雲門(cloug gate)
早朝2時間仮眠、コンペ最後の印刷物に目を通し大学へ。鞄に入っていた週刊新潮の書評におもろい本を発見。斎藤由香、北杜夫『パパは楽しい躁うつ病』朝日新聞出版2009。早速東京駅の本屋で買ってアサマに飛び乗る。斎藤由香は週刊新潮に「トホホな朝ウフフの夜」という連載を持っている自称窓際OL。ただのOLのコラムにしてはかなり長く続くと感心していたのだが、、、北杜夫の娘とは知らなかった。この親子は相当仲良し。父が躁鬱になろうと娘はそうした父をまるごと引き受けている。なかなか素敵である。最後に、北杜夫の兄、精神科医齋藤茂太の言葉が語られる。「僕の病院に来る患者さんはみんな120%頑張った患者さん・・・60%で満足するかどうかが幸せな気持ちを充足するんですよ」確かにね。私のそばにも60%の人がいる。自称天才のこの人は努力と言う言葉を知らない。私に向って「努力型のあなたは偉いが、体を壊す」と警告する。こういう人がそばにいてくれてほっとする。週刊新潮では福田和也の時評もよく読むがこの号では『R25の作り方』が取り上げられている。しかし読んだらほとんど内容紹介。これなら僕のブログと大差ない。もうちょっと辛口で行っていただかないと福田ではない。手を抜くな。
大学で会議その他雑事を済ましてアサマに。Cpuを開くと学内gp採用のメール。ほっとする。睡眠不足の時に限って電車で眠れない。竹田青嗣『人間の未来』ちくま新書2009を読む。哲学でも読めば眠れるかと思いきやどんどん目が冴える。不思議なものである。東京に着いてオーチャードホールへ。台湾のダンスカンパニークラウド・ゲイト(cloud gate)を見る。マース・カニングハムらに師事した台湾の天才的振付師リン・ファイミン率いるカンパニーである。ダンサーに書道をやらせその呼吸を身につけさせているというだけあってタイミングが絶妙だ。しかし今日はあることを思った。久しぶりのダンスだから仕方ないのだが、かつて見たどれかとあまり区別がつかないということに気づいた。それは振り付けの言葉を知らないからなのだと思った。動きをネーミングして記憶できないでいるから動きの差を識別できないのである。僕らはだいたい、音楽でも絵でもまあもちろん建築でも技法をあるいは表現のヴォキャブラリーを言語として知っている。ダンスと同じ体を動かすことなら例えば運動を考えてみればいい。シュート、トラップ、パスなどやはり動きに名前が付いて言葉によって分類し、記憶している。ところがダンスは分からない、足を上げる、手を回す、首を振る、程度の識別だ。これでは微差は認識できない。今月はあと二つダンスを見るので、名前なしで何とか動きを比較できるようになれるかもしれないが。
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