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Oct 2010

「芸術としての芸術」おける大芸術家

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by 卓 坂牛

事務所で作ったフォトモンを研究室に送る。他のドローイングは学生たちに任せた。コンペ提出は日曜日だがさてどこまでブラッシュアップできるだろうか?
選奨現地審査の日程調整を諸先生方と行う。偉い先生はメールなど見てくれない。放っておくと一生返事が来そうもないので電話かけまくり。やっと候補日を決めて学会に連絡。
JIAからリーテム大倉工場が優秀建築選に選出されたとの書類が届く。おっと縁起がいい。今年から選出数が200から100に減ったので少しは価値あるものかもしれない。住宅も出したのだが連絡は来ないから駄目だったのかな?まあ賞はミズモノだから気にしない。
夜藤枝さんのポロックを読み終える。こんな念入りな1人のアーティストの作品論を読んだのは初めてである。ポロックの作品をそんなに見たわけではないし、載っている図版が老眼にはつらいものがあり正確な読解は期待できない。しかしポロックは「芸術としての芸術」における大芸術家であり、ジャスパージョーンズは「芸術についての芸術」における「偉大な小芸術家」と呼ぶ意味合いは理解できていないとしても、僕の中では納得できる。

藤枝 晃雄のD論

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by 卓 坂牛

先週ろっ骨を痛めたせいで夜中寝返りが打てない。そのせいか朝起きると体中が痛い。こういうのを床ずれというのだろうか?睡眠時間はしっかりとっているのに、眠りが浅く朝く甲府遠征の車中眠い。その眠い目をこすり藤枝 晃雄『新版ジャクソン・ポロック』東信堂(1979)2007を読む。藤枝さんの博士論文が元になっている。僕は博士論文がもとになっている本は基本的に信用することにしているし、熱を感じるので好きである。序章はポロックがポロックスタイルに至る前の話。これが面白い。引きこまれる。キュビストでピカソの影響が強かったなんて想像を絶する。それらを小さな図版ではあるが、図を元に比較解説してくれるので分かりやすい。
甲府、塩山と毎度の現場ハシゴを終えて帰りは大月まで各駅。大月で特急に乗りかえ新宿経由事務所。現場で立ち上がらなくなったdynabookを事務所で電源につないだがやはりダメみたい。急きょプリンタサーバーにしていたパソコン引っこぬいて使うことにする。ノロワレテイル。

禁断症状

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by 卓 坂牛

やることもメールも減らない、打合せもあるし、合うべき人も変わらずいる。無くなったら大問題だけれど、不思議なもので、一日くらいそういうことが0の日があってもいいと思いつつ、大学を出てからそう言う日に遭遇したことはない。もちろん意識的にそう言うことを無視する日はある。あるいは外国にとんずらして知らぬふりをすることもあった。しかし最近は外国行ったってブログなんて書いている以上メールが届かないなんてうそぶくこともできない。だから仕方ない、メール空間の中で会ったが最後挨拶無しではいられない。ところで、この1週間くらい活字中毒者が活字を奪われ禁断症状が出始めている。なんだか頭の回転が電池の減った腕時計の秒針の如くスムーズに動かない。しばらく止まって急に数秒分まとめて動く。頭が字を欲している。何か詰め込まないと止まりそうである。
明日は甲府遠征なので、少しは禁断症状を抑えられるといいが。

ロベルト長野最後の日

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by 卓 坂牛

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昨日1週間ぶりに家に帰り今日は一週間ぶりの事務所ワーク。間が長くてもメールのやり取りで大まかな流れはおさえているけれど伝えにくい細かなことは溜まるものである。さらに展覧会、展覧会、ワークショップ、シンポジウムなどが続くとメール対応もままならず、それらの積み残しがどっと溜まりその調整に追われる。
土日神戸、瀬戸内海と長野を離れている間ロベルトは学生と留学生の親に任せていたらお礼のメールがロベルトから来た。長野のあまり行けないような庭や建物を案内してもらったこととそれをフォローした学生のkindnessに対する感謝のメールである。You have to be very proud of them(students)。と言う言葉が泣ける。学生もこうやって成長するのだろう。

瀬戸内芸術祭を2島ほど見る

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by 卓 坂牛

4時ころホテルに戻りシャワーを浴びて迎えを待つうちに寝てしまった。5時ころたたき起こされレンタカーのバンで宇野港へ向かう。車中は熟睡。8時ころ港に着きチャーターした船で豊島(てしま)へ向かう。今日は西沢立衛氏設計の豊島美術館のオープニングである。9時ころ整理券をもらうが入れるのは11時30分。一度港のあたりまで戻りオラファーを見るが、余りに小規模作品でがっかり。ボルタンスキーは1時間半待ちで見るのを(聞くのを)やめて砂浜をぶらぶら。11時半美術館に戻るとばったり平瀬さんにお会いする。彼らは来るのが遅く整理券を貰えず入場できないとのこと。朝早く来た甲斐があった。R0022732%E8%B1%8A%E5%B3%B6.JPG
中に入ると平面はしずく。断面は無柱のシェル。天井は高いところで4.5メートルくらい。直径10メートルくらいの穴が二つ開いている。空気は外部。床面の針の穴程度の小さな穴から水が出てきて直径3センチから30センチくらいのしずくが表面張力で緩やかな床の斜面をゆっくりと滑る。そして数か所の僅かばかり低い場所に溜まっている。そしてどこかで知らぬうちにこの水はまた地中に吸いこまれている。内藤礼の作品である。静寂と静かな動きとその背景の西沢建築は息を飲む。そのそばには似たような形のカフェがありこちらの床は絨毯。人は寝そべり休憩できる。12時半山の上の方の「島キッチン」で昼食をとる。既存民家を改修し、さらに緩やかな屋根の縁側を生みだした。設計は安部良、構造は金田研究室。民家のスケール、マテリアルと絶妙の繋がりを作った秀作だ。この屋根の下にいるとなんとも心地よかった。
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食後は幾つかのアートを眺め豊島を後にしてチャーターボートは犬島へ移動。そこで妹島さんにばったりお会いする。御挨拶してから妹島プロジェクトを4つ見る。最近の妹島ミニマル建築のディテールはどれもこれも絶品である。監理するスタッフの力量が分かる。
犬島を後にして夕日が沈む瀬戸内海を宇野へ戻り岡山駅に着いたのは6時半。食料を買い込みのぞみで東京へ。車中曽我部氏が知り合いにあって話をしている、よく見ると日比野克彦氏。日比野克彦個展の招待状をいただく。今日はいろいろな人にお会いする日である

八潮の成果を神戸で展示

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by 卓 坂牛

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朝3時に出発する予定が、待てど暮らせど学生は来ない。結局出発できたのは4時半ころ。琵琶湖を経由しながら神戸に着いたのは11時半。会場は思った以上にきれいにできていた。それにしても古い生糸検査所を市が買い取りデザインイベントの本拠地にしようとしているのだからさすが神戸である。この場所でGLOCAL NEIGHBOURHOOD MEETING in KOBEと題して、八潮公園計画の展覧会とシンポジウムを行った。ゲストには神戸芸術工科大学の長濱先生、立命館大学の武田先生が来られ的確なか感想を頂いた。さあこれから議論が核心へ向うというところで時間切れとなってしまった。しかしその後の懇親会を含めて突っ込んだ議論をさせて頂けたのは実りあった。学生、武田先生とは4時近くまで話明かす。

ワークショップ作品講評会

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by 卓 坂牛

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ワークショップ講評会を午後から行う13作品から半分くらい選びプレゼンをしてもらおうと思ったが思いのほか皆良いできで、全員に発表してもらうことにした。その後僕が5作品とロベルトが6作品を選んだ。そうすると4作品が共通していた。建築の講評会だとこういうことはよくあるのだが、屋根をつくれというワークショップで材料はA3の紙三枚、サイズも指定されていると出てくるもののデザインのヴァリエーションはあってもクオリティはかなり近似する。つまり実に選ぶの難しい。評価ポイントは①敷地との関係性が語られていること ②紙という素材がきちんと構造的に建築化されていること ③A3の紙を3枚使っていること ④ポエティックな美しさがあること。という評価軸で2人で合計7作品を選び再度質問、コメントを与えた。さてその後2人で議論僕と彼の意見があった作品一つを最優秀賞とし、ロベルト賞、坂牛賞を決定して、それはパーティの席で発表することにした。
ワークショッププログラムもこれでほぼ終わり。後は展覧会に今日の成果を陳列し、残り二日の会期を終えるのみである。

シンポジウム

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by 卓 坂牛

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10時からロベルトとエスキス開始。13チームを10分ずつ2時間半くらい。終わって今日は長野の現代建築を見ることにする。みかんぐみのNHK。僕の日建時代の長野県信用組合。そして東山美術館。そのあと善光寺にお参り。この寺の祈り方を聞いたら「ここは神社だけど2礼2拍手1礼の必要はないよ」と言われた「じ、ん、じ、ゃ????」驚いた。ぶらぶら表参道をおりてシンポジウム会場へ向かう。シンポジウムは展覧会場でもある。すでに多くの人でいっぱい。古い場所に新しいものを挿入するときの作法は?という議論から始まり、何を我々は残さなければならないのか?建築の新しさとは何か?という深い議論ができた。
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A3の紙3枚でA3サイズの屋根を作る

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by 卓 坂牛

朝、重たい打ち合わせを某教授としていたら昼近い。あせってあっちこっち駆け回り諸調整。12時近くにロベルトが大学に到着。アルゼンチンからいろいろな本を持ってきてプレゼントしてくれた。その中にブエノスアイレスの公共コンペの歴史という分厚い本がある。なんと700ページ。1825年から2006年までに行われた1000近いコンペの1位のドローイング模型そして実現したものはその写真が載っている。ロベルトはこの編集者の一人である。スペイン語だけだというのが残念だが、その図版を見ているだけで、建国以来のこの国の建築史がおおよそ頭に入る。
昼ころ信大松本のスペイン語教師、橋本エリサ先生が来られ通訳の打ち合わせ。橋本先生はブエノスアイレス生まれ。思わずロベルトの奥さんマリアとBA話で盛り上がる。1時半からレクチャー開始。大会議室はほぼ満員。外部の方も含め150名程度。アイゼンマン、ヘイダックらのアルゼンチンでのワークショップの話に始まり、自作を含めて1時間半。哲学、文学、そしてエンジニアリングと話は多岐にわたる。橋本先生も大変。講演の後はワークショップ参加の学生への課題の説明。場所はラプラタ川に面した公園。課題は人の集まる屋根を作れというもの。材料はA3の紙三枚。これを全部使って、1/100でA3サイズの屋根を作れという課題である。これはなかなか難しい。うまく使わないと紙が余るはずである。折り曲げたり、カットしたり、織ったりすることで紙の重複を作りだし、構造的に強くして、そして屋根を作らねばならないのである。
6時ころ説明が終わる。参加者は日工大から来てくれた学生を含め2年生からm2まで40名。これを13のチームに分けて2日で作る。さっそく製図室は熱気で盛り上がっている。僕も学生と一緒になってしばらく折り紙を楽しむ。昔横断道の換気塔を設計していたころは毎日ひたすらこの折り紙をやっていたので懐かしい。明日は10時からロベルトとエスキスチェック。楽しみである。

オリンピックのデザイン

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by 卓 坂牛

午前中のあさまで長野へ。駅からアルゼンチン建築展の会場であるボンクラへ向かう。会場には担当の学生が数名いた。会場を一通り見終わったころにお客さんが入ってきた。家族3人連れ。どこかでポスターでも見ましたか?と聞くと、歩いていてふらりと入ったという。その割にはとても熱心に見てくれた。ブエノスアイレス、長野、京都のセームスケールの都市模型が分かりやすくて面白かったと感想を聞かせてくれた。
ボンクラを後にしてぶらぶらと表参道を歩いて下ると左側に冬季オリンピックの表彰会場が今でも残っている。明日ロベルトが来たら、「ここが1998年冬季オリンピックの、、、、」と説明するのかなあと思いつつ、それにしては表参道の中央にただの駐車場と化した錆びついた会場はあまりにさびしいと悲しくなった。長野へ来る車中、原研哉の『デザインのデザイン』岩波書店2003を読んでいたのだが、その中に長野オリンピック開会式のプログラムデザインが載っていた。それは、それはとてもよくできた繊細なデザインである。日本語の縦書きと外国語横書きがブロックの塊のごとくグラフィカルに配置され、しかも印字された部分の紙が薄くなり透けて見えるように工夫された紙を使っているのだそうだ。それは雪と氷を連想させる工夫だとか。グラフィックがそれだけよく考えられているにもかかわらず、建築は何してるの???とイライラした。
駅でそばを食べて大学に来てネット上でワークショップによるいろいろな出費の購入伝票やら旅費伝票などの整理をする。異様に煩雑なこの作業にまたまたイライラする。こんなにインターフェースが不親切で手間のかかるソフトって未だにあるのだろうか?この手の伝票は毎日打ちこむわけではないのだから、そのアプリに慣れるなんて無理である。考えなくても打ちこめるようなデザインになってなければ使えないよ!!