朽ちた命
最近新幹線に乗らなければいけない状況が続く。車中の読書は東海村jcoでおきたあの恐るべき臨界事故による被爆者大内さんの闘病83日間の記録。既に7年も経っているというのが信じられない。このドキュメントはNHKで放映されたものである。僕はたまたまその番組を見ていたのだが、また読みたくなってしまった。先日同じNHKの取材班が書いた「論文捏造」がとても面白かったせいもある。しかし何故か社会問題にはいつもあまり腹がたたない僕なのだが、この事件だけはどうしても許せない気がしていたというのが強い理由である。
被爆細胞は染色体が完全にbreakしていて細胞分裂をしない。この恐ろしい事実が何を意味するか。想像通りのことが肉体に発生する。皮膚が朽ちる、内臓が溶ける。この本のタイトルは『朽ちていった命』であるがまさにそのむごたらしさである。人間にこのようなことが起こるということはあってはならないことである。大内さんの妻と子の気持ちを思うといてもたってもいられない。車中叫びたくなるような心境であった。テレビよりはるかに訴えるものがあった。
原子力発電は最早国家事業なのであり、そうした国の根幹を支える事業における、人間の尊厳を損なうような可能性は資本の競争に晒してはいけないのではないだろうか?国家が責任を持って管理すことが必要なのではないだろうか?この件に関して裁判はjcoしか裁ききれないでいるが、国の体制を見直すきっかけになるべきことである。
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