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May 2008

稲葉の最新の仕事

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by 卓 坂牛

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午前中は輪読ゼミ。4年からm2まで坂牛研全員が出席するゼミ。この春は余り背伸びせず、誰でも分かる基礎的な読みものを選んでいる。今日は『ラスベガス』である。論旨は簡単なのだが、用語でつまずく。記号、サイン、象徴、などの言葉にひっかかる。こうした言葉は人によって微妙に使い方が異なるのでやっかいである。とりあえずソシュールとパースの定義を説明したがヴェンチューリの用法がどちらかに則っているわけでもない。輪読修了後恒例の名建築平面図暗記試験。今日はファンズワース邸。「こんな簡単な建物覚えて来い!」。と言いたくなる。プロポーションがおかしいもの続出。午後、4年の製図。こんな調子で終わるのだろうか?論点がおかしいとか言う前にやってこない奴が多すぎる。製図が終りアサマに飛び乗る。そう言えば同級生の稲葉なおとが先日メールで文芸春秋に写真を載せたと言っていた。キオスクで買って乗る。東工大の同期で最も名が売れているのは(だから金が儲かっているかどうかは定かではないが)稲葉であるhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%B2%E8%91%89%E3%81%AA%E3%81%8A%E3%81%A8。彼はマンションやホテルの著作で有名である(ついでにB‘zメの稲葉氏のいとこであることでも有名である)。最近は紀行文を書き沢木耕太郎賞を受賞した。
と宣伝はこのくらいにしてその中身はというとなかなか見ごたえがある。「名匠が遺した宿」と題して村野藤吾と吉村順三の宿11を自らの写真と文章で紹介している。計18ページ。お見事。昨年彼は銀座の資生堂ギャラリーで「ザ・ホテル」と題した写真展も決行した。いつの間にか写真家にもなっているスゴイ奴である。まあ時間があったら本屋で立ち読みしてみください。

バウマン

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by 卓 坂牛

午前中修了、卒業ゼミ、修士2年と4年を対象としたもの。今日の発表は4人。作品つき設計1名、これは覚悟の上だが至って観念的。最初はこれでもいいのだが、、、、論文つき設計は2名。就職活動で出遅れているようでまだまだ、、、、、4年の装飾論は去年のレールがあるのでまあ先は見える。午後は3年生の製図。これでエスキスは終り。後は作るのみである。さて講評会のゲストが決まらない。コンヴァージョン経験者っているだろうか??夕食後ジグムント・バウマン奥井智之訳『コミュニティ』ちくま書房2001を読み始める。著者は最近では『リキッド・モダニティ』で有名だが既に83歳の長老社会学者である。訳者の解説によればこの年になっても未だに年に数冊のペースで新刊を出しているとのこと。世の中にはエネルギーが絶えないひともいるものだ。吉本隆明のごときものであろうか?

漏水

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by 卓 坂牛

5月19日
午前中会議午後講義、今日は「機能」について。3時から工学部学科全教員の会議、その後建築学科全学生の懇親会。午前中は快晴だったが夕方から雨が降りギブスの内部に漏水である。

コンヴァージョン

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by 卓 坂牛

5月18日
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事務所のスタッフとそお奥方含めて5人で8時半の特急ひたちで水戸へ。目指すはR社創業の地。ここに明治時代に建てられ移築解体された木造2階建ての擬洋風建築が建っている。現地で信大からH先生以下4名の院生学部生と合流。10時からこの建物の実測調査を開始。この建物は某銀行工の機関紙での「茨城の近代建築」という特集にも掲載された。しかし全くメンテナンスされておらず痛みは激しい。更にもともと洋裁学校だったものを移築解体してこの場所に立て直した時にいろいろな変更が加えられた形跡があり本来左右対称のファサードであるだろうものが微妙にアシンメトリなのである。まるでモディリアーニの肖像画である。味があるといえば味がある。とにもかくにも創業の場所としてこの建物を再利用したいという希望でどの程度のことが可能かを調査したというわけである。またこの明治の建物の背後にはこれも他の場所から曳き屋されたという昭和初期の風情のある純和風建築が残っている。こちらも保存論争が繰り広げられたが損傷がひどく、解体の運命となるかもしれない。古いガラスや手の込んだ建具等ついている。誰か部分的にでも再利用したい人はいないものだろうか?だだ崩壊を待つのは忍びない。

On
by 卓 坂牛

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娘が修学旅行で不在。外は初夏の陽射し。そこで朝はお茶だけにして、かみさんと六本木の国立新美術館3階のレストランにブランチを食べに行く。そのついでにモディリアーニを見るhttp://ofda.jp/column/。休みだしモディリアーニだし混んでいるものと思いきやそうでもない。日本人好みではないのだろうか?見終わって地下のショップで遅ればせながらの母の日のプレゼントを物色。しゃれた革張りのスケッチブックを発見。その後ミッドタウンまで行き地下のお茶屋で休憩。「ほうじ茶あんみつ」なる不思議なカキ氷あんみつを食す。なかなか香りのよい甘味である。帰宅して小山登美夫『現代アートビジネス』アスキー新書2008を読む。小山氏は言わずと知れた、村上や奈良を世界に紹介したギャラリストである。小さい時から芸術オタクだったようである。合点がいく。

階段

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by 卓 坂牛

5月16日
午前中は早稲田の講義。歩くのは早くなったが、地下鉄を乗り換え階段を上下するのはちょとつらい。車で行く。建築の条件4回目の講義。今日は「階級性と平準性」http://ofda.jp/w_lecture/2008/requirement/06/01j.phpというテーマ。社会の階級制度と近代におけるその瓦解、そして現代における格差、こうした社会制度の変遷がファッション、建築をどのように規定してきたかについて話しをした。ファッションと建築の並行関係は話していてとても楽しい。こちらが楽しいと学生も楽しいのだろう。30名余りの学生が一人も寝ていない。これはなかなか嬉しいことだ。
昼にk-proのクライアント夫妻来所。昼に事務所に来ていただきランチミーティング。住宅の打合せは往々にして土日にクライアント宅で行なわれお互いの休みをつぶすことになる。平日ランチミーティングだと多少忙しいが効率的である。今日は階段の勾配について議論。僕等は勾配を緩く保つために意匠を妥協した。すると急でもいいから意匠を優先しようと言う。さらに根太のかけ方から考えて勾配を緩くすることは可能ではないかと鋭い指摘。僕達以上に構造の伏図が即座にイメージできている。構造家なのだから当然と言えば当然。その昔kさんと一緒に設計していた頃を思い出して思わずおかしくなってしまった。
夕刻医者に行って昨日固定した硬化包帯の一部をのこぎりで削り風通しを良くしてもらう。来週にはふくらはぎ部分を切断して、入浴時は取れるようにしてくれるそうだ。よかった。
クライアント打合せが今日3つ集中。k-pro以外はスタッフに任したので夕刻その報告を聞く。その後、湾岸プロジェクトのコンセプトメークのためのスケッチとメモを作る。この手の仕事は日建時代にさんざんやった。だいたい最初はA3、1000分の1でスケッチしていた。しかし今回は2000分の1にしないとサイトが入らない。敷地がかなり大きいということである。

打合せいろいろ

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by 卓 坂牛

朝一で近くの整形外科に行く。レントゲンと超音波を撮ってもらう。案の定放っておけば直るというようなものではなかった。硬化する包帯で固められた。これで歩くのは遥かに楽になったが、、、格好悪い。
事務所に戻る。西澤君からメルクリvs青木淳の展覧会の案内が届いている。彼が展示デザインを担当したようだ。楽しみである。事務所の溜まっていた雑務をこなし午後に来客。ある地方都市の湾岸デザインを依頼される。この手の企画段階の仕事はこれまでついサービスでやることもあったがそれはだんだん難しくなってきた。もちろんフィー以上に次に繋がるかどうかがポイントなのだが。それは企画会社であるクライアントの力次第である。その後k-projectの図面をチェック。展開図がまだ未完。しかし展開を見ていくとまたいろいろ考えるべきことが見えてくる。終わって中国の進展状況を聞く。いろいろと問題はある。しかし来週ナカジが渡中するのですこし進展するだろう。その他いくつかのプロジェクト打合せ。

けがその後

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by 卓 坂牛

8時半から臨時会議。9時から大学院の講義。欠席が多い。どうしたのだろう?昨日の製図も20人くらい欠席だったが。午後4年生の製図のエスキス。少しずつ進んでいる学生もいれば、全く進歩の見られない学生もいる。僕の部屋の学生な前者の方なので安堵する。エスキス終り東京へ。車中稲葉振一郎『『公共性』論』NTT出版2008を読む。『モダンのクールダウン』は読みやすい本だったがこれはちょっと手ごわい。引用されている書物が馴染みの薄いものばかりだからなのだろうが。東京駅へ着き、足は痛いが丸善へ向かう。その途中で大手町の企業に勤める中学の同級生にばったり会う。引きずっている足を見られた。アキレス腱を負傷したらそれなりの医者に見てもらえと警告される。そうかもしれない。丸善では1960年代の東京という写真集を思わず手に取る。ぺらぺらめくり自分の生まれた頃の東京の風景を思い起こす。確かにトロリーバスが走っていた。とは言えこんなに「昔」だったのだろうかと目を疑う。美術、哲学、建築と周り十冊くらい宅配を頼み帰宅。事務所に寄ろうかと思ったが足の調子がよくならないので、電話で話しをして打合せは明日。帰宅後友人でパラリンピックコーチの盲学校の教師に電話。けがの相談をする。ひざ下のけがは内出血が足首にたまりそれを体内に戻さないと痛みは取れないと指摘される。確かにその通り。足首周りが真っ青になったまま青みが取れない。そろそろ暖めて内出血を溶かすように指導される。ここまで来るとしかたない。明日は病院に行くしかない。

台風

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by 卓 坂牛

朝の5時頃のこのことベッドから抜け出る。外はどうも大雨である。台風が接近しているようだ。不気味である。中国の地震の惨状は未だこの時間のテレビニュースには流れていない。朝食はトーストに目玉焼きとソーセージにレタス。ミルクティーをマグカップ一杯たっぷりと飲み家を出る。足の調子はまだあまりよくない。仕方なくタクシーに飛び乗る。早朝の都心は実に早い。ものの10分で東京駅である。6時半のアサマまでまだ40分もある。まあ余裕があるに越したことは無いのだが、それにしても早過ぎた。待合室で大澤さんの本の残りを読むのだが、この本(『資本主義のパラドックス』)は眠い頭には全く浸透しない。
長野は打って変わって快晴。しかし風が強く寒い。駅から、また仕方なくタクシーである。ああ健康体で無いということはなんとコストがかかることか!!午前中ゼミ。信大でも早稲田でもそうなのだが、ディベートのようなことをしたいと思うし、それこそが最も成長する方法だろうと思っている。しかし、なかなかその機会を作れない。作って失敗すると、つまり自主的な発言を待ってそれが起こらないと時間の無駄だし、場がしらける。あるいは無意味な会話が継続することも恐れる。ディスカッション恐怖症??カナダ出身の信大の先生がどこかに書いていた。日本の学生はやる気があるのかないのかまるで分からんと。いやそりゃ本当。なにも信大に限ったことではない。皆おしのように黙っているのが日本の学生の特徴。アメリカでは学生の質問を先生が制す。日本では先生が学生に質問する。国民性の違いと言えばそれまでだが。午後製図。夕食後読書。

実施設計

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by 卓 坂牛

午前中、事務所の雑務を終わらせ、k-projectの打合せ。実施設計とは最後になればなるほど気がつかなかった問題が表面化する。だからなるべく最初のうちは多少大枠を壊してでも易しく解いておかないといけない。のだが、今日はすでにかなり無理をして強引なディテールを考えながら解決してしまった。最後につけが回らなければいいが。
ずれ込んでいる5月の月間、来年4月までの年間ワークスケジュールを作りスタッフと調整をする。午後某企業のインテリア改装の打合せ。時間が無いのと改装なので読めない条件が多い。失敗しないように戦略をたてるのが難しい。時間があればなんでもするのだが、、、、。痛めた足がなかなか回復しない。困ったものである。夕方スタッフに湿布薬を買いに行ってもらう。今日はひどく寒く足がずきずきする。早々に帰らせてもらった。夕飯を食べながらテレビを見ていたら福岡の小学校教員である木村拓也が政治家の父親の跡継ぎで選挙に出させられる「チェンジ」というドラマをやっていた。どうもゆくゆくは総理大臣になるというストーリーのようだがこのキムタクの出身大学が信州大学という設定になっている。彼が星を見るのが好きだからというのがその理由のようだ。なるほどやはり信大=自然と言うのが世の中の方程式なのである。妙に納得してしまった。