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Sep 2013

皮膚感覚

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by 卓 坂牛

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海外からの研究生の受け入れですったもんだしている。理科大は海外との交流が頻繁に行われてこなかったので事務が馴れていないし、規則の整備も行われてきていない。馴れていないことに事務方は消極的だし融通が利かなくなる。こういうことは大学の経験値がものを言う。
午後大学で科研の相談。今年は少し違うテーマで出してみようかと天内君と話す。
その後コンペ作業。保育園のコンペなのでだいぶ前に読んだ皮膚論の本をさらっと再読。著者は幼少期のスキンシップは精神の安定した子を作る重要な因子だと主張する。経験値でしかないが同感である。さてそうなると子供の施設とはどうあるべきか?児童養護施設や幼稚園より、さらに小さな子供のいる場所。やはりもっともっと皮膚感覚が重要なのではなかろうか?

Hugo 先生の本

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by 卓 坂牛

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アルゼンチン、ブラジルのスケジュールがほぼフィックス。ビエンナーレの連続レクチャは24日夕方。「αスペース」の話をする予定。その後夜パレルモ大学でスタジオのジュリー、25日はブエノスアイレス大学で院生に「設計プロセス」について話す。26日はベルグラード大学でレクチャー「自作について」。そして27日は夕方パレルモ大学でレクチャ―これは日本の大学のスタジオについてお話しする。更にブラジルに行ってサンパウロ大学で「自作について」お話しする。ここではHUGO SEGAWA教授がご案内してくれる予定。そこでブラジル建築の勉強をしているのだが、いくつか本をピックアップしていたらこのHUGO先生がお書きになった本を発見‘Architecture of Brazil`。アマゾンで頼むと時間がかかりそうなので、Kindleで試読版をダウンロードした。さてざくっと目を通そう。

食べられるランドスケープ

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by 卓 坂牛

ランドスケープのNさんとコンペの打ち合わせをした。数案見せてこちらがいいなあと思っていたものがランドスケープ的には全然受けず、これで大丈夫かなあと心配していた案がランドスケープ的には一押しだった。不思議なものでそういう意見を聞くといいと思っていたものが急に色褪せてくる。
Nさんと話していると世界中の斬新なランドスケープデザインの話しが聞けて楽しい。中国北京のとある大学ではキャンパスに田んぼが作られその畦道がデザインされて世界的な賞を受賞したそうだ。最近は食べられるランドスケープがCO2削減につながると言う観点から推奨されているとのこと。その気持ちは良く分かる。僕はマンション住まいだがベランダに8本ほど木が植わっている。これが食べられるものならいいとよく思う。

動物の縞模様

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by 卓 坂牛

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理科大では毎年夏に3日間の特別セミナーを2コース開設する。単位付きでどの学部からも参加できる。そのセミナーの実行委員をしており今日はその初日。全体のテーマは「夢見て行い、考えて祈る―未踏分野に挑む医理系工連携―」で本日は3名の講演。最初は学長が光触媒の医療への応用。二人目は医療コンサルタントの方による先端医療の工学技術。3人目は私が座長を務め大阪大学教授の近藤滋さんによる動物の縞模様の話。これは全体テーマとは直接関係しそうもないのだが、僕にとってはとても興味深い。シマウマの縞などの縞模様は一体どういう原理でできるのかを数学的に解明しようと言う研究なのである。そうするとなんと動物の殆どの模様は縞か網か斑点でありその裏にあるアルゴリズムは一つだと言う話。二つの色を単純に黒と白とするなら、黒白は近傍では食い合いを行いあるところで平衡状態なる。ところが少し遠いところでは白は黒の増加を助ける。たったこれだけのルールの変数が若干変わるだけで縞が斑点になるのである。
なんと驚きではそのアルゴリズムで建築をデザインしたらどうなるだろうか?それは自然の再現のようで人々に暖かく迎えられるのだろうか?そもそも自然だから人が好むといえるのだろうか??????

野田のセミナーハウスでフーコーを読む

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by 卓 坂牛

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午後神楽坂で学生と打ち合わせしてから明日の学内セミナーのため野田キャンパスに向かう。途中雨脚が早くなって野田についたらザーザー降りである。今日は野田キャンパスのセミナーハウスに宿泊する予定なのだがこれが正門から一番遠いところにある。がらがらと小さなスーツケースを引きずりながら15分歩いたらズボンもTシャツもびしょびしょである。キャンパスには人っ子一人いなくてゴーストタウンのようで少々怖い。今日は夕飯にありつけないのかと心配したがセミナーハウスについたら弁当が部屋に届いていた。ほっとした。部屋でフーコー佐藤嘉幸訳『ユートピア的身体/ヘテロトピア』水声社(1966)2013を読む。ヘテロトピアはその昔ジャンリュックナンシーの『遠い都市』を解題した時にだいぶ入念に読んだがこれはその新しい訳である。再読すると前回とは違った側面が印象づくそれはユートピア的身体と一緒に読むからであろう。前回よりも権力の問題が鮮明になる。ユートピア的身体では結局人間の身体は権力が刻み込まれていく中で構築されるしかないということであるし、ヘテロトピアとは権力を欺くことで生成すると読めてくる。つまりは人間と言うものが権力に飼いならされる中でその多様性を生き生きと生成させるためにはこの権力構造からの違反しか道はないと読めるのである。極論だが。建築なんていう仕事をしながらその境地に達するのは並大抵のことではない。

理科大近代科学資料館の前に丸い穴が!!

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by 卓 坂牛

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早朝やっと書き上げた昨年のシンポジウムでの発表原稿とその英訳を中国東南大學のHUA教授にメール。シンポジウムの全記録が中国語英語併記で出版される。僕以外のスピーカーはAAスクールやMITの教授陣であり実に奥の深い発言が多かったので楽しみである。その後アルゼンチンの建築家ロベルト、ブラジルサンパウロ大学のHUGO教授にメール。そろそろ出張のスケジュールをフィックスしたい。
12時から翻訳読み合わせ。今日は英語漬け。5時までびっしり5時間呉先生と顔を突き合わせて英語日本語英語日本語を繰り返す。同じことに頭を持続的に使っていると明らかに脳の回転数に波があることを実感する。調子のいい時間帯は読み上げる速度を上げても理解能力は全く減衰しないが、調子の悪い時間帯は理解能力は半減する。常に回転数が上がる脳を持っているといろいろなことが楽なのだろうなあと改めて思う。僕の脳は家庭用セダン程度である。英語漬けから解放されて理科大神楽坂校舎を後にして自転車で外濠通りに出る手前でとある工事現場に目が留まる。理科大近代科学資料館の前に不思議なガラスの柵が工事中。なんとアプローチのど真ん中に地下に降りる階段が作られている。覗き込むとひどく急な階段。何ができるか知らないが苦肉の策といいう感じである。だいじょうぶかなあ???

戦後の大きな転換点に今僕らはいる

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by 卓 坂牛

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松崎之貞『吉本隆明はどうつくられたか 』徳間書店2013、を読む。吉本にとっての戦争の重さを痛感する。そして戦前から戦後にかけての多くの知識人の身勝手とも思える思想的転向の無責任さに思いが至る。一方白井聡『永続敗戦論――戦後日本の核心 』太田出版2013を読むと日本は敗戦を終戦とすり替えることの代償として戦後永続的に対米従属状態にあるという著者の指摘に納得する。そしてそのまやかしの終戦が吉本をして怒りの極致に至らしめているのであろうというおぼろげな戦後が見えてくる。しかしこのまやかしの終戦ももはやアメリカにとって日本の戦略的価値が軽減し、中国はもはや日本を凌駕する大国となった時に、この終戦対米従属レジームは有効性を失うのであろう。戦後の大きな転換点に今我々はいる。

稲葉なおと氏の新著にぐっとくる

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by 卓 坂牛

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大学の同級生稲葉なおと氏の新著を拝読した。『匠たちの名旅館』集英社2013である。素敵な装丁の本である。帯の言葉がふるってる「・・・関係者たちの苦闘を達意の文章と叙情的な写真で語りつくす本格ノンフィクション!世界よ、これが日本の宿だ」少々大袈裟にも聞こえるが、その通りである。
登場する建築家は村野藤吾、吉村順三、そして三人目は平田雅哉。おそらく大部分の人が知らないこの大工上がりの設計者の作る者はかなりいい。特に万亭の玄関フロントなどグッとくる。
いい旅館やホテルに行くといつも思うのだが、とても自分にはこんな設計はできないだろうししないだろう。でもその場所に心地よさを感ずる。現代の作曲家がモーツァルトに快感を感じてもそういう作曲をしない(できない)のと同様である。

文系の先生が書いた建築の本

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by 卓 坂牛

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後期の輪読本リストを作るために今年の自分の読書リストを作る。今年の初めに頑張って2月分くらいまで作って終わっていたもの。この作業は自分のブログに書き留めた読書備忘録をチェックして作っていく。この作業が結構かかる。午前中はそれに費やし、午後事務所に行って打ち合わせしてから神楽坂の製図室へ。連日ここで学生とコンペのスタディ。夏休みの間、神楽坂の製図室は第二研究室と化している。
帰宅後また輪読本リスと作るために書斎の本を見回す。ついその作業そっちのけで積読(積読)本に目が向いて読み始める。娘に勧められたイスラム建築の本。娘が大学で習っているイスラム文化の先生の書いた本である。深見奈緒子 編 『イスラム建築がおもしろい!』彰国社2010。文系の先生だけど卒業はしっかり理工系の建築である。そう言う人もいるんだ知らなかった。
中身はとてもわかりやすい!!!

印象に残るSD選書は?

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by 卓 坂牛

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鹿島出版会から『SD選書の本』という小冊子が送られてきた。中身は半分くらいが建築関係者へのアンケートであなたの印象に残っているSD選書とその理由と言うもの。アンケートに答えているのは9割建築家で全部で34人。僕もその一人なのでこの冊子が送られてきたのだろうが、この答えを読むと、多くの人から印象に残ると言われている本が3つくらいあることが分かった。一つは槙さんの『見えがくれする都市』これは僕が挙げた本でもあり、ああ皆そう思っているんだと言うことが分かった。僕以外には小泉雅夫さん、陣内さん、鈴木了二さんなどが挙げている。二つ目は篠原一男の『住宅論』まあそうかなというところだ。青木淳さん、今村創平さん、貝島さん、小島一浩さん、竹山聖さん、中山英之さんなどが挙げている。そして3つ目はヴェンチューリの『建築の多様性と対立性』である。これは五十嵐さん、藤原徹平さん、山梨さんなどがあげている。
皆が印象深い本は僕にとっても同様である。たまさか僕はこのアンケートで一つ挙げるものと思い『見えがくれする都市』をあげたけれど3つ挙げろと言われたらこうなっていたのではなかろうか?