後藤慶二は附属の先輩
一昨日読んでいた山本学治の『日本建築の現況』は1969年に出版された60年代論である。その6年前1963年に神代雄一郎は『近代建築の黎明ー明治大正を建てた人びと』美術選書を著している。この中には16人の建築家がいるが、山本が大正合理主義と命名した4人佐藤功一、岡田信一郎、後藤慶二、藤井厚二の4人を含んでいる。果たしてその表記はいかなるものか?と思って読み始めて驚いた。後藤はなんと高等師範付属小中(その後東京教育大附属、現筑波大附属)卒で我々の先輩なのである。構造に忠実にしかし芸術である建築を目指した後藤の姿はなんとなく後輩として嬉しい。
psある人に言われた。実は後藤慶二と上記岡田信一郎は付属の小学中学と同窓生である。加えて鳩山一郎も同窓で鳩山の自邸鳩山御殿を設計したのが岡田であった。後藤は付属を卒業して旧制四校に進み、岡田、鳩山は一高に進む。この絆が自邸設計につながったのだろう。もちろん岡田、後藤は東大で同級生となる。
山本の視点を批判的に読む
今村さんが訳されたヴィドラーの『20世紀建築の発明:建築史家と読み解かれたモダニズム』はモダニズム建築の本ではなくモダニズムの本であり、モダニズムという思想がどう作られたかを綴った本である。これを読むとバンハムやギーディオンがいかに歴史をうまく作り上げていたかがわかる。その時代40年代、60年代を肯定するストーリーと作り上げている。これを日本で見るなら例えば山本学治の『日本建築の現況ーその敬太60年代の展開』はバンハムの第1機械時代に遅れること10年くらい1969年に出版された60年代論である。これを読むとバンハム同様いかにして日本のモダニズム(あるいは60年代の建築)を肯定しそれがいかに可能になったのかという筋道で書かれているわけである。しかしバンハム史観がすでに偏った見方であるのと同様。山本を批判的に読む視点というものがあるはずである。21世紀から見る時20世紀の中に21世紀がどのように作られてきたという別の見方があるはずなのである。
レイモンドのRCの教会
目黒にアントニー•レイモンドによるRC構造の教会がある。聖アンセルモ目黒教会(1954)打ち放し折板構造の力強い姿である。中に入っていないがcreative commons flicrの写真をお借りするとこんな感じ。折板の壁屋根が素晴らしい。
君たちはどう生きるか
本日の青山ブックセンター六本木の文庫本売れ行きランキング1位は吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)である。吉野のこの本は漫画化されてこちらもベストセラーになっていることを東工大の奥山先生から聞いた。吉野は教育大附属のOBであり確か中高のどこかでこの本を読まされた気がする。漫画の方を買って読んでみたがなんだかよく覚えていない。でも久しぶりに学問とか哲学とか正義とかということを中学生レベルのことばで素直に考えさせられた。いい本である。こういう本がベストセラーになる日本は捨てたもんじゃない。
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