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Nov 2015

ジェンダーフリーな住まい

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by 卓 坂牛

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石井恵子『ジェンダーフリーな住まいを創る』文芸社2012。日本の女性建築家(学者ではなく)が直球でジェンダーフリーと建築について語ったほとんど唯一の本ではないか?授業で女性の地位向上とともに女性の居場所が確保されてきたと教えているが、その居場所って?主婦室だったりする。主婦が女性だっていう性的役割分業から抜け出ていないと反省。
著者のジェンダーフリーな住まいというのは使い勝手の問題だけではなく、その建物の所有形態、その建物の施工そしてそれが作り上げる町、都市をふくめておりその射程は広い。しかしその通りである。
これを読んで二つのことを思いつく。一つは建築家としてはクライアントの意識と同調せねばならぬ場面もあり、ぜひこういう思想を持った人に仕事を頼まれたいということ。もう一つは著者が主張するようにジェンダーフリーの世界では女性が男性に負けず働き、その能力を十二分に発揮できるようにならないといけない。そのためには女性自身の意識が高くなければならないし、そうした女性を十分にサポートする社会も必要であるということ。

最も使いやすい劇場は廃墟

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by 卓 坂牛

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とあるビルの3階をとある劇団の練習場にリノベしたいということで五反田にやってきた。50平米の小さな空間である。一体どんな劇をするのだろうか?先ずは公演を見せていただき考えるか?中旬に草月ホールで公演があるそうで招待してもらうことにした。
先日演出家の多木さんが言っていたけれど最も使いやすい劇場は廃墟だと言っていたけれど、すでに建物は半分廃墟。もっと徹底して廃墟にするか。

芥川賞

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by 卓 坂牛

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芥川賞を取らなかった村上春樹がたかだか文藝春秋社の賞でしょうと相手にしていなかったが、受賞歴を見るとさすがに日本の文芸の賞の最高峰だという気もする。つまりはこの賞を取った人のその後がすごいという意味なのだが(鵜飼哲夫『芥川賞の謎をとくー全選評完全読破』文春新書2015)。
太宰治がこの賞を欲しくて、欲しくてたまらなかったが取れずに、しかも川端康成の落選評に激怒して反論を『文芸通信』に書きそこに「大悪党だと思った。刺す。とも思った」とまで書いたのだから驚きである。そうまでして賞に執着するのは天才とまで言われた太宰の能力への自信からなのか、この賞をとればその後の収入が約束されるからなのか???