるのである。こんなジャンル不定の物体なので写真がこちらの想像力を増幅させるのだと思う。こんな経験はそうあるものでもない。
そう見慣れているようでそうでもないものってそう簡単にできないのである。
なんとか第一部のチェエクを終える
ペルー行く前に『建築の条件』第一部の校正を終えるべく今週読み込んでいてやっとなんとか第一部4章が終わりそうでホッとしていたが、ふと気がついた。第4章は倫理となっているが、僕の原文は倫理性なのである。これは飯尾さんが直したのだろうか?倫理性なんて言う言葉はないと言うことだろうか?そう思ってもう一度章タイトルを考えてみた。僕の原文は以下の通り。
1章、男女性
2章、視覚性
3章、主体性
4章、倫理性
5章、消費性
6章、階級制
7章、グローバリゼーション
8章、アート
9章、ソーシャル
しかしどうだろう○○性というふうに皆揃えるというのもあるのだろうか?
1章、男女性
2章、視覚性
3章、主体性
4章、倫理性
5章、消費性
6章、階級制
7章、国際性
8章、芸術性
9章、社会性
しかし、社会性のある建築というより、ソーシャル建築という方が
ピンとくる。カタカナでソーシャルデザインなんて言う方が一般的だからである。芸術もそうだ。現代美術を芸術ということは少ない。アートとカタカナでいう方が多い。『地域アート』なんていう本もあるくらいである。
国際性もしかり。そこで例えば英語併記にするというのもあるのだろうか?
1章、男女性ーgender
2章、視覚性ーvisuality
3章、主体性ーindependence
4章、倫理性ーethics
5章、消費性ーconsumption
6章、階級制ーclass
7章、国際性ーglobalization
8章、芸術性ーart
9章、社会性ーsociability
でも最初の案が日本語で読むなら自然だろうか?
オチがない
この本(橘玲『言ってはいけない—残酷すぎる真実』新潮選書2016)が2017年新書大賞というのは驚きである。40万部売れるのはわかる。怖いもの見たさで多くの人が買いそうである。しかし本として価値あるかと言われればそうでもない。というのもそんなこと知っているよという話ばかりだからである。経済力のある家庭の子供は成績がいいとか、努力しても遺伝子が悪ければ成績が上がらないとか、美人の方が生涯年収が高いとか、、、、そんなことは統計そればそりゃそうだろう。なんかこういう事実を金出して確信したいとのだろうかとやや呆れる。そいうお前も買ったのだろうと言われるとそうなのだが、、、、しかし私は新書大賞なのだからもう少しパンチラインが効いているのだろうと期待していたのである。しかしそういうオチは何もない、、、、