質料性
日本建築家協会はJIA マガジンという月間のブックレットを作っている。その表紙がこの2年間「建築家が撮った一枚」というシリーズだった。その最後の号に依頼を受けた。それ以前の皆様が選んだものを見てみると比較的メタレベルの絵が多い。つまり建築写真というよりは創ることを啓発するような風景などである。僕にそういうものが少なくベタに建築の写真を選ぶこととなった。僕は比較的写真を撮らない人なので建築の写真も少ない。なのでどうしても写真じゃないと残せないという場面のみ写真に撮る。そういう写真の多くは空気感、色、肌理のような建築の質料性を活写したものが多い。ゲーリーのこの写真もそんな空気をよく捉えていると思う。この図書館には10回以上は来た。何度来ても飽きないし好きである。
La Torretta
新青梅街道沿いにLa Torrettaという名前の集住がある。なんで櫓と言う名前が付いているのだろうと思ってよく見ていると、外壁が一層毎に数センチ後退しているのに気づいた。これは意匠ではなく、構造を必要最小限にしているからのようだ。内部はいれこ構造(ウェブサイトから内部写真をお借りしました)で奥行きをだしている。設計は谷尻誠,2012年完成。
定着の方法
ペルーのルイスと「建築の制作」について応答している。彼は建築制作の最初に現れると思われるドローイング発生の前に建築の萌芽があり、それは意味のよくわからない絵のようなものだったり、ストラクチャーのダイアグラムのようなものだったりするのではないか?そしてそれは表意文字のようなもの、あるいはその表意文字が崩れた日本語の仮名のようなものかもしれないと想像をたくましくする。
大澤真幸が『考えるということー知的創造の方法』河出文庫2017で言っている。何か新しいアイデアが生まれそうな時は額の前10センチくらいにそれが浮いているのだが、それを放っておくとどこかに行くが、すぐさま言葉にすると捕まえ損ね思っていたものとは違うものを手にしてしまうことがあるので上手に捕まえなければいけないという。
上でルイスが言っているのはまさにこの現れたアイデアを定着化する技術の話であるが、そもそも建築の制作は何時始まるのか?クライアントからこういうものが欲しいと言われて始まるわけではない。常日頃考えている抽象的な「理想とする建築」にクライアントの具体的なリクエストが与えられる。そこで理想が具体の条件に沿って形象化する。そのプロセスは複雑でインプットすればすぐさまアウトプットされるわけではない。大澤の人文的アイデア同様それはあるとき額の前10センチに浮いてくるのでそれを上手に捕獲しなければならない。それを放っておけば逃げていくし、焦って捕まえると違うものを手にしてしまう。それゆえその定着の技術が議論となるわけである。
理科大二部全学合同講評会
理科大二部全学合同講評会。2年生の課題から4年の卒制までの優秀作品を一度に見ます。今年もたくさんの先生が来てくれました。(敬称略 )鉢屋、帽田、浅見、高橋、渡瀬、白子、広谷、横山、山本、塩田、今年一年ありがとうございました。
最優秀作品は 3年の斉藤君、優秀作品は2年の小川君、3年の仙福君おめでとう。
2年 金町マチビル 小川
山本
3年 今発信するための建築 斉藤
3年 Rethink elements 仙福
4年 卒制 中村
横山
吉田
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