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Apr 2017

国立ラ・プラタ大学のイアーブック

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by 卓 坂牛

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2016年の夏に理科大の学生を10人くらい連れてブエノスアイレスのスラム調査ワークショップをパレルモ大学の学生と行った。そのワークショップの前日にブエノスアイレス南方の都市La Plataに行きそこにある国立La Plata大学でレクチャーとスタジオクリティークを行った。あれから1年半経ったのだが、その2016年のLa Plata大学のイアーブックができて学科長のダニエル・シルベルファーデンの友人が日本に持ってきてくれてついでにアルゼンチンのお美味しいチョコレートといっしょに日本橋の三井ガーデンホテルに置いていってくれた。こういうイアーブックをきちんと作るのはペルーのカトリカ大学も同じであるしきちんと届けてくれるのが嬉しいものである。

中動態の建築

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by 卓 坂牛

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Architecture as Frame and Reframeをベースに据えて現在のプロジェクトを大分考えている。そしてふと思ったのだが、このframing reframingという行為をもう少し作為的ではなくできないか?と思うようになった。気がついたらframe があるようなそんな裂目みたいな場所が欲しい。敢えて言えばArchitecture as Framed(という受動態である)そう思いながらでもそうすると誰がframing したのだろうかと素朴な疑問が湧いてくる。一体能動態と受動態以外に「態」はないのかと思っていたらあった。
国分功一郎『中動態の世界—意思と責任の考古学』医学書院2017はまさにその疑問への答えがありアリストテレスの時代には能動でも受動でもない中動という態があったのだそうだ。
スピノザは「自由意志の否定」で「行為は意志を原因とする」という考えを斥けた。この話はとても理解できる。この前の千葉雅也の本でも我々は環境に乗っ取られているということに近い。意志は原因ではなく、結果なのである。かといって完全な受動とも言い難い。それはつまり中間である。他律と自律の曖昧なところである。そんな曖昧な状態を表す文法規定がないので困ってしまったのが最初の話である。設計のコンセプトは原因ではないのである。かといって結果でもない。中動態なのである。Architecture as Frame as it is.と言っておくか。

書斎完成

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by 卓 坂牛

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仮住まいとはいえ書斎は書斎。もともとあった500×1500という変形テーブルの上に漆の1500×900という大きなちゃぶ台を載せさらにレンガを噛ませ高さ880の背の高いテーブルを作った。表面漆が傷つかないように大きな書道用毛氈をかぶせた。なかなか落ち着く。アユールチェアの手前にはダンボールを重ねた(苦肉の策)高さ800の高いベッド。ベッドと机の間の距離は500。ふー。天井には2000円で買ってきたペンダントを逆さまにつけて即席間接照明完成。やっとネットも繋がってGWはゆっくりと設計しよう。

オルタナティブを作り続ける

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by 卓 坂牛

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この十字壁構造を作りつずける学生がいる。いったい彼を駆り立てているものは何かわからないのだが、前回も今回もひたすら、この構造模型のオルタナティブが登場する。その差は残念ながら格好良さのようなのだが、これだけ比較案を沢山作る学生は今時希少である。これに建築のリアルが入り込めばとても良くなると思う。

グッバイ荒木町

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by 卓 坂牛

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2005年に信大に赴任した時に下高井戸から通うのはしんどいということで事務所のある荒木町のそばに家を探した。偶然事務所から徒歩3分のところに破格で売りに出ていたマンションを見つけ住み始めてから12年たった。今日その場所はがらんどうになった。赤坂に転居する。今度住むところはここの半分の面積なのでものを捨てて捨てて捨てまくったのだが、それでもダンボール250箱くらいはある。僕のものはほとんど本。配偶者のものは書の作品その他。普通の人の3倍くらいの物持ちだろうと思う。さてこれが新しい場所にはいるのだろうかわからない。
思えば結婚してから30年の間に3回めの引っ越し。10年ごとに移動している計算である。あと20年生きるとしてあと2回引っ越すだろうか?このマンションは外人向けの作りだそうで廊下の幅は1200。ビデがついていているので大きな洗面。書斎もゆったりで本当にすみよい場所だった。しかし娘もいなくなり。もっと身の丈の大きさの場所にあまりものを持たずに住むことにする。グッバイ荒木町。
新居 〒107−0052 港区赤坂6−5−27−202
鹿島デザインの隣の隣で鹿島デザインの設計である。

アウトライナー建築

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by 卓 坂牛

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千葉雅也さんの『勉強の哲学』で紹介されていた文章作成ソフト「アウトライナー」のハウツー本を読んでみた。具体的にはworkflowyというようなソフトを使う。シェアソフトなのでダウンロードしての使ってみた。このソフトがすごいと言われる所以は、「文章は骨格を作ってそれを肉付けしていくもの」というこれまでの考え方を覆し、「文章は骨格を作りながら、ディテールを同時に考えそれに興が乗ると骨格を変える」つまり常に部分と全体の往還運動で文章を作れるソフトだという点である。
この画期的なアイデア:トップダウンとボトムアップをシェイクさせながらものを考える方法は文章作成だけに用いているのはもったいない。建築の設計もこれで行ける。あるいはそうしたほうがいいと直感的に思う。
その昔建築はほぼトップダウンで全体性から部分へ降りてくるのが王道の設計だった。それに異を唱えたのは原広司であり彼は部分から考えよと主張し続けている。しかし考えてみると部分から考え続けるのは一つの全体を作らねばならない建築としてはやや無理がある。あるいは部分と全体の中庸というほうが新たらしいスタンスであろうと思われる。全体の骨格のシルエットを考え急に部分の開口部のリズムに気が散りそれを徹底してデザインすると全体のコンポジションが変わり再度ファサードを修正する。というようなことをいとも簡単にやってしまうCADソフトができないものだろうか?

論理トレーニング

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by 卓 坂牛

4年生のプレディプロマとして最初に茶室解体という課題を広谷さんとやっている。狙いは、ある既成の建築(論理構造)を換骨奪胎するトレーニングである。卒計は何らかの形で自分らしさを出さねばならないが、そう簡単にオリジナルをつくることはできない。そういう時に有効な方法は優れた論理構造を借りてきて、自分のものにしてしまうことである。さてではどうするのか。例えば内省的に小宇宙を作るという茶室のエッセンスを外向的に世界につなげるという論理の対立構造を作るのである。そしてこれをベタにみせるのか、通奏低音のように響かせるのかは建築力である。もちろんこの力もないと作品にはならない。

ロウソクが6本

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by 卓 坂牛

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明日誕生日ですが一足先に研究室の皆様からケーキをいただきました。これめちゃうまい❗️ありがとうございます。それから大好きなマルベック。今晩呑みます。そしてヨガマット。研究室ライフが充実しそうです。ケーキにロウソクが6本。不吉です。
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ノレないこと

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by 卓 坂牛

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この本輪読本に入れておくべきだった。千葉雅也『勉強の哲学—きたるべきバカのために』文芸春秋2017は完全に建築の哲学と読み替えられる本だし、最近建築で僕が考えていることがそのまま一般論として語られている。
曰く人間は基本的に環境というノリに乗っ取られている。勉強をするということはその専門分野のノリに乗り換えることで、それは一般のノリに乗らないことなのでノリの悪い奴になるということである。そして複数のノリの狭間で板挟みになってどちらにもノレない状態に新たなクリエィティブな状態が、真の勉強があるという。
建築はまさにそうである。大学で教わった篠原スクールのノリがあり日建設計で教わったノリがある。これは全く違うものだし、それぞれがいいねというものはぜんぜん違う。しかしそれぞれに所属していた自分はそれぞれの環境で適当にノッテいた。そして今は別にどこにも属していないのでどこにノル必要もないのだが、世の中一般というノリがある。それも日本とスペイン語圏と英語圏ではこれも全くノリが違う。そしてそのどれかにノッテはいけないのである。どれにも乗れないで困っているダサい奴にならないと建築は作れない。そしてそこにクリエィティブがあり勉強がある。大学生にはまだ早いかもしれないけれども。

久しぶりの坂町トーク

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by 卓 坂牛

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昼は翻訳勉強会で夜は久しぶりの坂町トーク。宮さん、木島さん、中川くん、とゲストに天内さん、呉さん、坂牛研のラトゥールがやってきた。今日は僕がペルーの話をするということで木島さんと宮さんがペルー料理をたっぷり作ってくれました。ワインはアルゼンチン。ペルーの話の後に天内くんが入ってきたラトビアの話、その後宮さんが昨日行ってきた日土小学校の写真をみせてもらい今日は盛りだくさんな夜でした。