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Apr 2008

製図

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by 卓 坂牛

授業初日。午後製図第五。4年生の選択製図である。初日は各自パワポでテーマ発表。なぜか商店街の再生という話しが多い。社会的ニーズを踏まえてという条件を強く言い過ぎたかな?社会的ニーズに基づいて考えろというといきなり建築から離れて政治家みたいなことを言う学生が現れる。しかし設計者にできることは建築でしかなく政治や経済の問題ではないのである。これは他の先生も言っていることだが、建築設計者が何をしているのかという認識が希薄だということの裏返しでもある。それはもっと言えば建築設計者を近くで見ていないということだろう。つまり設計事務所でインターンなりバイトなりする経験が少ないということである。前から思うのだが、彼等のバイト先が飲み屋や、スーパーだというのが気に入らない。バイトも建築に資することをやるべきだ。肉体労働するなら建設現場とか悪くない。昔僕もよくやった。日銭が稼げていいバイトだった。チャンスが少ない長野のデメリットを挽回するべくいろいろ考えて欲しいものだ。授業終わって事務所に戻る。明日のプレゼンのために1/50 の模型が進行中。

初日

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by 卓 坂牛

大学今年度初日。研究室に来てコンピューターのラン接続アダプターが無いことに気付く。なんということ。サブのパソコンでメールなど確認。朝一で学科会議。結構面倒くさい議事があるのだが10時半からのガイダンスに向けて会議を出たり入ったり。その間に結構大事なことが決まっていく。会議後2年生からm2までのガイダンスが延々と続く。4年生ガイダンスでは研究室所属の決定がある。僕の部屋は希望者の作文を提出してもらった。作文を読むと各学生の心意気はよく分かる。本当なら全員来て欲しいところだが、選ばざるを得ない。困ったものである。大学の施設の限度。夕刻建築学科教員の親睦会。

回復

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by 卓 坂牛

4月7日
体調は回復。先週末の溜まった雑用を片付けに早々と事務所。4月のスケジュールやら、残った経理やら終わらせる。10時頃新しいバイトが来る。彼は建築の規則の講義を受けたいと先週メールをくれた。今年は開講しない旨返信すると、それならバイトをしたいということでやって来た。k-projectの模型を作る人が欲しかったのでお願いすることにした。昼ごろ東工大の奥山氏と電話で話す。今週末桑沢で行なう篠原一男についての対談の打合せ。とりあえず最初の15分ずつ好きなことを双方話し、それに対しお互いが質問なり意見を出し合うことにする。午後金箱さん来所。K-projectのクライアントは金箱さんもよく知る構造家なのでやりにくそうである。いくつかの難しい点はありそうだがべらぼうなことをしなくともなんとかなりそうな感触をつかむ。今日はこの程度でいいだろう。担当はリーテムをやってくれた佐久間さんとのことで心強い。案が一案に絞れたあたりで本格的につめていこう。木曜日にクライアントが来るのでそれまでに1/50の模型を両案について作るよう指示。夕刻ofda全員ミーティング。新卒新人3人を含めて5人くらい新しいスタッフがofdaにやって来た。少しオフィスのルールブックを改訂し皆で確認しようというもの。ルール嫌いな私だがこういう立場になるとやらざるを得ない。明日の朝大学に行くつもりだったが朝一で会議をするメールが入る。仕方なく最終に乗る。車中横山秀夫の『震度0』を読む。

静養

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by 卓 坂牛

未だ本調子ではない。今日は静かに家で過ごす。早稲田講義の準備。初日イントロのパワポを作る。終わって昨日の読みかけ本、続いて上松先生の『建築美学』を読む。自分の論文視点が上松先生のそれと結構ダブっていると感じる。美学的視点なんだからそれは当たり前か??菅村雅信編『東京の編集』ピエブックス2007を読む。日本を代表する編集者11名の生い立ちから編集のポリシー、重要な仕事など語ってもらうという本である。編集者というのは言うまでも無いけれど自分たちがやりたいことをする人であるこがよく分かる。こちらにいくらいいアイデアがあろうとも、そしてそのアイデアがいくら売れそうであっても、要はその編集者が出したくなかったら出ないということなのだ。というのはこう言う本を読むとよく分かる。昔、稲葉なおと氏が言っていた。本屋に言って自分が出したい本にいちばん近い本を探せ。そしてそのあとがきを読んでそこに謝辞として出てくる編集者に直に企画書を送れ。そうすると企画が通るかもしれないと言っていたがその意味がよく分かる。
夕刻友人からお前の名前がwikipediaに出ているよとメールを貰った。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%91%E6%B3%A2%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%84%E5%B1%9E%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%83%BB%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BA%BA%E7%89%A9%E4%B8%80%E8%A6%A7高校のob人物ページである。へー誰が書き込んのだろうか??

体調不良

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by 卓 坂牛

昨日の馬刺しがまずかったか?疲れが溜まってきたか?昨晩夜中に嘔吐、今朝方下痢に見舞われた。薬局で症状を話し薬を貰い電車へ。車内ではひたすら寝る。帰宅後今度は熱が出てきた。風邪か?午後、夜、ずっと寝ているうちに熱は下がる。しかしまだ意識が朦朧とする。

外部評価

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by 卓 坂牛

4月4日
昼から信大建築学科の公開外部評価が行なわれる。評価委員は日本建築センター顧問の山内氏、竹中工務店の技研所長お高橋氏、日建設計執行役員の亀井氏、広島国際大学教授の藤田氏の4名である。もちろん公開なので委員以外に他学科の教員、地元の建設関係者など多くの方がいらっしゃった。新学科に向けての我々のプレゼンテーションに対して委員からの意見をもらい、そしてディスカッションを行なった。意匠・設計系については、教員の量的な不足と、製図室の更なる充実などの的確な意見が出された。頂く意見はそれぞれ的を射るものであり、貴重なものである。
夕方6時場所を駅前のメルパルクに場所を移し、創設記念パーティーを行なう。須坂市のm市長や大町市のf室長など役所の方。日建のn君ほか企業の方、m先生など地元建築界の方。60名くらいの方にお集まりいただいた。会は盛り上がり2次会へと。

スケールの変化

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by 卓 坂牛

少々重い頭を引きずって午前中k-projectの打合せ。だいたい案は二つに絞られる。正方形か長方形か。長方形案を煮詰める。18メートル×6メートルの長方形の長手を2分割して3.5メートルのところで線を引き3.5×18メートル部分の階高を2.5メートル2.5×18メートル部分の階高を3.2メートルにして細長い空間のスケールの変化をつけようというもの。その中に3つの世帯を入れ込もうとしている。複雑なプログラムの要求をシンプルな図式の中に整合させようというのが今回のテーマだがどこまで上手く行くだろうか?夕刻のアサマで大学へ。車中岩村暢子『普通の家族がいちばん怖い-徹底調査破滅する日本の食卓』新潮社2007を読む。普通の家庭のクリスマスと正月の食卓に何が並んでいるかという素朴な調査だが、結構面白い。お雑煮や御節料理は次世代の食卓からは姿を消すかもしれない。我が家の正月はまだ常識的なようだ。

スチュワート先生

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by 卓 坂牛

4月2日
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午前中は明後日にせまった外部評価の打合せ会議。まだいろいろとやることがある。帰りの新幹線で中谷内一也『リスクのモノサシ』NHK出版2006を読む。これはリスクマネージメントの本ではなく、リスク情報が巻き起こす社会的動揺の実体を探る本である。僕はリスク情報にまったく動揺しない体質でよく配偶者に叱られる。でもこの本を読むとやはり僕ぐらい鈍感で丁度よいという気になってくる。一時期騒がれた環境ホルモンも結局現状の量では体内にはいってもさほど問題ではないという結果が出ているようである。まあその情報もどこまで本当か分からないが。この本にも書いてあるがメディアが騒ぎすぎである。つまりどの新聞も多かれ少なかれ東スポみたいなものなのである(というと言い過ぎだが)。常に新聞の見出しは最悪の事態が書かれているのだそうだ。それには二つの理由があり、そのほうがセンセーショナルだから売れる。もう一つは最悪を予想しておいた方が後で叩かれない。まあ最悪を書いてもいいがその確率も書いて欲しいものである。とその本には書いてある。そう思う。
夜はスチュワート研究室銀座に集合。恩師デヴィッド・スチュワートが3月で退官。それをお祝いした。会には教え子5名。当時助手役を務めてくれて、今は東工大の教授であるS先生。当時篠原研の博士でアドバイスをしてくれて現在は筑波大の教授をされているU先生も来てくださった。場所は教え子の一人で現在北海道大学の先生をしているO君が設計した「神戸みその」。名門ステーキ屋である。厚さ2センチくらいの鉄板が1メートル×15メートルくらいカウンターの前に広がる。なんとも壮観である。そこで先ず直径8センチ厚さ5センチはあろう巨大ホタテ、次に厚さ5センチくらいの牛肉が焼かれた。味覚も視覚も圧倒された。もう一年分の美味しいもの全部食べてしまったという満足感である。そしてスチュワート先生とゆっくり話もできた。先生はロンドン大学のコートルード研究所でコルビュジエ論を書いたコルビュジエ博士である。我々のテーマはもちろんコルビュジエであり徹底した指導をしてくれた。内容から文章まで、われわれの卒論を3回真っ赤にした。赤を入れるだけではない。内容が不足しているところは適宜紙が貼り付けてあり付加すべき文章やら参照すべき文献やらが事細かに書き込まれているのである。こんな先生はいませんね。教師になって分かる。incredibleである。第二の人生にbon voyage。

迷惑論

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by 卓 坂牛

4月1日
内田樹の『下流志向』という本がある。これは昨今の子供が何故勉強しないのか、昨今の若者が何故働かないのかを分析している。昨今の子供は労働よりも消費の側面で社会に先ず参入する。消費行動の思考原理が教育を受ける時にも現れるという。例えば「何故この勉強をしなければならないのか?」と問う。「この勉強をすることによって何が自分の得になるのか?」と。つまり勉強するという苦役に対する対価を予め確定しない限りこの交換は成立しないと考えるというのである。これを読んで僕は大いに笑った。自分も高校一年の現代国語の最初の授業で老齢の物静かな教師に向かって同じ問いを発したからだ。更に内田は「こどもは学習の主権的で自由な主体」ではなく、学びの主体とは学びの運動に巻き込まれつつ事後的に形成されると言う。言わんとすることは大いに納得するのだが、自分がそうではない事は明らかで、そうなると自分の子供には内田さんのような理屈をたてることはできないなあと苦笑してしまった。もう一つこれはおおいに納得しかつそうありたいと思った部分がある。彼のリスクヘッジ論である。現在、社会的弱者が生まれることの一因に、社会のセイフティネットの機能不全を挙げている。それを身近な部分で解消していくためには「迷惑をかけるかけられる」関係を社会の中から原理的に排除しない方がよい。という主張である。確かにわが身を振り返っても、人に迷惑をかけてはいけないと思い行動し、ひとの迷惑が降りかかりそうになれば逃げ回る。そうすると子供も迷惑かけないのだから何してもよいという発想になる。これはある程度仕方ないかなと思っていたが、やはりまずいと思い直させられた。完璧な人というのは自分も含めていないわけで、完璧でないことを否定するとどうも世の中ぎすぎすし過ぎる。人は失敗はするという前提の方が世の中円滑かもしれない。人の迷惑も2回に1回は受け取ることにしよう。と内田さんの本を読みながら思った。

学会

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by 卓 坂牛

午前中、学会の特別研究委員会に出席。木質バイオマスがテーマ。私は少々門外漢なのだが、未利用木材の利用方法を建築的に考えるということで出席。今日は立ち上げ一日目ということで情報交換。委員の中には、元日建で慶応に行ったIさんとか高校の先輩である東大のYさんなど旧知の方もいらっしゃる。まあ様子を見て僕に出来ることは考えてみたい。昼食をとって事務所に戻る。大学から来るメールに受け答え。ややこしい内容がいろいろ。精神的に疲れる。夕方からk-projectの打合せ。竹内君の新たなプランとナカジの屋根造形がうまく整合。ミニマルな表面積の内側に図式的な吹き抜けを随所に作ることが出来そうである。風車状に入れた十文字の二層分トップライトがどう見えるのか。でかい模型を作りたいところだが、先ずは100分の1で模型を作る。僕は50分の1でプランをつめてみる。うまくいくかもしれない。ナカジは明日から中国。これから発注、入札となる。中国リーテムの社長であるR氏とofdaの連携プレーとなるが、彼のネゴの力に期待するところ大である。