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Aug 2013

小樽の坂牛邸を訪れ坂牛さんにお会いする

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by 卓 坂牛

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今回の学会では初日と3日目に司会が3つあり3日間札幌に居なければならない。というわけで中日の今日は建築見学ツアー。午前中小樽の「坂牛邸」を見て午後「上遠野邸」を見て夕方「モエレ沼公園」に行った。
小樽の坂牛邸(僕とは親戚でもなんでもないのだが)はNPO法人歴史的地域資産研究機構の原朋教さんの案内で見学をした。原さんたちは北海道の歴史建築を保存する運動をしている。そんな関係でいつもはいらっしゃらない坂牛邸のオーナーである坂牛さんともお会いして建物の話を聞くことができた。この建物はライトの弟子だった田上さんが27歳の時の設計。随所に見られる斜めの線がライトを髣髴とさせる。
それにしてもヴァーチャルな世界では親しみを覚えていた「坂牛邸」にひょんなことから訪れしかもその坂牛さんと会えたのは不思議な感覚。坂牛さんは岩手の出身とのことで、坂牛の発祥の地八戸が昔は岩手県だったことを考えると本家本元の坂牛さんなのだろう。
その後行った「上遠野邸」の上遠野さんに小樽の坂牛さんの親戚だと思われていたのが面白い。「上遠野邸」は『都市住宅』に掲載されていたのを学生時代に見た印象が強烈だった。ファンズワース邸をレンガと鉄骨で作ったような建物である。
風も雨もおさまらずモエレ沼では貝島さんと遭遇。彼女が山を二つ登ったというので張り合って登ったらびしょびしょになった。

学会コンペ最優秀賞!!!!!

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by 卓 坂牛

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学会初日。北海道。朝5時起床。雨の中ジョギング。もうこちらは秋。何十年ぶりかの北大。学生たちの発表場所をかけづり回り、自分の司会も終えて4時半の電車に飛び乗り学生に付き合って水の教会へ。車中学会コンペの最終審査に残って公開審査をしている奥田、金沢に電話。結果は?「最優秀賞でした」とのこと。Congratulations!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
.水の教会を見てから札幌に戻り彼らの賞金で僕もM1も腹いっぱいジンギスカンをご馳走になる。教師冥利に尽きると言いたいところだが、またもや何の指導もしていないのにこの結果。つくづく教師は不要と思い知らされる。これで今年の研究室の獲得賞金は451万だとか。

アトムはもう要らない

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by 卓 坂牛

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午後日建設計の亀井さん、山下さんと後期の大学院製図課題の打ち合わせを行う。前期は藤原さんと小西さんに構造的視点で建築を考えるトレーニングをしていただいたので後期は環境的視点から建築を見る訓練をしていただくことにした。山下さんは僕が在籍していたころ一緒に組合活動をしていた設備のエンジニアであり理科大理工の出身である。
外堀を環境利用した市ヶ谷駅の設計とか外堀周辺の開発とか神楽坂をcool town(涼しい街、かっこいい街)にしよう、などの課題案を議論。最終的には理科大神楽坂キャンパスタウンをいかに環境オリエンテッドに作れるかというテーマで行うこととした。キャスビーの知識をベースに多少の計算を行いながら試行錯誤する。電気を使わない大学なんて考えられたら最高である。
夕方の飛行機で札幌に向かう。時間が無いのに秋葉原から上野に向かうべきところを逆向きの電車に乗ってしましいあせった。
機内、吉見俊哉『夢の原子力』ちくま新書2013を読む。この本は単なる原子力開発ストーリ―ではなく、原子力が夢物語としてどのように社会に表象されてきたかをゴジラやアトムなどのメディアに登場するキャラクターの変遷を通じて分析している。ゴジラの顔がソフトになったのと原子力発電所が多く稼働し始めたのが同時期であったのは偶然ではないということである。
鉄腕アトムは100万馬力を生み出す原子力の象徴であり100万馬力を使いこなすのが半世紀前の夢だった。しかし現代は100万馬力なしでいかに同じ生活を維持できるかが課題なのである。キャンパスタウンも是非0エナジー建築にしたいものである。

ジャコメッティと書

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by 卓 坂牛

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国立新美術館で配偶者の作品を見る。家で見るのと美術館で見るのとまた見え方が違う。去年ブエノスアイレスで彼女が書のレクチャーをした時こんな質問があった。「あなたが書を書くにあたって影響を受けたアーティストがいますか?」と。僕は全く知らなかったが彼女は「ジャコメッティ」と答えていた。
ジョンバージャー(John Berger)飯沢耕太郎監修笠原美智子訳『見るということ』(About looking)ちくま学芸文庫(1980)1993の中に「ジャコメッティ」という短い論考がある。彼が言うにはジャコメッティは社会と何物をも共有しない人間の顔をしている(その真逆はル・コルビュジエだとも書いている)。それゆえ彼の死が彼を完成させ、彼の作品を深く意味づけて行ったと言う。なるほどあの細い肉体は人間が社会と関わる全てのものをはぎ取られたエッセンスの現れなのかもしれない。
配偶者が好むジャコメッティがバージャーの語るようなものであるかどうかは知らないけれど、明らかに彼女の線も不要なものをすべてはぎ取ったエキスの刻印であり、その点において彼女がジャコメッティを敬愛しているのは確かではないか。

ゆっくり生きましょう

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by 卓 坂牛

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今朝の朝日新聞の朝刊に本川達雄東工大教授のコメントがオピニオンの欄に載っていた。本川さんと言えばベストセラーとなった『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者である。すべての動物の生きている間の心拍数の合計は同じなど、生物学的な統計から種によって流れている時間が異なるということを言っている。
そんな本川さんが現代社会に流れる時間についてこう言う。
「現代人と言うのはエネルギーを大量に消費することで時間を買い取っているんだと思います」。飛行機しかり、パソコンしかり。人間が扱うものがモノから情報になればますます速さに歯止めがかからなくなるというわけだ。しかしその速さは人間が普通に扱えるものを超越している。そして話は人間の生命にまでおよび、医学の進歩は人間をどんどん長寿命化させている。生殖活動が終わってから何十年も生きる生命体は異常。これはもはや「べらぼうなエネルギーと技術が生み出した人工生命体」だと言う。
仕事をしなくていい日には人間の普通の速度に戻りなさいと提言している。

フォーティー本に遭遇

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by 卓 坂牛

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現在翻訳中のAdrian Forty著‘Concrete and Culture`の中にかなり詳細なブラジルコンクリート建築の説明がある。「何故ブラジルのコンクリート建築はあそこまで薄いシェルなのか?」という技術的な話から、「ブラジルは世界で最初に国としてのモダニズムスタイルを確立した」という歴史的な位置づけまで。そして日本についても同様である。
フォーティーが日本に来た時に旺盛にコンクリートについての取材をしていたのを知っていたのでブラジルでも同様な取材をしていたのだろうなあと感心していた。
そんな矢先のこと、来月ブラジルに行くのでブラジル建築の本を探していたらその昔`Brazil`s Modern Architecture` Phaidon 2004なる本を買っていたのを思い出しイントロだけ読んでみようと本を開けた。するとそのイントロを書いていたのはFortyだった。なるほどここで十分勉強していたということだった。
さてついでにつらつらとページをくくるとブラジリアの写真が登場。あれ今まで気にも留めていなかったのだが、この角度から見るとなんだか見たことがある。そう、昨日僕はこの建物を見た。用事で行った代々木にあったな。そう代々木に建っている予備校の建物だ。代ゼミである。なかなかシャープなデザインと思っていたがオリジナルはニーマイヤーか(もちろんニーマイヤーのは本当にツインタワーなんだけれど)!

今気付かないで何時気付くのか?

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by 卓 坂牛

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経済は成長しないといけないのか?という疑問はバブルが崩壊して少したってから湧いた疑問である。なぜそう思ったかというと、成長したことが生活を豊かにすることに寄与していないのではと思うようになったからである。
そしてそんな気持ちがしっかりとそうだと思うようになったのは春に北欧行って彼らの生き方を見てああGDPが少なくても豊かな生活は送れると感じた時である。
しかしその認識はいささか誤りっだった。実は北欧も一人当たりにするとGDPは高いのである。確かにGDP自体はアメリカ、中国、日本の順なのだが、国民一人当たりにすると10位までにアメリカも中国も日本も入っていないのである。そこには北欧の3つの国やスイス、カナダ、オーストラリアなどがあり、アメリカ11、日本は13なのである。
これは何を意味しているのだろうか?ブータンのようにGDPが少なくたって幸せだという主張もありうるかもしれない。しかし基本は経済がそこそこ回っている方がやはり豊かにはなりやすいのだろう。ただし、日本やアメリカがどうして豊かに感じられないかと言うと、GDPで自らが不幸になるものを多く生み出しているということなのだ。
実は今から半世紀以上も前にロバート・ケネディはそういう警告を鳴らしていたのである。殺人兵器を作り続けてもGNPは上がるけれどGNPは夫婦の絆や公務員の高潔さには関係しないと主張していたのである。半世紀もの間日本もアメリカも何していたのだろうか?そして今それに気付かなくて何時気付けと言うのだろうか?

麩まんじゅう

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by 卓 坂牛

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午後から事務所でクライアントと打ち合わせ。「近所のお店ですけどとても美味しいんです」と言っておまんじゅうを頂いた。目黒「はちのや」の麩まんじゅうである。笹の緑が涼しげである。
本日の案はL字平面だったが打ち合わせしているうちに三角形プランもありそうな気がしてきた。この饅頭のように、、、、

新宿アートフェスタオープン

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by 卓 坂牛

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新宿アートフェスタというイベントがある。プロのアーティストから学生までいろいろな形で参加する。3年前から始まり、僕らも研究室で初回から参加してきた。初回は僕も徹底して参戦。去年はちょくちょく参加。そして今年はまったくお任せ。「参加型アートがいいんじゃない?」くらいは言った気がするけれどそれだけ。
と言うわけで研究室の制作部屋(本来は教員部屋だけれど僕の研究室では教員部屋は制作部屋になっている)で日夜作っているのは知っていたが見ることもなかった。そして昨日搬入して今日から展示公開。さすがにできたものを見るくらいはしないと指導(しない)教員として罰があたりそうなので先ほど見てきた。
この作品は1万個近く集めたペットボトルのキャップを木枠に3層にかけ渡されたテグスに自由に参加してはめていくアートである。そして会期が終わればキャップは新宿区に寄付されてエコキャップ運動の足しにしてもらおうというものである。
主催者とのやりとりから、アイデア出しから、制作、搬入にいたるまで僕が何もしなくてもこれだけできるって大したものだと感心した。

小さなスケッチブック

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by 卓 坂牛

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最近お気に入りの小さなスケッチブック、薄い合皮でくるまれている。大きさは15㎝×8.5㎝。背広の内ポケットにも入りそうな小ささである。ペンを刺すブラケットがついていおりそこにキャステルの0.9ミリのシャープペンをさしている、これはノックするところに細い消しゴムがついていて最も使いやすいシャープペンだと思う。さらに最後のページにはメモを挟める折り返しがあり、そこに20センチの竹の物差しをいれてある。これがまたいろいろと便利である。
以前もこの大きさのスケッチブックをだいぶ長く使っていたが、大きなスケッチができないのでしばらく大きいものを使っていた。そしてまた小さくスケッチしたくなりこのサイズに。まあ実際持ち運びも楽だし掌に広げたた時も楽である。