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Apr 2008

A0

On
by 卓 坂牛

一体この春の嵐は何時まで続くのか?いい加減に晴れ渡って欲しい。昨日の夜は建築談義に花が咲き面白かったが少し遅かった。スタッフの一人は徹夜で模型を作らねばならず事務所に戻った。果たしてできたのだろうか。午後からA0の翻訳読み合わせで事務所へ。彼が模型を作っていた。まだできていないようである。今日は土曜日だが人が多く打合せテーブルも混雑。僕とM君は来ていないスタッフの席に隣あって座り、読み合わせをする。スタッフ席は奥まっていて落ち着くことが分かった。いいなあこちらも。
翻訳の速度は相変わらず亀のようだが、内容の理解は深まっている。今日はスコットのバロック擁護論。バロックが様々な見せかけをその特徴そしているからといってそれを倫理的に批判するのはあたらない。見せかけであろうともそれが美しいものであればその方が重要であろうというのが彼の主張である。一理ある。7時ころ終了。家族と鈴新で会いとんかつを食す。創業50周年だそうだ。店頭にはお祝いの花。今日で片付けるということ花束をもらって帰り家で生ける。

金曜日

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by 卓 坂牛

4月18日
朝から台風のような雨と風。建築の条件の第二回目の講義で早稲田に行く。この講義シリーズは早稲田で始めて語るもの。上手くいくのか不安だったが、パワポの分量、文字と絵の比率などまあまあだった。受講生は30人くらい。午後はリーテムに。茶室の現場はコケと床のモルタルを残しだいたい完了。光が思ったより少し強いがきれいに仕上がってきた。その後いくつかの打合せをして事務所に戻る。k-projectの変更案をスタッフと打合せ。収納を増やした分部屋を小さくしたらだいぶタイトになった。桑沢の大松先生が事務所に遊びに来た。しばらく篠原先生の話しをした。こんな若い人が篠原に惚れ込んでいるというのが面白い。10時頃スタッフと食事に出る。荒木町のお店は遅くまでやっているのでつい帰るのを忘れて建築談義。深夜帰宅。

三つ子の魂百まで

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by 卓 坂牛

日建に入社した最初の仕事が日比谷ダイビルの改築だった。村野藤吾がまだ渡辺節の事務所にいた時に設計した建物を壊して20階建てのオフィスを新築する仕事。総合設計制度を使い公開空地をとり、斜線制限の緩和を行なった。僕の担当はこの広場と外装の設計。特に旧ダイビルの外壁に付いていた動物のテラココッタの彫刻を広場や外装に散りばめることが求められた。チーフとの打合せに広場のアクソメ、外装の立面図、1/100、1/30の模型を作った。しかしチーフにはこっぴどく怒られた。広場の設計をるすのなら隣の敷地まで入った矩計図を描けというのである。100メートルの高さと幅のある図面を1/50で描けというのである。縦横2メートルの図面である。巨大である。しかもその矩形図をパースにしろといわれた。とにかく断面図はパースにする。ディテールは3面図にする。一面だけ描いた図は見てもらえなかった。そして常に巨大な図面を求められた。チョコチョコ描いた図面などくずかごである。図面はいつも和紙に描いて青図にした。適宜色鉛筆で色をつけた。それらは、二つ折にしてのりで貼って背張り。日付を入れて閉じていった。厚さ1センチくらいになると表紙をつけて背張りテープを貼って一冊終り。そうしたスケッチの束が1年で4冊になった。1年目のスケッチは本当に僕の生涯のスケッチの描き方を決定したかもしれない。日建の最高のスタッフに教えてもらったと今でも感謝している。
今日K-pirojectの立面を考えながら庭の広がりを考えていたら自然と隣地から道路からその向こうの隣地まで入った横長の1/50の矩形図を描いていた。庭を考える時の癖になっている。そしてその周りにずらずらとパース。昔のように巨大なパースを描いている時間は無いのだがマッチ箱のようなパースが所狭しと並んでいる。それらのスケッチを見ながら20年前のスケッチが思い出された。身に染み付いている。

モーチベーション

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by 卓 坂牛

午前中20人いる研究室の今年の研究なり設計なりのテーマをイラストレーター上で並べてみる。誰が誰と関係してどんなグループが生まれるか考えてみる。それを図にしてみる。自分の頭がだいぶ整理された。誰に何を言う必要があるのか誰に何を読ませるべきなのかなんとなくイメージできてきた。春休み中少し低下していたモーチベーションが少しずつ上がってきた。このモーチベーションが上がらなくなったら教師廃業だよな。
水曜日は午後が4年生の製図。4年前期も製図があるのは信大の特色か?東工大にはなかったような気がする。普通前期は卒業設計の期間である。教員3名、ta2名で17人を教えられるのはこの大学の厳しい教員数の環境の中では贅沢である。それに応えるいい作品が出来ることを願う。今年はコンセプトよりも建築の構築力をつけて欲しいと思っている。何でもいいからリアルな実体を建築にするのが僕の指導方針。講評会には金箱さんに来てもらうことにしている。他にもう一人くらいリアルな人を呼びたいところである。

桜満開

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by 卓 坂牛

今日は長野もとても暖かい。キャンパスの桜は満開。子供づれのお母さんたちが車座になって花見をしている。なんとものどかである。そんな日に3年生の製図初日の敷地調査である。場所は長野でも有名な桜の名所、城山公園である。そこに蔵春閣という名の建物がある。三沢浩さんが設計し40年前に完成した。この建物をコンヴァージョンするのが課題である。この課題も3年目。ここに来るのも3回目。毎年これほど桜がきれいだったかな?花見用の仮説宴会場がたくさん建ち上がっていた。大学からこの建物まで自転車でやって来た。大学からずっと緩やかな登りで息が切れたが帰りはその逆。途中広瀬先生がコンヴァージョンした日和カフェにより一休み。夜は大学でゼミのスケジュールや輪読本の選定などなど。

初ゼミ

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by 卓 坂牛

朝一のアサマで出勤。車中、斎藤環『アーティストは境界線上で踊る』みすず書房2008を読み始める。最初に登場するのは草間だがこの人はいつも言うことが同じ。同じ物を作り、同じことを言い続けるのがアーティストなのかも(篠原先生もそうだったなあ)。午後一で言葉と建築の講義。一回目は性格。4回目の講義ともなるとだんだん本の内容が頭に焼き付いてくる。講義の後ゼミ。さすがに凄い人数になってきた。言葉と建築の講義受講者よりも多い。総勢20人。傍聴者3名。皆に課していた春休みのテーマ読書10冊について全員の発表をしてもらう。テーマ性が見える人もいれば無作為というのもある。柄谷の定本全部読んだというのはビックリした。難解で理解できているか定かではないが、挑戦する気力は評価できる。私の方からは自分の卒論と修論をどのようにして作り上げたのかを披露した。20年以上前のノートやカードを東京からダンボール一箱送り、それらを見せた。論文を書くということが発見であり、発見するためには何が必要なのか。分かってもらえただろうか?夜は4年生や他大から僕の部屋に修士で来た人の歓迎会。

篠原一男vs私

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by 卓 坂牛

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ケヴィン・リンチ著 有岡孝+駒川義隆訳『廃棄の文化誌』工作舎1994を読む。リンチはいわずと知れた『都市のイメージ』の著者である。イメージの都市計画学者とエコロジーは最初は繋がらない。しかし都市のイメージを大事にする価値観とはスクラップアンドビルトを否定する価値観であることが読んでいるうちに納得される。20年前にこうした考えアメリカで持っていたということが新鮮。夕刻桑沢デザイン研究所を尋ねる。「篠原一男vs私ー住宅のミライ展」が行なわれている。桑沢の2年生が半年かけて作った篠原一男の全住宅作品の1/30の模型とその建物の隣に学生自らの設計した住宅が並んでいる。これは圧巻である。篠原先生の住宅はかなり見ている方だがもちろん場所さえ知らない建物も多くある。プランで知っている建物も模型にして初めてこんな建物なんだと再認識した。特に方形の屋根が載ったいくつかの建物はその大きさに驚く。その後対談を行なう。

曽我部さんのお家

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by 卓 坂牛

午前中大学の仕事。昼近くリーテム社長より電話。今後世界のエコタウンあるいは既存の工場団地などのエコナイズの方法についてドイツの研究者との合同研究会を持ちたいとの打診。とりあえず了承する。午後一で事務所。ナカジと来週の仕事の打合せ。彼は水曜日から上海なのでそれまでのスタッフへの指示など話し合う。3時頃事務所を出て曽我部邸へ。東横線のヨコハマの方である。遠いなあ。雑誌で知っていた空間より広がりのある快適な建物だった。坂本研や奥山研の若い人たち大勢での飲み会。5時頃おいとまして渋谷のルノワール展を覗く。渋谷の人ごみはかなり凄いね。四谷あたりの混雑度に慣れている人にとっては渋谷は目が回る。その後四谷へ戻る。今日は家族できりたんぽ鍋を食べる約束。四谷の今井屋本店へ。7時に全員集合。きりんぽは親の実家青森の隣県である秋田の名産だが。初めて食べた。しかしたいして上手いものではない。まあ餅だなこれは。

レビュー

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by 卓 坂牛

4月11日
朝一で茶室の現場、仕事のクオリティは及第点だが、工期はやや遅れ気味。しかし施工図を描いてくれないので事務所の負担が多すぎる。工期が短いからいいものの、長い工期をこんなやり方ではとても出来ない。工務店選びは今後慎重に行なわないといけないな。10時過ぎに早稲田に到着。文化構想学部での講義初日。文学部キャンパスはその昔よく足を運んだが校舎の中まで入ったことは無かった。非常勤講師用の教員ロビーを訪ね迷路のような校舎の中を歩く。昔の建物で階段の勾配が緩く、手すりのディテールが見事である。村野デザインである(と思う)。ロビーで一日目の教員アシスタントと会い、講義室へ。教室は定員30人。そこへ40名近い学生が来たのでむんむんする。全員文化構想学部の2年生。9割が女子である。まるで女子大。8回の講義と4回の学生発表の全容を説明したhttp://ofda.jp/w_lecture/。寝る子は0。とりあえず合格。講義を終えキャンパス内で弁当を買ってカフェで食べる。事務所に戻る地下鉄で読んでいた本が残り100ページくらい。曙橋を降りて最後まで読みたくて近くのカフェに入る。カプチーノを飲みながら小一時間。読み終わる頃には全身タバコの煙に燻された。
事務所に戻りk-projectの今月内に決めなければいけないことを箇条書きし、まずは空調、排水、照明の概略を二人でまとめる。次に換気採光なのだが、開口デザインのコンセプトを考える。インテリアの構造システムのデザインと整合する形にしていくことを確認。スタディはパースを書きながら。もう少し時間がいる。
4時頃『言葉と建築』の講義を受けたいという方が来所。僕に質問したいことをかなり入念にまとめてきたようで。さながらインタビューのようだった。バイトもしたいということだったが、現在はする場所もないのでとりあえず断る。夕刻バイトの竹田君が登場。6時頃k-projectの事務所内レビューを行なう。隣地の建物との関係性について伊藤君からなかなか面白いサジェスチョンを貰った。それは彼が松原の家で考え続けていたことなのだろう。今後仕事も多いし、新人も多いから是非レビューの機会を多く持ちたいところである。

長方形案

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by 卓 坂牛

朝は歯医者に行くのを忘れるし、11時に来る予定のクライアントが夕刻来ることになるし、今日はいろいろ予定が狂う。空いた時間に週末の対談メモを作って奥山に送ったら、本格的な篠原分析メモが返ってくる。流石篠原一男研究家である。僕は実体験を語るしかないな。夕刻クライアント来所。二つの案の1/50模型をお見せする。直感的奥様はものの5分でこちらと長方形案を指定。まあ現段階での検討精度が高いのはこちらの案なので当然といえば当然かもしれない。時間がないので長方形案で行くしかないかな?ここで方向性を決めないと今月中の基本設計終了のスケジュールが守れない。
「言葉と建築」の講義を受けたいという多摩美出身の建築家からメールを貰う。彼はバートレットに行ってフォーティーに師事したいのだそうだ。その予習としてこの授業を受けたいようである。講義に出るのはいっこうに構わないのだが東京からこの講義のためだけに通うのだろうか?凄い気迫である。とりあえず明日事務所に来るようにメールをする。