午前中ややこしい電話の対応に追われ書類を作る。無理難題を押し付けられるが立場が弱いとノーと言えない。2時のアサマに乗らないと行けないのだがこういう時に限っていろいろと面倒くさいことが起こる。東京駅で駅弁を買って車中食べながらBeatliz Colomina ed.Sexuality and Space Princeton University press1992の中のMark Wigleyの論考‘Untitled : The housing of Gender`を読むウィグリーは言説空間の中のジェンダーの役割 とジェンダー言説の中の空間の役割の関係を辿ると述べ、アルベルティの建築論における家父長制を紹介する。そしてその由来をクセノフォンの言説に求める。そして女性のセクシュアリティがルネサンス建築空間において(初めて)生産されたと述べる。ふむふむやっと見つけた西洋建築の意味論上の(使い勝手上の)ジェンダー論。これはフォーティーのジェンダー論にはなかったもの。彼の議論はあくまで視覚的な形状の男女性だったと記憶する。次にウィグリーが俎上に上げるのはゼンパーなのだがその章に入ったところで長野。急いで市役所へ。市民会館建設検討委員会に遅れて出席。今日は大詰めの議論でテレビが三社くらい入っていた。4時に始まり終ったのは9時である。自転車で大学へ。今日は一段と寒い。零下だろうか?途中でサンドイッチを買って研究室でほおばる。朝の続きの書類を作って事務所にメール。これからマンションに行くと冷蔵庫状態である。帰るのが怖い。
午後東工大のすずかけ台にS先生を訪ねた。僕の修士生をこちらのドクターに受けさせる予定。S先生は中東の建築史を専門としており、今まで何度かこれらの遺跡調査報告書を戴いたことがある。写真が美しく、実測図面がまた素晴らしい。うちの学生もここに来たら実測調査なのだろうと思っていたが、今や実測ではなく写真撮影で図面になるのだという。200万で買ったソフトを使い、撮影データー(市販のデジカメで十分と言う)をコンピューターに入力すると自動的にワイヤフレームの3次元データーに変換されるという。そんな便利なものが世の中にあるのかと思い、気になって事務所に戻ってそのプログラムを検索するとなんと建築だけではなく(当たり前だが)地形だって写真にとれば3次元データーに変換できるものである。驚きである。http://www.kurabo.co.jp/el/3d/kuraves_g2_01.html
今日はもう一つ驚いたことがある。それはグーグルの書籍検索である。これは2004年から行われておりなんとなく知っていたが実際にそれを使ったことはなかった。何故そこにアクセスしたかと言うと友人の専修大学の先生からもらったメールで彼がグーグルの著作権無視の無断スキャンを訴えていると知ったから。そこでこの機能にアクセスして驚いた。自分の気になるコンセプト(言葉)が登場する本を検索できるのである。例えば「消費の空間space of consumption」が本文中に出てくる本を検索すると、ル・フェーベルの『空間の生産』を筆頭に347冊検索される。例えば「女性的建築feminine architecture」を検索するとマルグレイブの『建築理論』を筆頭に81冊出てくる。そしてその本文中のその言葉の登場部分を読むこともできる。もちろん多過ぎではあるからこれらを評価するのはちょっと大変だけれど、それでも本の中身があっという間に検索できるこの機能は驚きである。