槇さんの建物
On
by 卓 坂牛
数年前ウィーン工科大学の客員教授をすることになりオーストリアのワーキングビザが必要になった。ひどく面倒臭い書類をたくさん書いて大使館に何度か足を運んだ。それでもそう簡単にはビザはもらえずやっとのことでパスポートに印をおしてもらった。大使館は麻布の坂の険しい坂の途中に建っている。槇文彦の設計だと知ったのはその後である。1976年竣工で黄土色のマットなタイル貼りである。断面的には道路斜線でRでセットバックしているのが特徴的である。その後EUの建築会議などで大使館職員とも知り合いとなり交流するようになった。そこから数分のところに同じ槇文彦設計のテレビ朝日がある。こちらは金属ルーバーとガラスカーテンウォールのピカピカした建物で2003年にできている。こちらは敷地の形状から平面的にRが入っているのが印象的。槇さんのたてものは今も昔もモダンな水平垂直にさらりとRが入るその入れ方もごく自然である。
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