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Dec 2019

今年を振り返る 読書編

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by 卓 坂牛

今年を振り返る 読書編

今年は本当に忙しくて読書量が例年の6割くらいであった。とほほ

その中で一番面白かったのは信原幸宏『情動の哲学入門』である。人間は事象に体が反応してそれを価値として受け取るというプロセスの説明が的確だと思った。体の本として伊藤亜紗の『記憶する体』は体の不自由な人にインタビューした興味深いレポートである。ファッション関係では堀畑裕之の『言葉の服』は哲学を学んだファッションデザイナーの言葉で創作論として示唆するところが大きい。また『ファッションと哲学』はアンソロジーだが様々な注目すべき言説が転がっている。食の本では三浦哲哉の『食べたくなる本』が面白い。これは食の本をレポートした本でその中にのっていた有元葉子の『ためない暮らし』の教えに沿って行きている。アート関係では筧菜々子の『ジャクソンポロック研究—その作品における形象と装飾性』の分析が秀逸。ポロックの装飾性という以外な結論も面白い。レフ・マノヴィッチの『インスタグラムと現代視覚文化』の調査分析も説得力がある。社会の話では山岸俊男『安心社会から信頼社会へ−日本型システムの行方』は常日頃感じていたことだった。そして最後にテレビドラマにもなった朱野帰子『わたし定時で帰ります』は現代社会が本当に変わりつつあるのだなということを実感する本だった。来年はもう少しじっくりと読書する時間を作りたい。

還暦

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by 卓 坂牛

一昨日の忘年会で柳澤に坂牛さんおめでとうと言われた。家ができたから?と思ったら還暦と言われ、そうかそう言えばそうだった。今年一年誰からも言われなかったので驚いた。

60年を振り返り思うのは親のこと。教師しているのは父親が教え子と自宅で飲んでいるのを見て育ったから。反体制的なのはマルキストの血。建築と言っても表現にこだわるのは母に導かれて音楽をしていたから。まあだいたいこれで僕の8割は説明できる。人間なんて割と単純だし、60年なんてあっという間である。

今年を振り返る 建築編

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by 卓 坂牛

今年を振り返る 建築編

去年の夏からJIAマガジンの編集長になり表紙を「建築が生まれる時」と題してプロジェクトを導いたドローイング、模型を掲載させていただいた。隈研吾、大谷弘明、永山祐子、ヨコミゾマコト、千葉学、田根剛、比嘉武彦、RCR、末光弘和、豊田啓介、小堀哲夫、山梨智彦、能作文徳、藤村龍至、門脇耕三、ADVVT、日建設計、山下設計、久米設計(敬称略)にご協力いただいた。最後の3つの組織事務所にはオリンピック施設の設計についてインタビューさせていただいたが内容確認のためにゆうに500通くらいのメールをやり取りした。

建築学会の建築理論・建築意匠小委員会の主査を去年から行い、建築論のキーワード集を作るべく研究会シンポジウムを行っている。今年は2月に法政大で「建築の社会性」をテーマに、妹島さん、坂本さん、ヨコミゾさん、青井さんを招いて議論。6月に京大で「自然」をテーマに入江さんを招いて議論。9月に金沢工大の学会で「建築の自律性と他律性」をテーマに香山さん、北山さん、加藤耕一さんを招いて議論。12月に岐阜にて「日常と聖」をテーマに岡北さん、長島さんを招いて議論。回を重ねるにつれて現代建築の論理の深みを考えさせられる。

夏に南米に行き、モンテビデオ、ブエノスアイレス、サンチアゴでレクチャー。ロベルト、スミルハン、マックスの建築に感銘を受けた。

ミースファンデルローエ財団が企画する建築を志す学生のためのコンペティションの組織づくりをスタートした。ドイツと縁の浅い私だがたまさかゲーテインスティチュートのディレクターが知己で依頼された。そこで日本の建築学科を有する150くらいある大学を40くらいに絞り込みコンペの参加を依頼することとなった。大学の選考にはQSランキングも利用した。

2月に子供の家、4月に運動と風景、5月にFujihimuro、11月に甲府の御堂が竣工した。それぞれ担当者の頑張りで密度の濃い仕上がりになった。運動と風景は2017年にSD賞をいただいた建物で、審査員だった千葉学さんに竣工レビューをしていただき、内臓のような身体感覚があると評された。また阿部勤さんの家を私が訪問、阿部さんが運動と風景を訪問してクロスレビューをさせていただいた。二つの建物に共通点が多々あることに驚いた。また11月には長谷川逸子さんのギャラリーで建築家の自邸を議論するという門脇耕三さんプロデュースのシンポジウムでお話させていただいた。すでに運動と風景には600人くらいの人が来訪した。

来月6日に図渡しをするために150枚以上の図面を仕上げている。ワクワクするようなプロジェクトである現場が楽しみである。

来年3月に本屋に並ぶ本『建築の設計力』(彰国社)の原稿の最終段階となった。来月13日に最終稿を提出するべく正月返上、最後の赤入れ中。3冊目の単著である。これまでの二つの単著『建築の規則』、『建築の条件』はどちらかというと建築鑑賞の道しるべとしての役割が強い。しかし鑑賞と制作は表裏一体でありこれら鑑賞の道具を位置づけながら建築の設計力とは何を学ぶことで向上するのかそのメカニズムを示す本である。

今年もいろいろお世話になりました。マガジンの表紙を飾ってくれた建築家たち、スタッフ、クライアント、施工者、編集者、日本とドイツのゲーテの人たち、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

文来宅

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by 卓 坂牛

昨晩から一泊で、文我が家へ。一緒の夕食楽しいね。

 

忘年会

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by 卓 坂牛

毎年恒例、12月29日渋谷たがみの忘年会。もう何回めだろうか?査図が終わらず一時間遅刻。渋谷はますますわかりづらく近寄り難い場所になってきた。塚本さん、貝島さん、柳澤さん、石田さん、木島さん、宮さん、奥山さん、小川次郎さん、山田さん、ヨコミゾさん、萩原さん、建築の社会性、技術の意味が話題に「建築論の問題群」3月のシンポジウムのテーマは技術。内藤廣さんが面白い話しをしてくれるようでさある、

今年を振り返る 大学編

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by 卓 坂牛

 

今年を振り返る 大学編

3月 修士6人、学部17人巣立つ

4月 院生1人がバルセロナに留学、1人が香港にインターンシップ 前期日本女子大院生に建築論講義

6月 ベレン・モネオを理科大に招き1週間のワークショップ。都市に緑を!

8月 サンチアゴ カトリカ大に理科大生5人を連れてWS。さすがスミルハン、アラベナの母校レベルが高い

9月 博士課程大村と進めている篠原一男研究の黄表紙論文2本目採用。論文の骨格見える

IAESTEを通してセビリアの大学院修了生を2ヶ月研修生として研究室の活動に参加してもらう。日本好きなマリアンは12月に帰国したがまたすぐ来日する予定

10月 院生一人チェコに留学 後期芸大院生に建築論講義 留学生多数なので日英ちゃんぽん

12月 年末恒例 クリスマスOBOGレビュー 今年は現役OBOGまとめて1時間設計も挙行

これからが卒業修了の正念場最後の追い込みを頑張ろう!!

 

 

 

査図2

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by 卓 坂牛

150枚を超える図面の第二回めの査図を10時から行う。皆二日泊まり状態。ご苦労様。構造図は今日初めて見る。担当は金箱事務所の辻君(信州大学時代の教え子)なので間違いないと思っているが土台のアンカーは標準仕様で終わらせないで図示したほうがいい。年明けに記入してもらおう。今回の建物は研修棟はCLT折板屋根の無柱空間。クリニック棟は壁、屋根のベニヤを柱、梁とゾロにする木質空間。センター棟は柱梁を際立たせ柱梁間は面落ちさせ木フィルムの化粧石工ボードで仕上げるテクトニック空間である。全てはほぼ木質空間である。

 

 

今年を振り返る 生活編

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by 卓 坂牛

今年を振り返る、生活編

1月 足首の捻挫が、ひどく朝ジョギング建築視察やめる

2月 血尿、舌のおでき、胃もたれで泌尿器科、耳鼻科、消化器内科に通い始める

4月 神楽坂に引越し。赤坂もいい町だったが住めば都

6月 配偶者が、6畳大の作品を作り国立新美術館に展示。赤坂の狭いマンションでよく書いたもの、あっぱれ

8月 娘がニューヨークから帰国。ただいま

10月 大きな台風が来て崖下の我が家は水没しないかびびったが幸い無事だった

12月 今年から人生新たなスタートと考え掃除、洗濯はもとより、食も作って人を楽しませるよう修行中

今年も遊んでくれた配偶者、娘、友、暖かく迎えてくれたお隣さん、親身なお医者さん、ありがとうございました。来年も宜しくお願いします。

 

 

行くと分かる

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by 卓 坂牛

ボチョンギアの建築は竹林のそばにあった。どこに行ってもそう思うが建築の謎は行って見るとほぼ分かる。エピステーメと気候が7割建築家の個性は3割。

Wind and water cafe

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by 卓 坂牛

ボチョンギア初期の竹のカフェWind and Water Cafeを訪れた。丸い池を囲む竹の屋根下に竹の椅子と机が並ぶ。その昔ラオスに行ったら小学校が建物から椅子、机まで竹でできていたのを思い出す。屋根はバタフライ断面で鎖の雨樋がところどころにある。柱には鉄の補強。全体的に痛みが蓄積されている、ギア氏もそれを気にしている。