On November 30, 2015
by 卓 坂牛
セバスチャン・サルガドという写真家がいる。ブラジル生まれで、サンパウロ大学で経済学修士をとり、政治的な理由でパリに移り住む。その後写真に目覚め、写真家に転身する。そしてアフリカを撮り続け、ラテンアメリカに戻る。
ブラジルという国がポルトガル人が連れてきたアフリカ人奴隷をオリジンとした国ということもあり、アフリカはとても親しめる国だったようである。しかしそこで見たものはとてつもない貧困だった。消費社会が地球の住民たちをものすごい規模で搾取して、貧困に追いやっている。サルガドは語る。
ポスト消費社会という言葉があるが、資本主義が回っている限り、消費社会は消滅しないし、それが世界に格差を生むことも排除できない。サルガドの写真は強烈にそれを伝えている。
On November 29, 2015
by 卓 坂牛
この本も川尻さんのお勧め。武田砂鉄『紋切り型社会—言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社2015(ドゥマゴ文学賞2015)を日曜の午前中に読み抱腹絶倒。
紋切り型は社会の制度が要求する儀礼なのである。一体それはどこに見られるか?僕らの設計という仕事の中ではあまり発生しない。紋切り型クライアントはあまり現れないし、こちらも本音だからである。よって私の周りにある紋切り型社会は大学である。大学という場所は典型的な制度である。よってその制度が要求する儀礼がいろいろあるそれは教育の場でも起こる。
⚫よく学生の設計に「切実さが足りない 」という人がいる。僕もそう思う時がある。でも学生からすれば「あるわけねえーだろう、建たねえんだからさあ」と反論されそうだ。
建築という学問を机の上で教えることの軽さと、嘘はどうしたって拭えない。でも必要なのである。だから時として紋切り型の言葉が登場して学生をまごつかせる。
大学というのは全国に800以上もあり、そのヒエラルキー(制度)があってそれぞれの大学には制度上の役割がある。
⚫杭偽装問題で新聞社の質問を受けた某有名大教授がジャーナリズムは「すぐ規則を厳しくすればいいというが、やるべきことをきちんとやるシステム作りが重要だ 」と新聞を読んでいれば子供でも言いそうなことを言って誇らしげである。誰でもが思っていることを代表して言うのがその大学の教授の制度上の役目ではあるが、そういう紋切り型を演じることに人生の貴重な時間をかけていることに後悔はないのかと驚いてしまう。
これは大学じゃなくてもおよそ制度的な組織ではどこでも起こりそうな話だが、
⚫「若い人に頑張って欲しい 」自分はもう隠居だといいながら常に先頭に立って不要なことを叫ぶ年寄り。本当に若い人のことを心配しているのか自分の存在価値を示したいのか不明。若い人を心配するのならやめたほうがいい。心配しなくたってあなたくらいにはなる。世の中なんてそんなもんだし、それほど捨てたものではない。
さてこういう紋切り型なんていう本を読んでおよそ人を批判することしか思いつかないこの時点で自分がそういう紋切り型にどっぷり浸かっていることに気づかないといけない。学生にうだうだ文句言う前に自分の足もとをよく見よ。お前が一番紋切り型で制度的である。
私の敬愛する二人の会社社長がいる。敬愛する理由は紋切り型ではないところ。彼らに共通するのは、その会社の社長でいるのがいやでいやでしょうがなく、社長というポジションには何の未練もない。それは結果的に素直で謙虚な人物像として現れるし、制度に絡め取られず、紋切り型から脱出できている。。一方で自分はこの会社の社長であることに自負とリーダーシップを感じてグイグイ行く人も知っている。こういう会社はしばらくいいかもしれないが、そのまま行けば最悪である。紋切り型になっていることに気づくすべもなく地獄に向かってまっしぐらである。
さあ明日からまず自分を見つめなおさないと。
On November 28, 2015
by 卓 坂牛
朝から事務所で引越しの箱詰め、腰が痛いので慎重に慎重に、学生の応援を頼んだが空振り。3時頃までに新建築以外の箱詰めを終えたところで箱がなくなったので帰宅。
バートレットの建築学科のディレクターである、スケボー好きで有名なイアン・ボーデンが編者の一人である、『ジェンダー空間建築−学際序説』(Gender Space Architecture An interdisciplinary introduction)Routledge 2000 が届いてぺらぺら眺める。抄録が多いのでまあ、ジェンダーについて、誰がどんなテーマを持っているかぐらいのことしかわからないが、少なくともこんな本があるということが日本の遅れを露わにする。もしかすると社会学者が少し手をつけていたりするのだろうか?
On November 27, 2015
by 卓 坂牛
ゼミの1時間設計をしている間に読む本を忘れた。仕方なく、原稿の素案を黒板を使って一人ブレスト。初めてやってみたが結構考えがまとまる。大きな机に大きな紙を敷いて考えるのと同じ。大局的に物が見れてこれは結構いける。これからも活用している。
On November 26, 2015
by 卓 坂牛
『ヤンキー文化人類学—突破者たちの「アート」と表現』フィルムアート社2014を読みながら、これはある階級(勢力分配の不平等によって形成された上下関係)意識のプライドの表れなのか?社会階層(社会資本への接近可能性や獲得機会の大小によって序列付けられた場所)が半ば必然的に産みだした表現形式なのか?あるいはその両方なのかと考えてしまう。その昔の暴走族のようなものは確かに階級意識の表れであろうし、最近のデコトラなどはむしろ後者のように思える。
建築にもそういう階級意識の表れと社会階層の表現という二つがあるのだろうと思えてくる。前者はどれほどまで階級意識の表れとなっていたかは別としてプロレタリア建築理論などというものはあったようである。後者はというとさてデコトラならぬデコ建築があるのかということだが、、、それに近い傾向として昨今のセルフビルド的趣味的建築というものがあるように思う。それはとある社会階層に見られる、、、どこにでもあるというものではないが、、、特殊解ではなく存在しているような気がしている。
On November 25, 2015
by 卓 坂牛
OFDAは12月1日に荒木町から四谷坂町に引っ越し。宮晶子さんとシェア。もともと倉庫のように使われていたとある住宅の1階。現在内部のお化粧中。もともと倉庫なので床壁天井コンクリート。床にクリアの防塵塗装を施し、天井はシルバーペイント。あとはそのまま。家具は目下設計中。と言ってもしなのランバーコアを並べるだけなので板取中というのが正しい。棚はエレクタとしなランバーが混在。アンビエント照明はこの銀の天井にアッパーライト。手元はゼットライト。
On November 24, 2015
by 卓 坂牛
理科大の恒例になってきた年末の国際ワークショップ。今年は第4回目でオートリア、ウィーン工科大学の客員教授で建築家のエルンストベネダーが来日する。エルンストとはかつて机を並べて勉強した仲である。数十年ぶりで会えるのも嬉しいし、二人で考えたワークショップ課題を理科大の学生と考えるのも興味津々である。佐河くんの作ってくれた素敵なポスターも出来た。意図されない都市空間を木造の装置で繋ぎ合わせようと言う実に深いテーマである。学生達の知性の戦いを期待したい。
On November 23, 2015
by 卓 坂牛
研究室でとある劇団の練習場のリノヴェーションのお手伝いをしている。彼らの関係する芝居があるということで見せてもらった。草月ホールでの劇団番町ボーイズ☆第3回本公演 舞台『HOME ~魔女とブリキの勇者たち~』の千秋楽。演劇はあまり見たことがないので未知の世界だし、周りを見ると客層がほとんど10代の女性のようで果たして私の理解の範囲にあるのだろうかと疑心暗鬼だった。少々説明的な部分が長いのと、絶叫が多いのは若い人向けなのだろうと差し引き、そこそこ楽しませていただいた。清水翔太のHOMEという曲の歌詞を演劇に仕上げた作品で主演は清水翔太役をえんじた松本大志という方。
一番びっくりしたのはこの公演のチケットの値段SS席12000円、S席8000円、A席6000円である。10代の女性相手にこの値段が取れるというのはなんともびっくりでした。
On November 22, 2015
by 卓 坂牛
午後から伊藤事務所の高塚さんの結婚パーティー。OFDAに来て2年半。今年は担当プロジェクトがSDレビューにも入選して喜ばしいことが続きます。今後とも頑張ってください。パーティー会場のそばにあった眼鏡屋のファサードがメガネで出来ていて驚き。
今日11月22日は私たちの結婚記念日でもあり27年くらいたちました。二人ともとりあえずまだ生きていて良かったです。
On November 21, 2015
by 卓 坂牛
バンコクからの夜行便で成田に6時頃着くのだが、3時間の時差があり、向こう時間で乗ると寝られない。成田についたら結局2時間くらいの睡眠。帰宅して、シャワー浴びて少し寝てから原稿を書いて、ジム行って新しい腰の運動して、神楽坂で理科大の文化祭へ。建築有志の展示を見て投票などする