乱読
大学に勤めるようになってすっかり運動不足になっている。運動をしないとフィジイカルに体がダメになるとともにメンタルにも弱くなる。脳みそだけでも勝負力を維持したいと林成之『<勝負脳>の鍛え方』講談社現代新書2006を読む。人間の体が動く原理は反射神経と運動神経だけではなく、記憶と体の動きのシミュレーションとそのイメージづくりによるところが大きいことがよくわかった。その昔スキーの回転で旗の位置を全部覚え自分の滑りを頭の中で作っていたことを思い出した。
最近多量に買いだめした新書、文庫を乱読している。丸谷才一『思考のレッスン』文春文庫2002を読む。 ・昨今の批評では文章スタイル、趣味について論じたものがないということを嘆く。なるほどそんなことをおっしゃる人がまだいるのだとびっくり。 ・丸谷が最も影響を受けた3人は、バフチン、中村真一郎、山崎正和だという。人の尊敬する人を聞くとなんとなくその人が分かるようで面白い。丸谷は山崎をこう評する。あれだけ理路整然と周到に文学を語る人間は、文学を分からない場合が多いのだが彼は文学的感受性が豊かである。なるほど、数多くいる評論家と名のつくような人間で山崎は実に分かりやすいしいつも瑞々しい。 ・思考するためには読書せよ、しかし面白くないと思ったら読むなという。では何を読むべきか?偉い学者の薄い本を読めと言う。逆に偉くない学者の厚い本は時間の無駄。確かに確立的には正しそうだ。また好きな書評家を持てと言う。僕も新聞の何人かの書評家が評価する本はすぐに買うことにしている。そしてだいたいあたる。また時間がある時は本を読むなという。本は時間がない時に知識を詰め込むための道具であり、まとまった時間が取れるときは考えろという。考えて何をするべきかを決めていく。そうするとまた何を読むべきかが生まれると言う。確かにそれは正しい。この本の一番の教えはそれである。午後来客。
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