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Oct 2017

崖地の緑

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by 卓 坂牛

ランドスケープの西田さんとオリンピックに向けた東京のまちづくりという提案書を作った時にどうやって東京の緑を残し、増やすかという話をした。彼曰く、東京の町はご存知のとおり手のひら状に谷が丘に入り込んでいるのでそこに生まれる急勾配の土地に建物が建てられずに緑が残っているのだという。その緑は貴重でそれを残さないといけないと言っていた。そんな場所あるのかと思っていた。というのも四谷あたりだと結構そいう急勾配の場所にもしがみつくように建物が張り付いているからである。そんなわけで今日自宅から赤坂通りを超えてTBSの裏に登っていく不思議な階段を上った時にその両側に生い茂る緑に遭遇して、「ああこれだな」と了解した。この緑は一体誰の管理下にあるのだろうか?

エクセル東急ホテル

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by 卓 坂牛

jogarch 2 隣の赤坂プリンスか2011年に29年の短一生を終えたにもかかわらず、このパジャマホテルは1969年生まれだが健在である。このシマシマが今ではすっかり風景になった。

教師という職業

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by 卓 坂牛

オリンピックの年に学習指導要項が、変わる。またゆとりか?と怪しい気持ちにもなるが。うわさにいろいろ聞こえて来るものを少し予習してみる。斎藤孝『新しい学力』岩波新書2016を読むとおおよそのことはわかる。自発的な問題解決力を学び生きる力を培うと言うものだ。結構いいこと言っていると思う。その具体的な学び方の標語がよく聞くアクティブラーニングである。
さてここで考える。どうしたらアクティブラーニングが可能か?ICTを活用せよと言う。ディスカッションせよと言う。このどちらも10年前からやっている。更に去年から自分の話す時間を、かなり削り議論に時間を使うようにしている。アクティブラーニング的な教育にかけてはかなり先端を行っていると思っている。偉そうだが、そんな僕が思うアクティブラーニング成功の秘訣は学生数が少ないことと教師の予習と振る舞いである。学生のモーチベーションを上げるにはそれなりの努力と工夫が必要なのである。それはもはや学者としての能力とはあまり関係ない。
しかし、とふと思う。暗記教育に意味が無くて生きる力の方が大事なのか?と問われたら、ノーと言うだろう。両方大事。暗記受験勉強おおいに結構。大学に入ってからでは大変だ。高校時代に覚えられることは全部覚えた方がいい。単語、漢字、年号、定理、公理。それでアクティブになれるよう教師は工夫せよ。教師は本当に大変な仕事である。厳しく選び厚くもてなすべきである。

野戦病院の治療

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by 卓 坂牛

仮住まいの机の上は洪水で日々迫り来る本の波に潰されそう。先週から五月雨式に来ては赤を入れて送り返す4年生の論文の梗概も少しは見られるようになってきた。論文の赤入れというのは野戦病院での治療のようである。皆瀕死の重傷である。骨折してたり、脱臼してたり、炎症を起こしているので人間として機能しなくなっているのが大半の論文である。食い込んだ弾丸をピンセットで取り出し、消毒して、折れた足をギブスで固める。毎日治療して、満身創痍だが歩けるくらいにはなってきたところである。

歴史の書き方

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by 卓 坂牛

昼からウィグリーの翻訳読み合わせ。やっと3章が終わった。だんだんわかって来た。この本は、ムテジウスあたりを下敷きにして、ギーディオン、あるいはモダニズムという歴史記述を批判する本なのである。特に、そもそもファッションをベースにしたプレモダンのデザインがモダニズムに移行した時にあたかもファッションは悪者であるとしたのがギーディオンだと言うわけである。しかもその理由は女性的であり、性的であるから。しかしどうもウィグリーはそういう批判も絶対だとは思っていない節がある。この本は9つに分かれているがcaphapterではなくtakeである。つまり近代建築と言う事実を9つの書き方で描くつもりなのである。そのどれもが事実であるかの如く。

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by 卓 坂牛

昨日大阪を歩き回って東京に戻ると坂が多いあと改めて思う。

何をすべきか

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by 卓 坂牛

隠者たちの草庵が脱都市を目指したのに対し、茶室は「市中の隠」と言われることもある。と著者は言う。今日見た積層の家のあのものの少なさは大きさの問題としてではなく、生活の仕方の精神として茶室である。積層の家はその住人の生き方に始まりその作り方に至るまで徹底した合理性に貫かれていることがわかってきた。これはおそらく僕が距離を置くことである。彼の家を見せてもらうことで自分のやるベきことが自覚された。

関西建築

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by 卓 坂牛

午前中遠藤克彦さんの事務所をたずねる。大阪の美術館のコンペに勝ち。事務所を大阪に引っ越し。シーザペリの隣りに立ち上がるたてよこ60メートル高さ18メートルの黒い箱が浮いている。今時稀有なザ•オブジェクト建築。痛快。見方によっては西洋美術館のようでもある。黒へのこだわりが、遠藤流。淀屋橋で日建の新しいオフィスが二つ目に入る。ダイビルの2メートルのキャンチレバーは川島さんの作と聞く。日生の旧館の後ろの柔らかい新館は大谷の作。性格が出るもんだ。
三ノ宮の積層の家を遠藤さんと訪ねる。大谷さんと奥様に迎えられたその空間ははるかに想像を超えるものだった。二つ階段があり狭いのに回遊できること。PCの隙間が家具を挟みこむスペースであること。階高が下に行くほど小さくなっていること。土地を手に入れてから建物の完成まで7年かけたこと。積層にしたのは敷地が狭く、内側から人力で材料を積み上げられるようにするためだったこと。竣工までのスケッチが800枚くらいあること。まだまだあるが書ききれない。これはもはや建築では無い。新たな空隙の発明である。

 

縮小ニッポン

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by 卓 坂牛

2035年には首都圏でさえほぼ全域で人口減少へ転じる。一体どうなることか?それを提案するのか政治であるはずだが経済活性化のみを前面に押し出すのみで下り坂を降りる覚悟とその降り方を示してみせる見識と勇気ある政治家は現れない。