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Dec 2007

親父

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by 卓 坂牛

朝から建築雑誌の原稿のためにいくつかの洋書をひっくり返して飛ばし読みしてみた。テーマは80年代の建築論。ジェンクス、ニール・リーチ、マイケル・ヘイズ。日本では80年代は空白の時期と言うことになっているのだが、欧米ではそんなことはない。日本ではこの時代がポストモダンの時代として歴史から抹消されようとしている。そんな歴史観に少し前までは賛成していたのだが、今はちょっと違う。ポストモダン=バブル=空白と言う考え方は余りに歴史を図式的に単純化し過ぎている。それをどういう風に逆転したらよいのだろうか?と考えているうちに夕方になってしまった。
夕刻一年ぶりに親父たちや兄貴家族と飯を食う。親父は今年大病をしたのだが、だいたい直り上機嫌。毒舌が絶好調。最近の政治は?と聞くと、「小泉はただのあほだが、小沢はまだまし。あいつは東大三回落ちてやっと慶応。英語はおれが少し教えたが全くできない。福田は東大二回落ちてやっと早稲田。かわいそうなやつ。人間的にはまあかわいい」。この歳になると殆ど親父より年下なので誰でもかんでも阿呆呼ばわり。年上はいないのか?と思いナベツネは親父の先輩?と聞くと、「ふざけんなあいつはおれの二個下だよ」などなど。お爺さんの毒舌は延々と続く。この酔っ払いお爺さんに聞き入る孫三人。こんなお祖父さんをもった孫たちは一体この人は何者だろうと不思議に思うのではなかろうか??まあこういう変なおじいさんの滅茶苦茶な発言を聞いて世の中の不条理に文句を言える人間になってくれれればそれに越したことは無いのだが、、、

悪党

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by 卓 坂牛

滝口範子『行動主義 レム・コールハースドキュメント』toto2004を読んだ。予測はしていたけれど、こいつかなりいい加減な奴であることが理解された。でもいい加減だからできるさまざまなことがあるということもよく分かった。コールハースの建築はかっこいい、、、のだが時として急に醒める。その理由を、この本の中のインタビューで伊東豊雄が言い当てていてる。「それは99%の建築家がたどっている『かたちを生み出すプロセス』を割愛するということです・・・・レムの場合は、その普通の建築的土俵を踏まない。プログラムのダイヤグラムが突然かたちに変わると言うようなこともあって、こんなグラフィックで描いている物をいきなりかたちに移してしまっていいのか、」。そう、意図的に彼は、ダイアグラムを直接、形に変換する。そのやり方を真っ向から否定はしないし、レムのことだから、直接形にすると言ったところでとんでもない量のスタディをしていることは分かっている。しかし時としてダイアグラムがややシンプルに過ぎないか?と感じる。あまり確信があるわけではないのだが、ダイアグラムと言うヤツは抽象の産物である、物事のメジャーな部分だけをぐっと掴み出したものなのである。それをそのまま形にするということがとてもモダニスティックにみえてしまうのである。ダイアグラムは否定しないが、ダイアグラムは可能な限り錯綜しているべきものである。
しかし建築はともかく、彼の不良のような生き方はぞっこん惚れ込んでしまう。人間は年嵩を増すと共に修得してしまうものがある。貫禄、衒学的な知性、権威、等などが倫理と言う隠れ蓑に包まれながら醸し出す雰囲気である。そのおかげで人間はどんどん醜くなっていくのだが、彼にはそうした余分な物がくっ付いていない。どういうわけかこうしたピュアな人間は大人の世界では悪党と呼ばれてしまう。しかし、その部分だけは文句なくカッコいい。

リニアモーターカー

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by 卓 坂牛

朝一で現場へ。今朝までに完成させると言っていたのはどこのどいつだ。まあできるわけは無いと思ってはいたのだが。工務店の所長にいくつか注意、修正点を残し現場を後にする。飛行機の時間まで少し余裕があるので、昨日の本屋に行く。dongさんに、中国で今一番流行っているポップス、アイドルソングなどを店の人に聞いてもらい、10枚くらいdvdを買う。中国ではdvdもcdも値段は同じようである。一枚300円程度。海賊版ではなくてこの値段である。ついでに都市の観光dvdも購入。果たしてどんな映像か?
本屋を後にし、いつもならタクシーで空港だが、今回はリニアモーターカーを使うことにした。ところがこのリニアの駅が上海市の中心から少し遠い。15分くらいタクシーに乗り駅へ。30分に一本くらいずつ走っている。料金は40元(600円)。社内にはスピードメーターがついている。250キロを過ぎたところから未知のゾーンである。車体の揺れが激しくなる。周囲の風景はまさに流れるようである。時速430キロまで出た。秒速12メートル。と思ったのもつかの間。減速に入りおよそ5分くらいで到着である。
プードンは帰りもがらすきである。体調はあまりよくない。今日の忘年会は控えておこう。ここで体調を崩すとちょっとまずい。

衝撃的な日

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by 卓 坂牛

現場の近くということで泊まっているHutaing hotel は、古いホテルだが五つ星。この季節はオフシーズンだろうか?一泊一万円くらいで朝食もついている。その朝食も数種類のバイキングでとても美味しい。朝、風邪気味なので薬がないかとマネージャーに聞いたら、ものの数分後に日本人のアシスタントマネージャーが体温計を持ってやってきて、近くの薬屋にポーターを買いに行かせてくれた。とても親切なホテルである。
朝食後現在設計中のリサイクル工場の敷地がある大倉市まで車で行く。薬のせいか眠気が襲う。午前中はプロジェクトマネージメント会社と入札管理の契約、敷地の雨水排水の方法などについて検討打ち合わせ。あっという間に1時。昼食後地元の設計院で細かい設計の打ち合わせ。この設計院はプロジェクトマネージメント会社が選び夏に紹介された。その後確認申請や実施設計を共同に行ってきた。ナカジが隔週で出張し、指導してきた。ナカジはもう何度も来ているのだが、僕は今回初めてその事務所を訪れた。そして余りの劣悪な環境に気持ちが悪くなってしまった。文化というような言葉が存在しない国にやってきたのかと思うくらいひどい。会議と言っても会議室があるわけでも無い。社長の部屋の応接セットで始める。換気が悪いので窓を開けて行なう。しかし余りの寒さに風邪が悪化し頭はボーっとなる。最初はいろいろ発言していたのだが、あまりに自分の発言が彼等の常識の文脈とずれていることに気付きもうしゃべる気がしなくなってしまった。その上、寒さと寒気で後はナカジに任せてさっさと帰りたかったがそうも行かずジット我慢して打ち合わせの席に居た。まあ彼等は確認申請を通してくれれば役目は終りなのだからそれでいいことにしよう。もう二度と来たくは無い場所である。
夕方ケーキ屋の現場にもどりクライアントと会い現場を確認。こうした現場は出来上がるそばからいろいろなことに気付く物である。相手が悪い場合もあればこちらのうっかりということもある。なんとか修正策を考案し、やってもらうよう説き伏せる。つらい一日がやっと終わる。

上海現場

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by 卓 坂牛

7時半に東京駅でナカジと会い、成田エクスプレスで成田へ。10時半の上海行きに乗る。フルフラットになるビジネスシート。ナカジも僕も寝不足のためフルフラットで眠りこける。1時半に上海到着。いつもはひどく混む入国管理が全く待たされなかった。通訳のDongさんと市内へ。ホテルチェックイン後、ケーキ屋の現場へ。何点か図面どおりではないところがあり修正を依頼する。ステンレスの切り板が金属メラミンとなっている。いろいろ交渉したがこれだけは直らない。その代わりにライティングダクトにつけるハロゲン照明を塗装して欲しいと要望する。今晩塗って明日持ち込めるという機動力には驚いた。さらにその器具を20個追加してもらった。なんと塗装しても20個で僅か3万円。安い。現場を後にして上海一大きい本屋へ。我々の作品を載せるといってデーターを送ったのに送られてこない本を探す。みずから検索コンピューターをチェックしたが、結局見つからなかった。夕食を簡単にとってホテルへ戻る。風邪気味なのだろうか?さっさと寝よう。

大掃除

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by 卓 坂牛

今日から大学は休暇を頂いた。朝一の新幹線で東京。9時半に事務所。茶室の打ち合わせを行う。うんなかなか思った色ができたし、ランダムさのバランスがいい感じになってきた。嬉しい。壁面のデザインはほぼいけそうになってきた。壁面ばかり気にしていたが、壁面のおおらかさに比べて床面がかなり硬い。畳が半畳を九つ正方形に並べるのが今ひとつである。そこで壁面と同様な、長さ2メートル70、幅50センチくらいでやや台形の畳が欲しい。できないだろうか?いずれにしても行けそうなので今日クライアントの社長をつかまえ見せてしまいたい。
その後事務所の大掃除を開始。毎年これが結構大イベントである。朝からやってしかり夜までかかる。先ずはカタログ室の年次の古いカタログの廃棄。これが半端な量ではない。そして材料室の材料整理。一年間に取り寄せているサンプルがこれもまた半端な数ではない。材料室は12月になると足の踏み場が無くなる。これも不要な物を廃棄する。そして模型室の整理。ここは年に2回整理しているのだが、ここも年末になると足の踏み場がない。プロジェクトごとに一つは残すが、後は写真を撮って廃棄する。そしてその後、床の白いビニール長尺シートにクリーナーをかけナイロンタワシでこすりきれいにしてからワックスがけである。やっと1年間の垢がとれた。6時頃やっと終わる。それから、かの有名な焼肉屋「羅生門」で忘年会である。明日から上海出張なので今日は酒を飲まず、ウーロン茶である。
数日前インド工科大学の3年生から来年の夏ofdaでインターンシップを行ないたいというメールが来た。あまり気に留めていなかったのだが、この大学は結構有名な優秀大学であることを知った。しかし建築はどのようなものだろうか?その頃席が空いていればokしても良いのだが。

へとへと

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by 卓 坂牛

12月25日
今日はスケジュールが分刻みでアップアップだった。9時から会議、九時半から会議、10時半から講義、12時からランチを取りながら学生の相談を聞き、午後製図、5時半から会議、6時半から学科の忘年会。今日帰るつもりだったが、諦めて一泊。へとへと。

時間が、、、

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by 卓 坂牛

朝9時に四谷で友人と朝食。彼女とは高校を出てから年に2回くらいは会っているだろうか。現在はニュヨークに住んでいるのだが、年に2~3回日本に新鮮な日本のアートシーンを探りにやってくる。クリエイティブな話をできる数少ない友人である。2時間くらいと思っていたら昼になってしまった。午後は年賀状の名前書き。終わって少々読書。10+1の49号が届いた。2編ほど論考を寄稿している。「モンスターは何を語るか?」と題して日本でのデコン建築の意味するところを問うた。もう一編は「モダニズム言語は死滅したのか?」と題して21世紀の言語の可能性を考えてみた。10+1が来たことで年明に『建築雑誌』に出す原稿のことを思い出した。締め切りが気になる。1月半ばと思っていたのだが、確認したら7日だった。うわー日が無い。年末年始予定が詰まっているのでゆっくり考える時間がとれない。

dvd

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by 卓 坂牛

昼からA0の勉強会。健康がすぐれないメンバーが多く、今日も井上君と二人で粛々と行なう。落ち着いて英文を追いかけるのは楽しいが、なかなか進まないのは困りものである。この調子でいくと三年かかる。フー。夜家族の希望で新宿にdvdレコーダーを買いに行く。電機メーカーに勤める兄にどこのdvdレコーダーがお勧めか電話で聞いたところシャープを勧められた。値段が一番安いし良さそうである。ヨドバシで兄から聞いたビックカメラの値段を言ったところ、すんなりその値段で売ってくれた。dvdレコーダーなど買うとテレビ漬けになるのでは?と心配なのだが、兄に言わせれば、よくできたプログラムだけを全部録画して、くだらない番組が流れないようにしてしまえば価値はある。つまり自分なりのプログラムを作ってしまえと言うのである。まあ予約をするというのがそもそもキライな僕の体質には合わないのだが言うことは理解できる。

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by 卓 坂牛

12月22日
午前中はスコットの本を読んでいた。午後娘が通知表を持って帰ってきた。少し成績が上がったようで歓喜の声。事務所に行き打ち合わせ。茶室の室内展開のカラースキームを見る。予想したようにはならないことが分かった。時間も無いけれど考え直しかな?夕刻setenvの入江君の新居を三軒茶屋に訪ね、最近のミュージックシーンについていろいろ教えていただく。更に東京工場で行なったvariations の展覧会のまとめ方や中国工場でのイベントの可能性について話をする。雨の中帰宅。久しぶりの雨である。