EU代表部
駐日欧州連合代表部なんていうものがあるというのを知ったのは去年末。EU日本建築シンポジウムの打ち合わせで初めてやってきた。ドイツ大使館のすぐ脇である。建物の前でゲーテインスティチュートのペーターに会うなり彼がここに来るのは初めてかと聞くから初めてだよというと彼も初めてだという「そんなことあるの?」と聞くと。ゲーテインスティチュートは大使館の付属機関ではないので政治的な問題とは一線を画し、それを我々は誇りにしているという。なるほどそういう目で参加者を見ると大使館の文化参事官が来ている国は、ルーマニア、スェーデン、クロアチア、オーストリア、フィンランド、ポーランド、スペイン(は両方)、アイルランド、ラトビア、ブルガリア、フランス。文化センターからきているのはドイツ(ゲーテインスティチュート)、イタリア(イタリア文化会館)、イギリス(ブリティッシュカウンシル)、チェコ(チェコセンター)、スペンイン(セルバンテスインスティチュート)、ベルギー(フランダースセンター)。全部で16加盟国28国の約半分が集合している。面白いのはフランダースセンター一体これはベルギーを代表するのか??ピーターに聞くとフランダースはカタルーニャとかスコットランドと同じさと言っていた。
さて今日はシンポジウムの3つ4つのテーマを作ろうということでマトリックスを作って説明。すかさずドイツのペーターがもっと具体的な方がいいだろうと意見をいう。もっともである。今日は慶応の小林博人教授を助っ人にお呼びしてこのシンポジウムを一緒に仕切っていただくことにした。帰り際国際化を大学の枠を飛び越えてやろうと約束する。もうそういう時代であろう。
世界基準
スペイン語講座で会話の仕方を教える。日本人は上品で、相手が話し終わるまで待っているけど、スペインでそんなことしていると二人ならいいが、パーティじゃいつまでまたっても話せないという。BBCでも政治的なインタビューなのにインタビューアーがかぶせていくのには驚いた。ところが、最近FoxNewsを聞くともっと過激である。トランプに対する意見を聞く電話インタビュー番組なのだが、インタビューアーがインタビュイーの見識が低いと一刀両断し電話を切るのである。この過激さがトランプを激怒させたのかもしれない。まあしかしジャーナリズムの矜持無くしてこの仕事はできまい。BBC もFox Newsもとにかく最初の数秒聞いて賛成、反対の意思表示の早いこと。これが世界基準。
山田健太の新著
6年間サッカーをいっしょにしていた山田健太君の新著があったので読んでみた。飛ばし読みだけれどとても文章がうまいので驚いた。ジャーナリズム論をやるような人だし、今は専修大学の教授だけれどもとは新聞協会で働いていたくらいだから文章を読んだり書いたり批評したりするのは仕事なのだから上手なのは当然ではあるが。
彼はジャーナリズム論を通して権力批判をするわけだがその理屈をきちんと法的に説明してくれるのでありがたい。僕らが直感的に政府に対して腹立てていることの原理を極めて論理的に教えてくれる人である。この『放送法と権力』田畑書店2016は特に安倍内閣の放送の自由への介入に踏み込みそのどこに違法性があるのかを説明してくれる。日本の放送の不甲斐なさは2016年度の国境なき記者団による世界報道自由度ランキングで72位となった事実からも裏付けられている。それが原因か否かわからないが我が家では極力BBC以外のニュースはつけていない。
それにしてもCNNの記者をDon`t be rudeと言い続け、加えて徹底してツィートするトランプの方法は半分許せず、半分報道の自由への反逆として理解する。結局報道とはその自由を担保されるという大原則の上に真摯で信念にささえられ徹底した努力の上に生み出される貴重なプロダクトでなければならない。にもかかわらずその価値がいろいろな場所で蔑ろにされている?
EUNIC Japan 建築会議
Europe-Japan Symposium Blue Architecture: Beyond Sustainability(ヨーロッパー日本、サスティナビリティを超えた建築:ブルーアーキテクチャシンポジウム)を今年やると決めたのが昨年末である。
EUNIC Japan という組織があるhttp://japan.eunic-online.eu/?q=ja/node/440。Europe Union National Institute for Cultureの略であり、EU諸国の文化を日本に広めるという使命がある。この組織の議長であるスペインのアントニオが僕にこのシンポジウムを持ちかけキュレーションを頼んできた。そして本日参加希望国の大使館の文化参事官が集まって会議があり、僕が趣旨を説明し、やる場所と日程をほぼ決めた。
今日集まった国はスペイン、ポーランド、クロアチア、フィンランド、オーストリア、イギリス、イタリア、ドイツ、ルーマニア、スェーデンである。どこの国も参加の意思表示をした。そして3つのテーブルを作りそれぞれにテーマを決めることにしてそれを僕が考えることになった。さてどうするか?
参加国はさらにバルト3国、チェコなど5〜6カ国は増える予定だそうだ。途中でやめる国がいてもおそらく日本を入れると12カ国くらいになる。これだけの国が集まり建築の議論をするのは未知の領域である。この範囲の国の人間で共通に語れるテーマを三つ作るというのもなかなか骨が折れそうである。でもいい経験だ。文化の多様性を露呈させるいいチャンスである。週末にはEU 日本代表部でオフィシャルミーティングが開かれるhttp://www.euinjapan.jp。
SOLOVIERE
建築やっているとシームレスなものの作りに憧れる。一枚の鉄で建築ができたらなんと楽か。シールしないでいいからその部分ではメンテフリーになる。だから三宅イッセイが一枚の布で服を作るというのは分野が違うがなんとなく共感するし、その技を建築に応用できないものかと思ってしまう。靴でもよくモカシンは一枚革だというが実は側部で縫い合わせている。できる限り一枚革でできた靴はないものかと思っていたらあった。フランスのまだ若い女性デザイナーSOLOVIEREだが一枚革を貫いているところがいい感じである。
https://www.instagram.com/p/BPR9QxzgBOo/?taken-by=soloviere
Transit Oriented Development
都市のサスティナビリティを真剣に感が始めたのはグアテマラの留学生ルイスと修論のための研究をし始めてからである。彼の提案は東京の都市公共交通だった。日本は開国後の早い時期から鉄道敷設を交通政策の中で重視し、鉄道敷設が都市発展をリードしてきた事をルイスは僕に教えてくれた。これはアジアの新興都市と比べれば(おそらく世界の新興都市のほとんどと比べてもそうなのだが、例外はシンガポールや香港だそうだ)明らかで新興都市のほとんどの場所で移動手段のほとんどは自家用車、オートバイに頼ってきた。それによって大気汚染と交通渋滞がとまらない。年末にカトマンズに行ってそのことを痛感した。ルイスがグアテマラシティの中央に鉄道を通してその主要駅を中心とし、駅周囲に住居施設、商業施設、などを作り駅中心の開発を提案しているのは実は今アジアでも注目されているTOD (Transit Oriented Development)開発手法なのだということを知る。可能であればグアテマラシティとほとんど同じ人口のカトマンズにもそうしたLRT(Light Rail Transit)の提案をしたいのだが、本書では人口100万程度の新興都市にそれだけの財力が確保できるか疑わしくまずはBRT(Bus Rapid Transit)だろうと書かれている。そうなのかもしれない。しかしそれと並行して車、オートバイのcaptive userを公共交通機関に引き戻す政策が必要と思われる。最初はガソリンに税金を多くかけることだろうか?