目から鱗
8月20日
キマドという木サッシュメーカーと打ち合わせをして目から鱗が落ちた。巨大サッシュの見つけ寸法が軒並み60位なのだ。巨大というのはたとえばh=2700、w=3500くらいで可動のものだ。こんなサッシュはアルミだってかなり頑張らなければできないし。ましてその見つけ寸法を60くらいに抑えるのは至難の業。なんでそうなのか?鉄芯でもはいってるのかと思ったら、障子の剛性をガラス自体でとっているからだそうだ。これはその昔キャナルシティの巨大ステンレス自動ドアを作る時に日建の横田さんに教えてもらった考え方である「ドアの剛性を枠でとろうと思ったらとんでもなく無骨になる。枠はガラスの端部補強と思いなさい」。そんな考え方を木に応用したとはすばらしい。
夜青山学院大學で建築を教えていらっしゃる黒石いずみさんが来所。黒石さんは香山研で青木さんや花田さんの同級生。ペン大でディヴィッド・レザボローの教えを受け彼の著書『時間の中の建築』を翻訳をされた。そしてペンでなんと今和次郎について博士論文を書いたとか。博学の人である。今彼女は青学でワークショップを企画されている。内容は10月末から11月初めにかけて、ロンドン大学バートレット校のイアン・ボーデンとバーバラ・ペナーを東京に招きワークショップやシンポジウムを行う。そのシンポジウムに今村さんや五十嵐さんとともに出席できないかという依頼で来所されたわけである。デザイナーでありセオリスト、そして所属が文学部ということもあり。視点が多角的。会話が尽きない。シンポジウムへの出席をお約束する。
最終アサマで長野に。大友さんの『music』を読み終える。建築は時間を考えるべきだし、音楽は空間を思考しないといけないという言葉が印象的である。PAという言葉がある。音響機械だと思っていたがこれはpublic addressの略だと初めて知った。しかもこの概念はヒトラーの言葉を大衆に伝える音響の意味として使われたとか。原義がとても政治的であり、それは音による空間の支配だったわけだ。音ととはおしなべて空間の支配であると大友はいう。なるほどである。
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