生成
朝9時に新宿南口で日建の先輩だったTさんに会い特急あずさに乗り途中下車。初めて降りる町である。この町出身のTさんは日建をやめて独立し、社会福祉法人の理事長をする高校の先輩Kさんから養護施設や保育所などの仕事を依頼された。全部で5つほどの施設をこの地に、そしてその関係で神奈川、九州にも同様の施設を設計することになった。この手の施設はその昔はパノプティコンだったそうだ。それがKさんの、「小規模化、個別化、地域化」という独創的な考えのものとにTさんが新たなビルディングタイプを作ってきた。そしてこのKさんがさらに新たなモデル設計をTさんに頼んだのだが、大病を患った彼は体力的に無理という理由で私を紹介することとなった。Kさんに10時半にお会いする。彼はこの手の施設の現状や国の無策、子供の成長について極めて明快にそして科学的にとうとうと語ってくれた。昼を食べ、皆で、Tさんの建てた建物を車で一件一件回る。Kさんはよくできているところ悪いところなどを丁寧に説明してくれた。昨年まで大学の教員もされていただけあって説明が論理的かつ魅力的。一日話を聞いていて飽きることがない。なるほどパノプティコンを否定して建っている建物は住宅のようである。at homeなことがかなり重要。そしてこの次に建てるのは4~5棟の分棟の施設群。国道沿いの細長い敷地に成長する建築を作らなければならない。まさに昨日見たアアルトの生成感が求められそうである。
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