楽しみ
今朝はまた一段と寒い、8時に研究室に行き雑用を片付け、原稿校正のためにツォーニスの英文論考を読む。読みきらずデザイン論の講義。リーテム東京工場の話をして、最終レポートの書き方を教えデザイン論最終講義終了。昼食を軽くすませ、2年生の製図の講評会ゲストの日建の中村晃子さんと阪根事務所の阪根宏彦さんを正門で待つ。
二人には先ずレクチャーをしていただく。中村さんは現在手がけている日本橋ビルの設計のプロセスを語っていただいた。建築家にレクチャーを頼むと、優秀作をずらずら並べて終りというのが多いので、こうした基本計画から竣工までのプロセスを講義してもらうと大変勉強になる。阪根さんは香山アトリエを出て独立してから木材の勉強で現在は東大農学部の木質材料学科博士課程に在籍しながら自らのアトリエを主宰している。そこで木質系の建築の話をしてもらった。sdレビューに入選し、新建築の表紙を飾った二ノ宮のアトリエから現在設計中のプロポで選ばれた東大ファカルティセンター、香山先生と共同設計の和歌山の神殿など木構造が実に美しい。以前もこのブログで書いたが、彼は本当に才能ある建築家である。
講評会はなかなか面白かった。突出した作品がいくつか見られた。審査員3人で佳作4点、審査員賞3点、そして総合1、2、3位の3点。計10点を選出した。それくらい、捨てがたい作品が多かったということである。阪根さんも言っていたが、数人のやる気のある学生がいる年代というのはその周りに輪ができて全体を押し上げるという傾向が見られるものである。今年の2年生にはそういう兆候がある。これが3年になって下降せずに伸びていくことを願う。二人のゲストも言っていたが、この2年くらいで人生が決まる。
振り返って総合1位になった作品を見ると、3人異口同音に一番いいという評価であった。その理由を考えてみると、どうもデザインをデヴェロップする能力にあると思われる。いい着想というのは2年生くらいだとビギナーズラックのような形で現れることがよくある。ちょっと見た雑誌の作品がたまたま課題の条件に上手くはまるというようなことがある。しかし2年生くらいだとそれを自分なりに消化しながらレベルアップできないものである。なぜかと言うと、改善すべき場所を見つける力がないからである。下手に触るとデザインは悪くなる。しかるに、この作品は実務で言えば基本設計レベルのデヴェロップができているということなのである。今後どう育っていくか楽しみである。
学生との学食での懇親会に顔を出し、駅前に行き、うちの部屋の院生とゲスト二人と食事。最終で東京へ。
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