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Nov 2008

九州へ飛ぶ

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by 卓 坂牛

事務所で施工図チェック。その後中国プロジェクトの状況報告を聞く。いよいよ佳境。未知との遭遇となりそうだ。竣工までに何回現場を見られるだろうか?冬休みの後は論文発表会後?午後リーテム打ち合わせ。明日の九州プロジェクト起工式のための大きな模型を抱えて出かける。タフな話になると思ったのだが、クライアントは現場進捗にある程度理解を示してくれてほっとする。中国経済の激変が影響しているのかもしれない。リーテムから浜松町経由羽田。最終の飛行機に乗るところ。明日の起工式が10時からなので前日に入らないと間に合わない。起工式の後は工務店との打ち合わせだが、こちらはこちらでタフな打ち合わせになりそうだ。

ネットの旧態的性格

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by 卓 坂牛

かなり前からかみさんと上野でやっているウィリヘルム・ハンマースホイの展覧会に行く約束をしていた。今朝はチャンスで朝一で行くことにした。開館時刻を目指したが少し遅れ。上野についたのは10時半。内容はコラムに書いたのでそちらをどうぞ。静寂な絵に心洗われる。北欧の短い日中を象徴するかのように太陽が見える絵はほとんどない。すべてが曇天であり今日の空のようである。アメ横で買い物をして帰宅。昨日読みかけの本を読み終える。以前『場所間の喪失』を読んだとき、ネットはテレビより本的なメディアであると知ったのだが、『アーキテクチャの生態系』を読んでいると再びネットが本的である性格が記されている。それはテレビやラジオが同期的であるのに対して、本やネットは非同期的であるという性格である。つまり情報が発信されたその同じ時間でないと得られないラジオやテレビに対して、本やネットは後から得られるという性質を共有しているのである。うーんだからどうかというところはまだ考えていないのだが、研究室でも行っているネット上での建築情報がもたらす影響について、果たしてこの旧態的性格が何をもたらすのだろうか??夕方事務所で簡単な打ち合わせ。帰宅後夕食後小笠原尚司『額縁への視線』八坂書房2008を読み始める。

現代アート

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by 卓 坂牛

昼からの勉強会の原稿読みが今朝になってしまった。今日は3章のロマンティック・ファラシーの残りの数段落。建築のロマンティシズムとしてのピクチャレスクが登場する。ピクチャレスクというのは本物に接したこともないし、概念的にも実感できるものではなく、相変わらず観念が浮遊している感じである。5時に終了して事務所の打ち合わせを少し。帰宅後昨日から読み始めた『アキテクチャーの生態系』を読み続ける。今日は2チャンネルの話。これは使用感がないのであまり分からない。他人事である。その後吉井仁美『現代アートバブル』光文社新書2008を読む。吉井氏が現代アートに確信を持てたのは自分のギャラリーに孫とおじいさんが来て二人が共有できる楽しみは現代アートだと言ったのを聞いた時だという。この話はよくわかる。美術館が大嫌いでウフィッチでは椅子に座って動かなかった娘がヴェネツィアではビエンナーレを見ながら、こんなものなら明日も見に来たいと言ったのを思い出す。現代アートは知識なしで伝わる何かを持っているのだと思う。

金曜日

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by 卓 坂牛

金曜日は講義と製図。製図の前に講義があるせいか眠りに入っている学生が多い。講義で眠るくらいなら家でしっかり寝てくればいい。もう出席とるのはやめるか?
僕の製図の授業ではエスキスの前に全員がその日作製した模型と図面を教室の最前列に展示し、皆でそれを鑑賞する。徐々に毎回がんばってくる学生とそうでない学生の差が明確になっていくように感ずる。製図の後に八潮の打ち合わせ。最終ひとつ前のアサマに乗る。車中、濱野智史『アーキテクチャの生態系』ntt出版2008を読む。ここでのアーキテクチャとはもちろん建築のことではなく、レッシング言うところのそれであり、規範が内面化されなくても遂行力を持つ管理能力のことである。つまり否応なく我々を規制する力のことである。この本ではしかしそうしたネット社会での規制力について論じているのではなく、ネット体系が生態系の如く進化している様を描いている。なるほどと頷くことしきり。

文化の差

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by 卓 坂牛

11月6日
午前中に事務所の雑用。工務店に電話。図面の催促への釈明。こちらもぎりぎりであるという状況説明。数日遅れの現状を理解してもらう。締切があるのは設計の仕事の常ではあるが、今回は想定外の要素が多すぎる。午後はできたての構造図と意匠図、意匠図同士の整合性のチェック。
夕刻中国のナカジからメール。こちらも現場はアップアップ。日本のゼネコンのようには進まない。それは文化の違いで仕方ない部分もあるのだが、文化が違うから何でもアクセプトするわけにもいなかい。未知の世界で仕事をするためには判断のクライテリアを其の都度考えなければならず大変である。もちろん契約書というものがそのためにあるのだろうが、契約書を越えて、何がクライアントに有利に導けるのかは一種のゲーム理論のようなところがある。メールでは拉致があかないので国際電話で状況を詳しく聞く。話はそれほどややこしくない。一番の問題は、残りの施工期間で起こることの予測がつかない点である。

円復活?

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by 卓 坂牛

11月5日
午前中八潮ファイナルプレゼンに向けての打ち合わせ。4グループに分かれてやっているせいか内容の密度と表現がばらばら。修正を指示。昼食後雑用を処理して、アサマに。車中昨日の新書を読み終え、
しばし眠る。東京駅で丸善により数冊宅配を頼み事務所にもどる。打ち合わせ後、朝からすぐれぬ体調悪化、持病の再発、東京女子医大に行く。少し回復したので約束どおり、仕事で帰国中のロンドンの友人と会う。彼の家はロンドン市中に7ベッドの豪邸。支払いが大変だったらしいが、昨今の円高に救われているとか。去年彼の赴任時260円だった1ポンドが、昨今120円から150円くらいを推移している。円の価値はやっと元にもどったようである。

駅広

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by 卓 坂牛

11月4日
午前中は会議。午後市役所に行く。善光寺口整備計画検討委員会に出席。この手の委員会は昨今なんでも公開。テレビカメラも入ってきているようである。委員の方は大勢いて、タクシー、バス、商工会議所、区長、警察、などなど20名近い。駅前広場の計画だから様々な利害の調停をしなければならないのだろうが、計画をしたことはあってもこうしたかたがたの意見をいっぺんに聞いたことはなく、なるほど勉強になった。もちろん意見する立場として2,3申し上げたが、とにかく機能調整をすることが最初だろうか。大学に戻りゼミ。今日は4年生、m1。7時ころ終えてコンペの打ち上げを近くの焼き鳥屋で行う。

働きっぱなし?

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by 卓 坂牛

午前中事務所で中国工場の照明について打ち合わせ。予算の関係で入れていたercoの器具が使えなくなった。加えて玉換えのことを考えると少々設計変更が必要になる。最終的に使用可能な照明器具がまだ見えてないので、概略の計画を決めて、来週中国に行くナカジが器具を決めてくる算段である。午後娘の文化祭を覗き、新宿で買い物をしてタクシーで事務所に戻る。車の中であくびをしたら、運転手さんに「連休中働きっぱなしですか?」と聞かれた。「いや、そんなこともないですよ」と言いながら、考えて見れが働いていたということか?でも楽しい仕事ではあったのだが。事務所に戻り九州プロジェクトの天伏せ、矩計図などチェック。このプロジェクトでは伏図が重要であることに改めて気付く。材料の目地が多いから。篠原研の図面には意匠図の中に平面図とは別に床伏図がある。これは床の仕上げを書いていく図面である。普通は平面図の中に書き込む内容だが、建具番号など入れていくと描ききれなくなる場合がある。打ち合わせ後帰宅して夕食をとって長野へ。車中大竹文雄『経済学的思考のセンス』中公新書2005を読む。世の中の動きが経済的インセンティブで説明される場合が多いことに驚く。なぜ大学教員の就労形態が任期制と終身雇用の併用型になっているか?任期制だけだとよい教員が集まらない。教授も任期制だと採用権のある教授が保身のために自分より質の低い教員を採用しようとする。などなど、なるほどそういう原理かと思うこといろいろあり。世の中経済原理で動いていることが多々あることを知らされる。

ラウンドテーブル

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by 卓 坂牛

午前中は読書。午後から今日の青学でのラウンドテーブルで話すことを考えようと思ったのだが、どうも体調がすぐれず一休み。結局行く前1時間少しメモを作って青学へ。青学は文化祭。人でごった返していた。いいか悪いか別にしてここには日建の建物が多く懐かしい。しかしよくよく聞くと、レイモンドやヴォリーズの建物を壊して新しい校舎が計画されているようでちょっと悲しい。青学の中でもひときわ由緒ありそうな洋風建築が今日の会場でありそこに黒石先生の部屋もある。30分ほど今日のストーリーを話し合い会場へ。
4時から1時間ちょっとイアン・ボーデン(ロンドン大学バートレット校の建築学科長)のレクチャー。そして5時半くらいからシンポジウム。八束さん、今村さん、僕が順繰りにイアンへの質問をしたり、あるいはパネラー間での対話となったり。スケートボードという特殊な体験は都市体験の一般論としては個人的過ぎないか?あるいは都市体験としてのフィールドスタディから創作論は構築できるのか?などなどなかなか本質的で充実した議論だった。会場からもロンドン藝術大学教授のワタナベ先生や東大の南後さんなどの適切な質問があった。会場には日建時代の先輩のkさん。研究室のY君。早稲田の講義に聴講に来ていた学生数名も来ていた。面白かっただろうか?終わったのは予定をはるかに回った7時半。大急ぎで夕食の場所に移動。創作和食に満足し、再会を約し、解散。楽しい二日間だった。

青山から秋葉原へ

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by 卓 坂牛

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ロンドン大学バートレット校の建築学科長を務めるイアン・ボーデンと講師のバーバーラ・ぺナーが来日し、明日のシンポジウムの前に今村創平さんと私で東京ツアーに出かけることになった。今日は快晴で温かく絶好の建築めぐり日和である。青学の宿舎に彼らを訪ね、その足でまずはプラダへ向かう。そこからコレッチオーネに行きまたプラダに戻る。やっと開いたので中に入る。まあ彼らはひどく感動して、1時間はいただろうか?お店にも英語のうまい人がいて話し込む。プラダの庭は改めて見るとなかなか素敵なのだが、なかなか日本人には使えこなせていない。これこそスケートボーディンぐに最高だろうという話を持ちかけるとそのとおりと喜んでいた。
プラダを後にしてランチをとりにmvrdvの建物に向かう。向かう途中で伊東さんにばったり出会い、今村さんがイアンとバーバラを紹介する。ランチの時にofdaが特集されたbobを差し上げる。これは英語で書かれているので都合がよい。早速興味深そうに見始める(上記写真)。ランチ後彼らはキディランドに行きたいと言う。息子、娘へのプレゼントを買った。その後キャットストリートで法政の矢部先生がジョイン。スケートボードショップへ向う。イアンはそこでdvdを買っていた。矢部先生は法政でメディア社会学を教えておりその学生も加わり秋葉原へ。そこでメイドカフェのおたく文化を、電子小物ショップで昔ながらの秋葉原を、そして超高層の新しいアキバを。この混合されたスーパー東京に彼らはいたく感動。
じゃんがらラーメンを食べ、明日のシンポジウムで会うことを約して別れる。楽しいリラックスした一日。しかし思い返せば、バートレットのエィドリアン・フォーティーが来た時も表参道ヒルズ、プラダ、六根。クリスティーヌ・ホーレィが来た時も、キャットストリート、プラダ、秋葉原だった。ついにこの二か所は押しも押されもせぬ世界的建築メッカとなってしまった。