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Aug 2015

いい庭になった

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by 卓 坂牛

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さすがに今日の新幹線は超満員。20分前に並んだのでかろうじて最後の空き席に座れたが廊下は人で埋まっていた。お盆の初日に事務所検査をする方もする方だが、ここしかないのだから仕方ない。建物はいい精度でできている。さすが評判の施工者。ただまだ未済部分があり完全な検査にまで行かない。来週の施主検収にはほぼ終わる見通しがついたのでまあいい。庭は地元の長岡さんにお任せしたのだがいい庭になった。もともと大きな紅葉が二つあったのでそれに連ねて3本ほど追加して紅葉の連なりを作ってくれた。地面には緩やかなアンジュレーションをつけて芝を植えた。背景の隣地の高木が見事である。切らないでくださいね。

ズレ

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by 卓 坂牛

150811%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%97%E9%9B%B2.jpgだいぶ前に読んだ北田暁大の名著『広告の誕生』は広告が「どのような契機で広告として現れるのか」を問うている。一般に広告論は広告の意味内容を問うことが多かったのでこの問いは新鮮だった。
それ以来そうした視点の持ち方に惹かれ、建築に当てはめて考えることができるのではと思うようになった。建築の形態も空間も機能も一度横に置き、建築が建築として現れるのはどういう契機においてかと考えてみるようになった。
北田氏は広告の現れの契機の一つとしてコンテクストのズレを挙げていたが建築にもそれは当てはまるだろう。例えば受容する側の心理的なコンテクストや建築自体の物理的コンテクストがあるズレを生むときその建築は現れてくるということである。そう考えると建築とはもしかすると建築自体よりもそうした形式(コンテクスト)をクリエイトすることなのかもしれないと思ったりもする。
夏に見る秋の雲(いわし雲)にふとズレを感じ『広告(建築)の誕生』を思い起こした。http://ofda.jp/sakaushi/diary/

新たなメディアは可能か?

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by 卓 坂牛

150810jyuria.jpgトマ・ピケティの妻であるジュリア・ガジェの著した『なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか』山本知子+相川千尋訳 徳間書店2015はフランスで出版と同時に10誌以上でとりあげられ、10番組で著者インタビューされた注目の書だそうだ。しかし内容はいたって当たり前のことが書かれている。
世界の新聞は財閥に買収されもはや記事の中立性が担保されづらい状況にある。そして新聞広告収入が激減し、新聞はネットにとって代わられる。そこに新たなニュースメディアができるべきでそれは株式会社と財団の融合したような形をとり単独オウナーの言いなりにならない仕組みが必要だと主張する。
日本のジャーナリズムはフランスなどに比べれば巨大資本に買収されたりはしないものの、広告主と政府の言いなりになりもはやその中立性が瓦解している。そんな時に我々は我々のメディアをもつべきだとつくづく思うのである。そんな時この本は多くのヒントを与えてくれる。

異質なものの共在としてのシェア

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by 卓 坂牛

%E5%86%99%E7%9C%9F-23.JPG編集者の飯尾次郎さん出原日向子さんが最近企画編集した本をいただいた。『「シェア」の思想/または愛と制度と空間の関係』LIXIL出版2015。編集協力している門脇さんの前書きと、巻頭の西沢大良さんのインタビューと橋本健史さんのエッセイと千葉雅也さんのインタビューを読んだ。
門脇さんの前書きは分かりやすく、近代は世界を分業化した時代でそうやってばらばらになったものをポスト近代は縫合する時代なのでシェアという概念が生まれてきたとすると解説している。なるほど、こう言われるとよく分かるが、昨今のいわゆるシェア・ハウスのような人々が何かを共有するという風潮の説明にはなっていない。その昔日建設計で「共有する価値観」というプロジェクトがありそのまとめ役をやらされほとほとまいった。そんなものありゃしない。あったら80年代という時代が成立しない。そしてその後もまあ難しいし必要もない。と思ってきた。先日バルセロナでパブリックネスを議論する冒頭、司会のオルガはパブリックネスとコミューナルは異なると力説していた。もちろんコミューナルは現代には暑苦しいという意味合いである(と僕は理解した)。
コミューナルな意味合いでのシェアには可能性を感じないと千葉雅也は述べている。むしろ異質なものが同じ場所に共立することの意味と可能性を問うべきであると言う。それなら僕も大賛成である。数十年前の問いも共有する価値観ではなく、異質なものの共在という問いにすれば良かったのである。

格差を変える気はないのか?

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by 卓 坂牛

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三浦展『格差固定—下流社会10年後調査から見える実態』光文社2015を読むと上位1割の層が6割の資産を持ち下位5割の層が4%の資産しか持てない状況にまで来ていることに驚く。少し前までは一億総中流だった国が今では格差が最も激しいアメリカ(トップ1割の資産保有は全体の8割)に次ぐ国になっているhttp://www.huffingtonpost.jp/2014/05/03/super-rich_n_5260898.html加えて著者の紹介する統計が伝えるところはいかに金持ちほど選挙に行き自民党に入れて貧困層ほど選挙に行かないかということである。これではますます格差は拡大するばかりではなかろうか?今回の安保法案への反応を見ていると自体は少々変わるかもしれないという期待もあるがさてどうなるだろうか?

アルゼンチンでのWSのテーマは THE EDGE

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by 卓 坂牛

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国連の統計では現在世界に10億人のスラム居住者がいてこれは世界人口の3分の1である。http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/social_development/human_settlements/
もちろん日本では起こっていないことではあるが、建築家として真剣に考えるべき問題と思っている。
リオデジャナネイロでもグアテマラシティでもメキシコシティでももちろんブエノスアイレスでも僕の訪れた中米、南米の国でスラムが見えなかった街はない。一体こんな自然発生的とも言える巨大な貧困地帯に建築家は何をできるのか?そこではおそらくクリアランスなんていう発想では何も改善されず丁寧な繊維の縫合のような作業が求められるのである。そしてこういう経験が実は日本においても既存の都市の繊維を丁寧に繕うこれからの新しい街のデザインをする基礎となる。ゆえにこの経験を学生にさせたいのである。

マスターアーキテクトの仕事

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by 卓 坂牛

150806yashio%E5%86%99%E7%9C%9F-19.jpg埼玉県の八潮市でマスターアーキテクトなる仕事をしている。市長直属の非常勤アドバイザーであり、ある規模以上の開発に対して助言するのが仕事である。今日は4万平米近いマンション開発への提言を求められた。今までは工場や商業施設でマンションは初めてである。こうやって年に1〜2回呼ばれてそうした開発を見ると街がこういう風に地表面を失っていくのだなということを痛感する。暑い日だからなおそう思うのだろうが、こうやって地表面が失われると気温がまた一度上がるのではと不安になる。
マンション開発の図面を見ると、まあ見事に経済原理でできているのに呆然とする。大学の設計製図だったらさあここからデザインしましょうというヴォリュームスタディの段階で設計が終わっている。これに対して提言することはもはや不可能である。こうなる前に提言の機会が与えられなければ意味がないのだろうと思う一方、そうなるとそれはもはや設計行為なのであり設計を受託しないとできないことでもあると感ずる。なんともジレンマである。
そうなると助言できることは地表面を残しましょう。ということくらいであるがそれも地上は平置きの駐車場によってアスファルト化されている。せめて屋上緑化できないものだろうかと提言する。大きな会社が大きな開発をするのだからその程度の環境への貢献をしても良いと思うのだが。帰り際、われわれが少々お手伝いした駅前公園で休みながら、駅前に地表面を残したこのプロジェクトの意義はあると再認識。

全学年合同講評会

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by 卓 坂牛

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理科大二部全学年合同講評会。2年生から4年生までの前期の優秀案をプレゼンしてもらい非常勤、常勤全員で評価する。毎年のことだが今年も一番評価の高かったのは2年生。なぜだろうね?

カトリカ大学のレクチャーシリーズ

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by 卓 坂牛

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9月にアルゼンチンパレルモ大学でワークショップを行った後、サンチアゴに行きカトリカ大学でレクチャーを行うのだがそのポスターが来て驚いた。このポスターはレクチャーシリーズなのだが8月から12月までの講演者が記されているのだが、その数に驚く。隔月10名前後いる。ということは3日ひとり外部講演者がやってきて講演するということである。そんなレクチャーシリーズ聞いたことない。

千葉の現場

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by 卓 坂牛

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千葉の現場はやっと外装が終わり内装が目下進行中。外装はグレーに染められたレッドシダー。4回塗ってかなり染まった。軒天もケラバも同材である。傾斜地のはね出しはRCスラブ。テラスも同様である。