記憶
朝方のあずさで松本へ向かう。車中池谷裕二『単純な脳複雑な「私」』朝日出版社2009を読む。以前少し読んであまり興が乗らなかったのだが、最近心理系の本を読んだところだったので興味再開。著者は薬学部で脳の研究をしている方。脳の中でも記憶が専門。この記憶の話が滅茶苦茶面白い。人間の記憶がいかに当てにならないかが書かれている。当てにならない理由の根源は、人間が意識上に上ることだけを覚えているのではなく、意識下のことも覚えているという点にある。それって恐ろしくないだろうか?僕があることに対して何を感じようと、無意識というもう一人の僕がいて、それがその現象を勝手に意識下で記憶して、ある日突然意識上の僕の上にその記憶を送り出してくるのだ。そして何よりも一番恐ろしいのは、意識上の僕はそのことに気づいていないという点である。
まあそんなことが書かれるこの本の中に「直感」のことが書かれている。直感とは理由なき勘のようなものではない。僕が直感で何かを選ぶような場合、それは僕が僕の人生経験の中で培ったものに基づいて無意識化で計算し尽くしたうえに選ばれた極めて論理的(かどうかは別にして)な思考の結果なのである。ただそれが意識されていないというだけのこと。さてこういう直感力がつくのが40くらいだそうで、それを論語では40にして惑わずと言ったと書かれている。30にして立ち(そう言えばその頃結婚した)40にして惑わず(確かにその頃直感的に独立した)50にして天命を知る。(さて今年はその年なのだが今のところ天命には出会えていない)。松本で年に一回の1年生への講義。終わって長野へ、研究室で科研資料の最後のチェックなどなど、、、、明日早朝また松本行くなら今日は松本に泊まれば良かったか???
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