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Dec 2017

建築に何が可能か

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by 卓 坂牛

この本の中に好きなフレーズがある。「本来非決定的な行為である建築の設計、、、建築の方法とは、非決定性を決定性に転化させる理論のことを言う」これを読んだ時から建築の設計とは妥当性を問うものでしかないと思うようになった。

この本は1978年の3月に丸善で買ったと裏表紙に記してある。大学に入る前である。お世話になっている本のひとである。

槇さんの建物

On
by 卓 坂牛

数年前ウィーン工科大学の客員教授をすることになりオーストリアのワーキングビザが必要になった。ひどく面倒臭い書類をたくさん書いて大使館に何度か足を運んだ。それでもそう簡単にはビザはもらえずやっとのことでパスポートに印をおしてもらった。大使館は麻布の坂の険しい坂の途中に建っている。槇文彦の設計だと知ったのはその後である。1976年竣工で黄土色のマットなタイル貼りである。断面的には道路斜線でRでセットバックしているのが特徴的である。その後EUの建築会議などで大使館職員とも知り合いとなり交流するようになった。そこから数分のところに同じ槇文彦設計のテレビ朝日がある。こちらは金属ルーバーとガラスカーテンウォールのピカピカした建物で2003年にできている。こちらは敷地の形状から平面的にRが入っているのが印象的。槇さんのたてものは今も昔もモダンな水平垂直にさらりとRが入るその入れ方もごく自然である。