コミュニタリアニズム
ソーシャル建築は昔はソーシャリズムに結びつくのだけど、現代ではサンデルが説くコミュニタリアニズムに後押しされるものと言えそうだ。コミュニタリアンニズムはリベラリズムと次の点で異なる。それはその制度政策の妥当性の基準がコミュニタリアニズムは善い/悪い、リベラリズムは正しい/正しくないに根拠付けられる点である。善い/悪いはとある共同体の中で了解される生の基準であり、正しい/正しくないは善い/悪いが異なる基準を持つ複数の地域にまたがる場合にそれを律する上位の規範的基準なのである。つまりリベラリズムはよりグローバルを志向し、コミュニタリアンニズムはよりローカルを志向すると言えるだろう。
須賀川市民交流センター
理科大に来て最初に修了した院生K君の担当した建物、須賀川市民交流センター(設計、畝森建築設計事務所+石本建築事務所)が完成したので見せてもらった。k君は畝森事務所に入りこの建物の実施設計から参加し現場に2年いて監理をした。スラブをうまく配置して内外に様々な場所を作りその操作が自然に外観に現れている。沢山の市民で賑わう様は設計者冥利に尽きる事だろう。
Tom Heneghan
トム・へネガンの芸大退任を記念して作った冊子をいただいた。冊子と書いたが正確に言うと181ページある本である。内容はトムの師であるピーター・クック、ヨコミゾマコトのイントロに始まる。本のタイトルはSpeculationであり近代建築とは何かを思索するものである。彼はそれを9の事象とそれを体現する建築家のセットにまとめた。1先例と発明―スターリング、2革命―ル・コルビュジエ、レオニドフ、メルニコフ、べスニン兄弟、マイヤー、コールハース、3時代精神―アーキグラム、プライス、フラー、4技術―ロジャース、フォスター、シャロ―、インベルニッツィ、5結構―ツムトア、レベレンツ、6自然―マーカット、7光、風景―ル・コルビュジエ、フェーン、サーリネン、安藤、8地―ハディッド、ウッツォン、ツムトワ、リベラ、リン、9意味―磯崎、ミケランジェロである。近代建築はだれが何を書いても一つのストーリーなのだが、このストーリーはわかりやすい。技術、自然、社会が時代を築いたのであり、とんでもない天才たちがそれを導いたあり様が書かれている。建築家であるトムが建築家の力を信じて書いた素敵な本である。こんな講義を英語で受けている芸大生は幸運である(あった)。
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