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Jul 2013

伝えたいことがあるから創るのであり、ないなら創るのやめたほうがいい

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by 卓 坂牛

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お昼から翻訳勉強会。やっと二回目の読み合わせに入る。なんとか今年中に出版にこぎつけたい。
勉強会後にグルスキーを六本木で見ようと思っていたのだが大雨が降って来たので今日はあきらめた。帰宅後読みかけの内田樹『街場の文体論』ミシマ社2012を読む。内田の本はいつも最初の3分の1は面白いが残りは惰性で書かれているので目次見て飛ばし読む。この本も一番いいことは最初に書かれている。
第一章「言語にとって愛とは何か」が印象的。もちろんこれは吉本の『言語にとって美とは何か』のもじりだろう。まあそんなことはどうでもいい。著者曰く文章とは精一杯読む人に情理を尽くすこと。文章の創造性とは「何か突拍子もなく新しいこと」を言葉で表現することではない。それは「読み手に対する懇請の強度の関数」であるという。だからどんな文章でも絶対に相手のレベルに合わせて「こんな程度でいい」というような態度をとってはいけないという。
昨今久しぶりに教えられる文章である。このことを先ず僕は早稲田の演習で学生に伝えたプレゼンとはコンテンツ、パワポ、喋りと教えていたが、内田の文章を読んでどうもそういう教え方は違うなと思い直した。人に何かを伝えると言うことはそんなテクニカルな問題ではないと。次に理科大の建築の学生に同じことを話した。プレゼントは相手への懇請であると。懇請とは腰を低くしろと言うことでは全然ない。そうではなくて自分の最も言いたいことを相手に分かるように精一杯伝えると言う態度である。この対極を行くのが相手のレベルに合わせて相手が分かる程度のことを適当に伝えるという態度である。
そして最後に僕はこの言葉を自らの肝に命じることにした。すなわち建築の創造性とはクライアントにそして社会に対する懇請の強度の関数なのだということを。逆に言うとそれほど言いたいこと、伝えたいことがないなら作るのやめたほうがいいということでもある。

暑い一日

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by 卓 坂牛

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相変わらず早朝起床。だんだん体がそれに適応してきている。チャリで皇居をぐるり回り帰宅、シャワー、朝食。今日も35度の予報。我が家の人たちは今日の外出予定は延期するようだが。私はリーテム東京工場で清水建設の所長と打ち合わせ。家電リサイクル法施行以後リサイクル工場に持ち込まれる物品は増加中。それでも今のところ2交代処理できているとのこと。午後流通センター経由で東雲へ。3月にオープンした巨大アートスペースTOLTOhttp://www.heuristic.com/tolot/に行って見る。wako のコレクションなどが置いてある。リヒターもここにあるとまた違って見える。東雲から大崎経由で田町へ。学会で学生構造ワークショップの審査。学会の中庭で空気が止まっている。ここもとにかく暑い。

谷口建築の真髄

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by 卓 坂牛

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午前中早稲田の演習を早めに終えて、高田馬場経由池袋からレッドアローで一路秩父。そこからタクシーで秩父太平洋セメントの工場へ。谷口吉郎の1956年の建物である。
1時間かけて工場内を歩いた。おさまらない猛暑で汗が噴き出る。東京ドーム6個分の敷地に連なる建物の屋根は建物高さ、平面形に依らず、ライズの低いボールトである。ボールトの多用は有名な写真で知っていたが、例外がないのには驚かされる。そして外壁の構成も統一されている。セメント系パネル、スチールサッシュ、レンガ、打ち放しのコンポジションであり、プロポーションは縦割り。
この建物群を見て最初に連想したのは東工大の講堂である。ボールトのライズ、外壁にたまに登場するレンガ、打ち放し、スチールサッシュ。プロポーションとマテリアルコンポジションの類似性である。
創業以来建築物のメンテはやっていないが雨漏り一つしていないとのこと。スチールサッシュは錆びているし、網入りガラスが割れているのはざら。コンクリートボールトの屋根の上には草が生えているのが下から見える。そのくらい何もしていない。それでも現役というのは立派なのだが、もう少し手をかけてあげないと建築が可哀そうである。

ブエノスアイレス建築ビエンナーレへの招待状来る

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by 卓 坂牛

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ブエノスアイレスから第13回ブエノスアイレス建築ビエンナーレへの招待状が届いた。展覧会は9月19日から10月15日まで、レクチュア週間が9月の24日から27日まででそこにスピーカーとして来てほしいとのこと。展覧会の招待者の名前だけ見ているとかなりのビッグネームが名を連ねているけれど、実際レクチュアに来るのかどうかは怪しい。まあでもそんな人たちと作品並べて建築の話できるなんてチャンスはそうないでしょうから喜んで行ってきます。と行っても、ワークショップやら学内会議やら、いろいろと調整しなければならんことは多いのだが、、、、トホホ。

屋根を考える

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by 卓 坂牛

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2時ころパネルを持って院生二人が郵便局へ。とりあえず終わり。学生たちは全員徹夜だが今晩は7時から大学院製図の最後のエスキス。非常勤の藤原徹平さんと小西泰孝さんがいらっしゃる。これはしんどいね。僕も8時から事務所で打ち合わせ。コンペが終わったからと言って仕事が終わったわけではない。波のように押し寄せる仕事を軽々とサーフしながら建築の逞しさを身につけよう!!
今回のコンペは雪国ということもありプランと並行してかなり屋根のことを考えた。こんな屋根ばかり考えることも少ないと思う。最初は1/1000で作ったイメージがありそれから1/500モデルが2個、1/300モデルが7個、1/200モデルが1個。このスタディにかけられた時間は1週間。瞬発力がいる作業だった。学生はいい勉強になったはず。まあ勉強のためにやったわけではなく、、、勝つためにやっているのだが。長野にぜひとも一つ作りたい。
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コンペ締切前の研究室はmess

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by 卓 坂牛

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さてコンペ発送締め切りは明日。研究室のコンペ班10名くらいが最後の追込み。1時間おきくらいにアップデートしたプレゼンボードがプリントされ、僕が赤入れしたりレイアウト変えたりしている。
研究室の各自の机は四周の壁に向かって配置され中央には大きな作業台が二つ置かれている。作業台と言っても昔の事務机を並べてその上に数枚のしなランバーコアを置いただけ。僕の場所はこの四周の一画にあり本棚で囲われている(ちょっと偉そうだ)。
このレイアウトはコンペやる時は便利である。誰がいるかすぐ分かるし、名前を言えばすぐに振り向き会話ができるし、打ち合わせしたければ2秒で集まれる。設計事務所もこんなレイアウトなら使いやすいだろうと思う(個人のプライバシーなんて全然ないのだけれど)。しかし大きなテーブルは散らかし放題(mess)になりやすい!!

キッズデザイン賞をいただきました

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by 卓 坂牛

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数か月前、ここ数年で竣工した児童養護施設を「キッズデザイン賞」なる賞に応募しようとスタッフが言った。そこで今年が8回めのこの賞の過去の受賞者をネットで見ると、日建をはじめとする大手からアーキヴィジョンの広谷さんなどアトリエまで結構錚々たるメンバーが受賞している。ではとりあえず一次審査は無料なので二つの施設を出すことにした。数週間後双方一次審査通過と言う通知が来た。これは嬉しいと思った。しかし2次審査はパネルに加えて審査料5万強をつけて出せとのこと。おっと、二つで10万は弱小事務所には結構な出費。しかしせっかくなので双方パネルを送り入金した。するとまた数週後、一つは二次審査通過、一つは不通過との返事が来た。まあ仕方ない。さらに二次通過作品については次の審査に向けてデーターを出すのだとスタッフに言われた。その後数日たって今日事務所の机にある2次審査通過の書類をよく見ると2次審査通過によってキッズデザイン賞は既に受賞しているとのこと。次の審査とはさらに部門賞や最優秀賞を選ぶために行うものだそうだ。そうかよかった。二個出して一つ受賞。打率5割。少しハッピー。

「産ませない社会」ってズバリそうだな

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by 卓 坂牛

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八潮市の中央総合病院には婦人科はあっても産科がないと聞いたことがあった。筑波イクスプレスが走りはじめ人口増加している市の中央病院に産科がないなんて厳しいなあと思った。産科の先生は足りないのである。過酷な労働条件のせいでなり手がいないのだろうか?アメリカではしょっちゅう起訴されると聞くし。
先日読んだ小林美稀『ルポ生ませない社会』河出書房新社2013でとりあげられている産婦人科医の実態調査(2006)で大学病院の勤務状況の最大値は月間在院時間は431時間当直18回。一般病院の平均月間在院時間が301時間(最大値428時間)とのこと。「うわっひどいなこれ!!」って思わず驚いた。僕らの事務所でも締切前とかになるとだれでも300時間は超えているだろうけれど年間平均値はせいぜい260~270くらいではなかろうか?人の命預かっている人たちの平均労働時間がこんな状態ってどこかおかしい。国がなんとかしなければ先ず産む気になれまい。

薄いモルタル仕上げのベンチ 日建らしくなくていい!

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by 卓 坂牛

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このところ理由は分からないけれど4時半ピッタリに目が覚める。12時半に寝ているので4時間睡眠である。でもその後寝られないので起きる。メールの返信したり、6時45分から始まる語学ラジオの予習したり、雑用したり(たまった名刺のスキャンとか)、コンペの文言考えたりして今日は5時半頃自転車で皇居を回る。するとこんな時間にもジョガーはいる。平日のこんな時間に走っている人はどこでシャワー浴びて仕事にいくのだろうか?
帰宅後語学ラジオ聞いてから食事。最近の朝食は先ずサラダ。キャベツ、トマト、ニンジン、にオリーブオイル、バルサミコ酢、塩、コショウのシンプルドレシング。量はすごい。見たら驚く。馬の餌みたい。二皿目は豆腐、納豆、ヒジキ。三皿目はグレープフルーツに無脂肪ヨーグルトをかけたもの。これだけ食べてもあまりおなか一杯にならない。そしてシャワー浴びて、少し翻訳してから今日は大学に。
大学に目立たないがちょっとお気に入りのデザインがある。僕が日建時代はきっと許されなかっただろうと思われるコンクリートモルタル仕上げのベンチである。座に少しRがついているだけであとはコンクリートの30ミリくらいの板である。表面はかなり粗である。それこそ光触媒でも塗って汚れないようにしているのだろうか?さすがに白いパンツでここに座る勇気はないのだが、、、、

日曜日の研究室

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by 卓 坂牛

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今日も4時半に目が覚める。昨日のジョグで飛ばし過ぎたせいか左足の膝が痛い。そこで今日は走るのは止めて自転車で皇居を回る。7時前だがジョガーの多いこと。家からの往復入れて約30分。自転車がまともなら20分。
午後八潮のワークショプへ。今年はT邸の茶室とお庭、特養のお庭にハンモック、そして川沿いの釣りバーの制作と盛りだくさんである。終わって大学に向かう。初めて八潮駅から金町行きのバスを利用した。途中の風景を見ようと思ったのだが寝不足のせいか乗った瞬間に眠りに落ち、目が覚めたら金町だった。所要時間は30分。大学でA1パネルのレイアウトとコンテンツを考える。基本は院生が考えてくれていたのでそれを少しブラッシュアップ。だいたいまとまってきたかな?