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Aug 2014

ウィーンの建築家Delugan-Meisslのフィルムミュージアム

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by 卓 坂牛

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今日は土曜日。仕事はせず、一日美術館巡り。午前中はアムステルダムスクールと呼ばれるミケル・デ・クラークのヘットシップ(ソーシャルハウジング)を見に行く。ここは一応ミュージアムとなっており、入場料7.5ユーロで一部部屋を見せてくれる。午後は国立博物館でレンブラントを堪能。「夜警」がこんなに大きな作品とは知らなかった、英語名がNight Watchということも初めて知る。次に市立近代美術館に行く。世界中近代美術館においてあるものは大体同じである。まさにモダニズムは世界を平らにしたということか?夕方フェリーで北(Amsterdam Nord)にわたりフィルムミュージアムを覗く。Delugan-Meisslというオーストリアの建築家の作である。岩石を割ったようなカンチレバーの大きな形態。南から見た時の北の目印になっていいのだろうか?オランダの建築は南の建築に比べて歴史も浅いからかもしれないが、合理的にそして軽く、悪く言えばちゃちにできている。そこがいいと言えばいいし、つまらないと言えばつまらない。

パトリシア・コパンチンスカヤあっぱれ

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by 卓 坂牛

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コンセルトヘボウで聞ければいいやくらいに思っていたけれど、いやなんと今日のヴァイオリニスト、パトリシア・コパンチンスカヤあっぱれの演奏だった。モーツァルトのヴァイオリンコンチェルトの5番はモーツァルトのヴァイオリン曲の中でも最も有名な曲。ヴァイオリンを弾いたことのある人なら知っていると思うがこれはヴァイオリンソロがややゆっくしとしたスピードで始まり、一区切りついてから一気に快活に主旋律が始まるのだが、その出足が嘘だろうと思うくらい、のったりと始まった。音程はぎりぎりまで落として、ヴィブラートをかけずに、そしてボーイングもわざと滑らしてかすれ気味の音にしている。一体なんだ?と思わせておいて、主旋律で一気に音程を合わせ、細かいヴィブラートをかけてきた。こういう表情のコントラストが随所に付けられ、ついでにアクションも楽しげだった。こんな演奏家が旧ソ連から登場しているというのには驚いた。最後はスタンディングオベーション。思わず口をつく「ブラボー」。

自転車レーンの整備

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by 卓 坂牛

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今日は朝からレンタル自転車で走る。宿の主人には自転車に乗るときは気を付けろと言われた。何を?と聞くと皆飛ばすので急に止まると追突されるしいきなり方向を変えるのも事故のもとだという。ビビりながら走り始めたがバルセロナと異なり、アムステルダムは自転車レーンがかなりしっかり整備されており、ある程度コツをつかむとうまく流れに乗れる。ただ周囲をよく見ないとだめでこれはサッカーの練習によいと感じた。IPHONE片手に次から次とMIMOAに載っている建物を見て回った。このアプリはよくできていて、ある建物から近い順に建物がリストアップされそのうちのどれかを選んでrouteを押すと道順が出てくる。その道で自転車レーンの無い道は無かった。そのくらい整備されている。
数字で見ると、面積1平方キロ当たりの自転車レーンの長さは、東京、0.03㎞、ニューヨークはその20倍で0.61㎢、バルセロナは東京の50倍余りで1.6㎞、アムステルダムは東京の約120倍で3.6㎞である。

アムステルダムの自転車密度はかなり高い

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by 卓 坂牛

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昼の飛行機でアムステルダムへ移動。ここに来るのは15年ぶりくらいである。スキポールから市内までは電車で15分。バルセロナ同様飛行場からの距離がとても近い。そのわりには飛行機の騒音が小さいのはルートのせいだろうか?
バルセロナも人が多いと持ったが、アムステルダムはそれよりはるかに人口密度が高い。さらに自転車密度も滅茶苦茶高い。今日早速自転車に乗ろうと思ったが、雨が降って来たので、トラムとバスに乗ってみる。これが結構高い。バスでもトラムでも一回乗ると2ユーロちょっと。300円以上する。これはなるべく自転車に乗れと言う行政の意識的な値段設定なのだろうか?町が小さいので端から端まで1時間である。新たにできた集合住宅を見て回る。よくできている。前に来た時も思ったが、彼らはリビングルームはパブリックスペースと思っているのかまる見えである。
夕食はホテル近くのイタリアンの惣菜やで買ってホテルで食べる。アムスのホテルはキッチン、ダイニング付きのプチホテル。食後に中庭で一服。至福の時間である。

エンリクと会う

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by 卓 坂牛

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朝10時にエンリクの事務所に自転車で行く。かなり北の方なので途中から傾斜が厳しい。エンリク曰く、バルセロナは北に向かってダイアゴナルまでが2%勾配。そこから5%勾配、そして山が近くなるとどんどん勾配が大きくなる。だからレンタサイクルも北のステーションの自転車多くかりられて南のスポットに返され、慢性的に北のステーションには自転車が不足する。
エンリクと年末行うワークショップの打ち合わせをする。彼から思いがけない提案があり驚く。これはまだここにも書けないのでゆっくりお互い考えることにする。午後ストリートカフェでランチをとってから電車でサンクガットの彼の作品を見てから、自転車で海沿いの彼のハイライズを見に行く。これはコンペで勝った建物で素晴らしい。この建物が坪50万くらいでできているのには驚く。自転車に今日は何時間乗っただろうか。昨日と異なり、エンリクの後をついて走るとどうやって街中を走るのかがよくわかった。
夜は海沿いの古いバールで一緒に食事をし海岸を歩きながら砂浜でモヒートを飲む。彼のカタランの話には少々驚いた。彼らは本気でカタランの独立を望んでいる。彼らのカタランに対するアイデンティティ意識は強く、小学校では国語としてスペイン語ではなくカタランを教えているのだそうだ。町中の家にはためく国旗はスペイン国旗ではなく、カタランの国旗なのである。

バルセロナ自転車事情

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by 卓 坂牛

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●bicingと呼ばれる地元の人だけ乗れるレンタルバイク
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●私はオランダ型自転車を借りて乗り回す。後ろに見えるはカサミラ。外装工事中。
今回の渡欧の目的の一つは自転車によるまちづくりを調べること。自転車先進国のオランダ、デンマークには明後日から行くが、それを比較する意味で、レンタルバイクの量が急激に増えた街バルセロナも見てみることにした。市内にはbicingと呼ばれるカタルーニャ在住の方が乗れる真っ赤なかわいい自転車がある。これの利用には事前の年間契約(要35€ )が必要で、最大2時間までの連続利用が可能。2時間を超えると一時間毎に3€の罰金が課され、複数回2時間以上の利用を重ねるとメンバーシップが剥奪されるらしい。この自転車はスポットが多数あり、乗っている人も多く見かけ便利そうである。とは言えそれとは別のレンタルバイク屋も多数あり、観光客が多く利用している。乗ってみるとバイクレーンがあったりなかったりしてここで乗っていて良いのか悪いのかそのルールが分からなくなる。そこで赤い自転車を探し彼らをお手本に乗っていた。何せバルセロナは日差しが強く脱水症状気味であはあるが、風が爽やかで地下鉄乗るよりはるかに安くて楽だった。駐輪スペースはコの字型の鉄パイプが随所にありそこにチェーンでロックするルールである。一日16€。地下鉄8回乗車ぶんだから高くは無い。これで今日はガウディを見て回った。

ウッツォン連続レクチャー第10回

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by 卓 坂牛

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来週デンマークのオルボー大学で行うレクチャーのポスターが届いた。オルボーはウッツォンが育ったところでウッツォンセンターというウッツォン最後の建物がある。そこで行っている連続レクチャーの10回目に呼ばれて行うものである。う

ミースの壁

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by 卓 坂牛

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●ミースの壁―無垢に見える
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●ミースの壁端部―厚みのある無垢
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●ミースの壁逆の端部―30ミリの貼物
無垢と見せて貼物というのは鈴木さんからお聞きしたことである。
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●ロジャースのハイテクは徹底している
朝九時にバルセロナの建築家で、理科大理工のOBであり、付属82回の先輩でもあるYuichi Suzukiさんの車でカイシャフォーラム、バルセロナパビリオン、ミロ美術館を回っていただき、闘牛場がコンバージョンされてできたショッピングモール(ロジャース)で昼をとる。イベリコ豚の本当に美味しい店で足と背中と両方味試し。美味しかった。午後は丘の上にあるフォスターのテレビ塔を見てバルセロナの街を見下ろす。バルセロナモデルとまで言われる街づくりの規範とすべき点はどこにあるのか教えていただいた。簡単に言えば、フェリペから受け継がれた伝統ではあるものの、セルダによるグリッドはスケールとその活用術が詳細に検討され、それが旧市街とマッチしていたこと。加えてボイガスの3つのプロジェクトが有効で、特に旧市街地の復活が大きかったようだ。これは今日一日でも実感することだが旧市街の観光客の量には圧倒される。そしていたるところで車が遮断され歩行%E

疲弊社会

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by 卓 坂牛

年末に理科大でWSを行うエンリクが参考書としてあげている本の著者がハンビュンチョル(Byung-Chul Han)。ベルリン芸術大学の哲学の教授である。サウォル号が沈没した時に韓国大統領の言葉に反し、殺人者は船長ではなく新自由主義だと語り一躍世界に名を馳せた。彼の本は残念ながら英語も日本語もないのだが、ネットを渉猟すると彼の主著疲弊社会(Fatigue Society)のサマリーが転がっていたので読んでみることにした。
現代社会は病理学のアナロジーで語ることができる。病理学では細菌性の病、ウィルス性の病、そして神経性の病と病は進行し現代にいたる。細菌は抗生物質学が、ウィルスは免疫学が退治した。しかし精神性の病は特効薬がない。それは敵が見えないからである。社会も似ている。ここ100年、社会の敵は侵入者であった。侵入者は退治すれば社会の平穏は保てた、しかし現代は敵が見えない。退治する敵は実は社会に外在するのではなく、社会に内在するのである。ではその敵はどこにどのように内在するのか?
フーコーが言うようにこれまでの近代社会は規律社会であり、そこではしてはいけないことが決まっていた。一方で現代社会は達成社会(achievement society)であり肯定が前提にあり常に生産性を高め何かができることを重要視する社会である。そこでは肩書ではなく個人の人格と能力が重んじられ、それゆえに個の全人格的な熱情が解放される。そしてその解放が個々の精神を疲弊する。そして鬱病などの神経性の病理が蔓延する。
ハンはこう言う「「できることが何も無い」と鬱病患者の不満が生まれ得るのは「できないことは何も無い」肯定性を信じる社会においてのみである」
達成社会は個を孤立させて疲弊し、社会は疲弊する。そこから抜け出る可能性の一つは社会の無意識の中で駆動する生産性を克服し、何かをしない、見ない能力を向上することではないか?とハンは主張する。
このしない見ない能力の一つとして、例えばIPHONEに光る着信、着メールを無視する力などをハンは挙げていた。
疲弊社会というのは無意識に知らぬまに走り、止まるきっかけを感じさせないそういう社会のことであろう。話をWSショップに戻すと、つまり、僕らの周りは走る空間だけではないかという疑いの目を養うところから始まる。走らない、と公言して憚らない、走らないでも奇異の目で見られない。そんな空間はあるのだろうか?無ければ作ろうというのがこのWSの狙いになるということなのだろう。詳しくはエンリクに会って聞いてみよう。

何とかなる

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by 卓 坂牛

いつも長めの海外出張の前はばたばたして本当に行けるのだろうかと焦る。去年の春は入試の書類を前に途方にくれた。しかし、まあ最後は学長会議を終わらした次の日に飛び立った。秋もコンペやなんだでまずいと思っていたが、まあ行けた。今回はコンペ、実施設計などの締め切りが4つあって本当にどうなっちゃうんだろうと気を揉んだが何とかなった。結局なんでもなんとかなるということだろうか?研究室の学生の卒業問題も、毎年今年は留年が出るだろうと思うのだが、いまだかつて途中でやめちゃった学生を除き、卒業、修了するつもりでそうできなかった学生はいない。事務所の図面作成も今回はやばいなと思っても現説に間に合わなかった試しはない。
まあなんでも何とかなると思えば世の中怖いことはだいぶ減る。後はその気を揉む試練の時を台風に耐えるかのごとく耐えればいいだけである。しかし耐えるのは耐えるだけのエネルギーと忍耐力がいるわけで可能なら避けて通りたいのだが、、、今年もまだ数回訪れそうである。