駒ヶ根市
長野県の駒ヶ根に北陸建築文化賞の現地審査に行った。東京から4時間かかる。長野は広い。駒ヶ根市は長野市よりはるかに東京に近いのだ時間は倍かかる。緯度で言えば甲府あたりなのだが、甲府から西に向かうと南アルプスにぶつかる。だから甲府から更に北へ北へ岡谷まで行き、そこから飯田線で南下する。中央アルプスのふもとである。駅で学会北陸支部のKさんと会い一休みして審査対象の施設に向かう。施設は県が作って社会福祉法人が運営している。僕も社会福祉法人の設計をやり始めているので、設計上の難しさや運営其の他いろい大変であることを少しは知っている。それをくぐりぬけよくできているなと感心した。4時間もかけて行くのはつらいと思っていたが、来てみると来てよかったと感じた。
じっくり見せてもらったので帰りは遅くなった。加えて強風で徐行運転。東京へ着いたのはかなり遅くなった。車中内田氏の『日本辺境論』を読み続けた。読み進むとなかなか複雑な気持ちにさせられた。昨日はあまり面白くないようなことを書いたが、確かに読み続けてもわくわくするような楽しさはない。でも考えさせられるというのは、こういう本を読んでもわくわくしない僕の鈍感さについてである。日本辺境とは日本は田舎の劣った国だと言っているようなものなのだが、それに対して「そうだね」とも「いや違う」ともそういう感情が全く湧かないのである。これは歴史音痴の典型なのかもしれない。しかしどうも僕には分厚い『昭和史』2巻を読んだ後も、『それでも日本人は「戦争」を選んだ』を読んだ時も面白いテレビドラマを見ているような感覚は起こるのだが、それが自分の国民としてのアイデンティティと連なるものとして見えてこないのである。いや責任逃れをするつもりはないし、むしろ政治的には戦争問題は積極的に頭を下げるべきだというのが僕のポジションだが、それと、自分のアイデンティティは全く別の問題であると感じてしまうのである。あまりうかつなことは言えないが、自分の中に一つの場所や都市や国という枠がはまることをリアルに受け取れないのである。
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