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by 卓 坂牛
ウィーン工科大学のアナは東京の歩行者空間改善を修士設計にすると言ってやってきた。最初の2ヶ月は東京を歩き回りその場所を探した。山手線の内側をくまなく歩き決めたサイトはキャットストリートだった。ここには潜在的に歩行者が多くスケールもいいが人の居場所がないというのが彼女の分析だった。そこで彼女は建物や土地をえぐりとったり切り開いたりしながら大胆に人の佇む場所を作っていた。そんな手法を彷彿とさせるのが下吹越さん設計のキャットビル(2006)である。3方に道路がある背中のない敷地にコアを内部に押し込みながら様々な軸線で建物をえぐりとっている。その結果グラウンドレベルでは人を呼び込み佇む場所が生まれている。場所が建築を作っていると感じる建物である。
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by 卓 坂牛
院生の多い私立大学はどこもそうかもしれないが(といってもそんなに多くはないと思う、早稲田、慶応は大変だろう)教員は修論の副査を相当程度引き受けなければならない。自分の専門外の論文も回って来ざるを得ない。特に構造の論文はものによってはかなりハードル高い。しかし副査の役目は論文としての形式と量を伴っているか、目的がしっかりしていてそれに対する結論が導かれているかを見極めることだと思う。それにしても多いなあ。
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by 卓 坂牛
信州大学にいた頃、長野、松本を電車で往復することが多く車窓の眺めを楽しんでいた。ある時そこに金色に輝く大きな建物が現れたので驚いた。北川原温の稲荷山養護学校だった。作品選奨の審査で拝見し、稲穂のイメージと聞きなるほどと思った。北川原さんの建物にはいつもまず驚きがある。メトロサを最初に見た時もこの開口のない2枚の壁の色と肌理に唖然とした,1989年竣工のSOHOで未だに入居はウエィティングみたいである。
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by 卓 坂牛
昨日読んでいた南後さんの本のタイトル『ひとり空間の都市論』はきっと出版社の人がつけたんだろうなと思った。というのもこのタイトルが社会記号化された「おひとりさま」という言葉を想起させるからである。社会記号とは「ひとびとの欲望の暗黙知」を言語化したものであり、ある時期社会に広く流布する言葉である(嶋浩一郎、松井剛『欲望する「ことば」ー「社会記号」とマーケティング』集英社新書2017)。社会は欲望を表す言葉として社会記号を必要とし、ひとたびある言葉が社会記号化されるとその言葉を実証するような事例をジャーナリズムは追いかけそれに刺激されて一般の人々もそれを追いかけるのである。だから本のタイトルも社会記号をちょっとお借りして購買意欲を掻き立てようとするわけである。
社会記号は4つに分類されている。1)ラベリング、2)行為のモーチベーション、3)スティグマ、4)カテゴライズである。「おひとりさま」はカテゴライズだろうか?こうした社会記号を建築も大いに利用している。震災以来「みんな」とか「絆」が社会記号化されると「みんなの家」が登場し、「シェアリング」「⚪︎⚪︎2.0」「インスタ映え」なども続々と建築名あるいは言説に流用されている。人々のニーズがないところに社会記号は生まれないのだから建築がそれに乗るのは間違いではないが薄命の社会記号も多々あるから時間を読んで使わないと無責任なことになる。
と今日読んだ『欲望する「ことば」ー社会記号とマーケティング』集英社新書2017
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by 卓 坂牛
生まれたのは練馬区小竹町の団地。近所にあった武蔵野音大付属の幼稚園、開進第四小学校に通った。小さい頃の10年間はこの辺りの原っぱが遊び場。小さな切り妻の所謂お家が密集していた。友だちの家もみなそんなで、だいたい平家だった。そんなエリアに東京アパートメントもあり其の頃の小さな家が嵐で吹き飛び積み重なったかのようである。
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『ひとり空間の都市論』 ちくま新書2018の著者 南後由和は震災以降、「みんな」「つながり」「コミュニティ」の重要性を説く議論が溢れているが、そうした言葉を安易に口にする一歩手前で都市と「ひとり」の分かちがたい関係について考え直してみたいと思ったと言う。それは「みんな」が叫ばれても都市には「ひとり」へのニーズも高いからである。コワーキングスペースの設計をしていると電話ボックスのようなお一人様スペースが必要と言われる。商業施設にはお一人様の隔壁付きの食べ物屋が増えている。かくのごとく都市の魅力は精神的に「他者と距離」をとり「匿名性」を維持しながら「自由」を得ることに魅力があるからである。だからなんでもかんでも「みんな」のためのものであるわけではなく「ひとり」を守ることも必要なのである。どちらかに振れすぎず、そのいいバランスにしか建築も都市もありえない。
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クライアントは寺。寺には総代会という組織運営の意思決定機関がありそこで我々の案は吟味される。様々な意見がでてそれを整理して送っていただき少しずつ変更し、骨格はできてきた。1辺は下屋がついていてトイレなどが入る。入口もこの両側にある。大きな箱は総代会などが行われる。半分に割って法事にも使う。その箱の2辺は長方形の壁、一辺は列柱状の壁で室内側は収納。この面は新しく出来る山道を受けるファサードである。というあたりまでは室内の部屋配置も含めてほぼ決まってきた、さてこれからである。
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by 卓 坂牛
さあ昼を食べて出かけようと思い広間に来たら紙の山。作品選び中とのこと。一つの展覧会に向けて2ヶ月書き続ける。数百枚書いて一枚を選ぶのは建築も同じ。
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by 卓 坂牛
神田須田町に化粧品の会社ハーバーの本社研究所がある設計は小堀哲夫さん(2011)。200平米ちょっとの敷地に9階建ての細いプロポーションなので異彩を放つ。オフィスビルの外装は、カーテンウォールかぽつ窓か連窓しかなく、連窓になると、窓と壁のプロポーション、壁の材料を決めるしかやることはない。プロポーションは窓比率が小さいほど締まって見える。この建物は1対2くらいだろうか?横連窓の元祖日建ではおそらく新宿グリーンタワーの窓が最も細い。小堀さんのこのデザインはそこまで追い込んではなく自然に見える。壁の素材と色が変わっていて聞くと、湿式外断熱だそうでモルタルのような柔らかさがある。ロサンゼルスあたりにありそうな色と肌理である。日本ではとても新鮮である。
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by 卓 坂牛
研究室で進めている富士吉田のコワーキングスペースの打ち合わせ。だいたいまとまってきた。卒制が終わった4年生もジョイン。
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