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Nov 2017

昭和の住宅

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by 卓 坂牛

jog arch 14その昔家庭教師をしていた家の隣の道に古い洋館が建っていた。教え子がレストランだと教えてくれた。その裏の大学に通っていた母親に聞いたら確かにそんな洋館があったと言っていた。今でもあるのかと行ってみたらあった。良かった。調べると1934年に竣工している。近くに有名な昭和の家がいくつかある。1959旧山田守自邸、1954旧岡本太郎自邸(坂倉事務所)、1954旧マース・カニングハム邸(アントニー・レーモンド)どの一つも似ていない。昭和半ばの建築家の強い個性がほとばしる。

成長と定常の共存

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by 卓 坂牛

佐伯啓思の言っていた、成長する社会と定常社会が共存する社会を構想したい。そんなことを言うとすかさず旧態依然とした御用経済学者達は非現実的だと言うだろう。しかしそんな輩には言わせておけばいい。そのくらいの社会の転機に来ていることは火を見るより明らかなのである。しかしそれを実現するにはまず教育の多様性を社会に根付かせないといけないだろう。エリート至上主義モノサシを根絶し、いくつかの豊かな生き方の教育的道筋を提示しないと社会の多様性は実現不可能である。

中庸

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by 卓 坂牛

こういうタイトルの著書は常に反論を受けるが成長率が0の社会は決して衰退する社会ではないと先ず前置きして、市場経済というものがおよそ人間の社会的な存在を無視して数字的に成長することのみを是として作り上げられてきたかを事細かに説明し、そしてもはやそうした成長が人間の社会性を犠牲にしていることを明らかにしていく。

しかしここからがこの著者のユニークなところだが、そうした進歩史観的で成長信仰を否定はしない。人間にはそうした外延的拡張のモメントがある一方で内向的凝縮のモメントもあることを説く。そしてそうした外と内への力は3種類あるという。

  • 人間の社会性をめぐるもの

外延的拡張モメント—グローバリズム、情報ネットワーク

内向的凝縮モメント—家族主義、親密圏への引きこもり

  • 人間の生死をめぐるもの

外延的拡張モメント—延命治療や生命科学を使った生の延長

内向的凝縮モメント—死の受容や諦念、生の瞬間的充実

  • 達成をめぐるもの

外延的拡張モメント—理性主義、科学主義

内向的凝縮モメント—宗教的内観、哲学的観照

そしてこれら3種類に二つのモメントの中庸をさぐるのがこれからの世界ではないかという。すでに外延的拡張で出帆した地球が急にこれを止めることは難しいだろう。しかしそれに対して内向的凝縮モメントが働かし「中間接近」は可能であろうと述べる。

私はつくづく共感する。外向きも内向きもそれぞれ認め、多様性を維持する寛容なる社会がこれからは望ましいということだろう。建築のアカデミックな分野でも両方あるべきなのである。

 

被覆性

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by 卓 坂牛

jog arch 13 とある学生が建築は毎回敷地もクライアントも違うのだから同じスタイルで作るのはおかしいといっていた。一理ある。たとえばそれを実践しているのはラファエル・モネオのような建築家である。はて、隈研吾と言う建築家もスタイルを持たないと言えるか?いや彼はスタイルがあるが大きく変える。しかもその表層で変える。彼は20世紀の建築に欠如していたものとしてゼンパー以来の被覆性を強調している。ファッションのように軽快に着替える建築。上からドーリック1991,建築史再考1989年,暗闇坂宮下2〜4,梅窓院2003。

アンリアレイジ

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by 卓 坂牛

7CD6A946-636E-4577-AA77-FD0BFE32ABCDアンリアレイジの展覧会が明日から池袋パルコで行われる。今日はオープ二ングレセプション。森永さんも来ていてお祝いを言う。ここ3年くらい腰を据えて光と影をテーマに作り続ける姿は建築家のようだ。パリコレの表と裏の映像を見ていると建築にはない一気に上り詰める緊張感に震える。ファッションショーは空間と音と光と服のコンピレーション。生まれ変わったらこういう仕事してみたい。

ルワンダという国

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by 卓 坂牛

同級生の若林さんに勧められて読んでみた。服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』中公新書1972。物心ついたころから自分の進みたくない職種ナンバー1が金融と保険だった。理由はいろいろあるが簡単にいうとつまらなさそうということなのだが、やはりどんな職種であろうとトップに立つ人の仕事っぷりはすごいものであり感動を呼ぶ。日本銀行に勤める著者がIMFの依頼でルワンダ中央銀行の総裁として勤務することになり、銀行自体もぼろぼろ、総裁室に机と椅子しかないようなところから6年で立て直し1971年に帰国するまでのお話である。途中専門的な話はよくわらず飛ばしたが、あるところでは喧嘩をし、あるところでは親身になって地元の人を支え、冷静に正義を貫き大統領のブレーンとなって国の基礎を作った姿は涙である。
そして今ルワンダは
・一人あたりの名目GDPは1980年から見て現在の数字は約30倍、
・経済成長率8%
・首都キガリは東アフリカ諸国の中で最も犯罪率が低い
・国会議員の64%、裁判官の60%、大臣の34%、地方議員の44%は女性
こういう国がアフリカのど真ん中にある。たかだか四国くらいの大きさの国なのである。
学ぶところがたくさんあるのだろうなあ。そういう国の基礎を作った日本人服部さんは今のルワンダの姿を見たら感無量だろうなあ。

オフィスビルの場所と形

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by 卓 坂牛

jog arch 12 青山通りに面して吉村順三と谷口吉生のオフィスビルが並んで建っている。昨日の大高、新居の如くこちらも年の差は40才。しかしデザインには40の年の差は現れてはいない。

そこから少し青学の方に進みキラー通りを右折すると程なくして、下比越さんのオフィスビルがある。キラー通りに入ると街区が不整形になり敷地に鋭角なコーナーが現れそれがデザインにストレートに現れている。

道の逆側ワタリウムの脇を入ると袋小路でここに北川原温さんの小さなオフィスビルがある。路地裏にカオティックな様相を呈している。

青山通りは商業地域で700/80。キラー通り沿いは近商で300/80とガクンと落ちる。そして路地に入ると一種中高層住居で300/60。東京の典型的な容積配分の理由はいろいろ言われる。幹線道路沿いの排気ガス遮蔽壁とか、大火災があってもここで食い止めるなどなど。環境、防災的問題もあろうが、期せずしてそのビッグウォールは背後のミクロストラクチャーを保存してきた。外国の建築家たちが東京を歩いて最初に感動するのはこの点である。そしてこういう都市構造にずっと注目してきたのが槇文彦である。
幹線道路沿いはフォーマルドレスをそういうデザイナーがデザインし、一つ横に入りカジュアルになりもう一つ入ってストリート系に変化する。それぞれの場所と装いにはそれなりの役割分担がありそれぞれのトップデザイナーがデザインする。こんな多様性が東京の街を面白くしているわけである。だから偶然残ったミクロストラクチャーはそう簡単に壊してはいけない。

久しぶりに甲府

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by 卓 坂牛

最近山梨と言えば富士吉田に来ていたのだが、今日は甲府。久しぶである。いつもこの小山を車窓から見ると甲府に来たなと思う。このあたりに地縁も血縁もないのだが、知縁(知人の縁)があり長年来ることになる。しかしこの知縁が私を子供の世界に誘い込み今4つめの児童養護施設の設計をし、今日はとあるお寺のご相談に伺う。

建築に内発する力

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by 卓 坂牛

建築の条件の授業の倫理性の後のウェブクエスチョンでこう聞いた。

さて倫理性。
ずばりあなたが感じる建築の常識、あるいは先生がさも当然に言うこの一言、おかしくない??と思うことを書き、どこがおかしいと思うかその理由を書いてください。23の回答のうち一番多かったのは 地域と繋がるが5人周囲に馴染むが3人。環境に開くなどが2人。彼らの大方は言われていることは分かるけれど、、、、建築の外から建築が決められてしまうのではなく、建築に内発する力で建築を作りたいと言う風に考えているようだ。

安倍よひとりいい気持ちに浸るのは慎みなさい

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by 卓 坂牛

トランプは日本がmassive amounts of military equipmentをアメリカから買うと言っている。安倍がゴルフやりながら調子にのってイエスと言ってしまったのだろう。そもそもゴルフ交渉はトランプの土俵でそこにのこのこ上がって行った時点で負けである。外交は戦いなのだよ。
北朝鮮ミサイルを話し合いで解決しようとせずアメリカに倣えを貫くのは全てトランプの差し金である。トランプは未だに世界の警察官ぶりをやめようとせず呼ばれてもいないのに世界中に軍事力の出前をして(トランプだけじゃなく、ブッッシュていうのもそんなことをしていたが)非難されている。そして東アジアにも出前をするために、まず北朝鮮と丁々発止の大げんかパフォーマンスをやって金を怒らせミサイルを飛ばさせる。これで東アジアは緊急事態となる。こうなれば韓国、日本はアメリカを頼りにせざるを得ないという国民感情が生まれこれでアメリカに出前の電話が入るというものである。いくら買うか知らぬかその予算を財界に頼らず子供教育費に回したらどうだろうか。安倍という情けない人よトランプと友達となった気で一人いい気持ちになるのは謹んでいただきたい。