分からない設計
10月16日
ビルの中の茶室の設計を頼まれた。伝統的なそれではなく現代的な茶室が欲しいようである。とりあえず大きさなどは決まったのだが材料が問題である。エコロジーの会社なのだからなるべく少ない材料であまり何もしないで作りたい、例えば布とか、、、シースルー茶室、、、、それじゃあ蚊帳か?
午後日本工業大学の小川先生を訪ねる。来年ワークショップをやろうかという相談。打ち合わせ後に小川先生の設計した日本工業大学の百周年記念図書館を見せてもらう。この建物は設計が終わったころにその設計プロセスを事務所でも信大でもレクチャーしてもらっており内容はよく知るところ。テトラポットの枝が一つ取れたような形をし、断面的な斜め線が様々なところに現れる。単に壁が斜めというだけではなく床や天井も斜めのところが多い。機能的には図書館であるが、一般的な図書館のイメージに比較すればもう少し学生の溜まり場としてのスペースが多く取られている。
この建物は不思議がところがいろいろある、ダブルスキンのようでダブルスキンではないところがある。図書館としての静寂さを作るための材料は殆ど使われてない(床、モルタル、或いは木、壁モルタル、天井ボードリシン)のだが、そんなに煩くない。構造を晒そうとするように見せかけ見えないところもある。などなど、いろいろなことが中途半端なのである。何故だかよく分からないのである。という話を小川さんにするとそういう風に設計したという。すなわち何故そうなっているのかその理由が分からないように設計しようとしたそうである。
こういうのをすごく大雑把に言うと演繹的でない設計というのだろうがどうも昨今この言葉は誉め言葉の常套句のようなので演繹的でなく何なのかを言わなければなるまい。あるいはだから何故いいのか悪いのか?なんて話を、実施設計と現場をまとめた繁昌さんを入れて北千住で延々と語り合った。
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