60年代の東京
写真池田信『1960年代の東京』p112、毎日新聞社2008
毎日新聞社が出している『1960年代の東京』2008を眺めながら、その古びた東京に驚く。しかしこの驚きは、こうした風景がまるっきり過去のものではなく、確実に見たことがあるという確信があるからこそ生まれるものなのだと思うに至った。上の写真は渋谷駅である。1961年撮影だから、僕が2歳の時である。渋谷に最初に行ったのは多分東急文化会館にプラネタリウムを見に行った時で小学校の1年頃だった。そのとき渋谷がこういう風景だったかどうかそれは分からないが、そうかけ離れてはいなかっただろう。この写真集の解説を書いている松山巌がこう言う「不思議だ。六〇年代の東京が、これほど静かで落ち着きがあり、奥行きや深さをもっていたとは、、、、、。」この言葉はまったく同感である。写真を見ながらどれも既視感があるのだが、自分の記憶と少し違う。それは静けさなのである。自分の記憶は騒がしい、写真の風景は妙に静けさが漂っている。それは記憶と写真の違いなのか、記憶自体が変容してしまっているのか、それはよく分からないのだが。
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