安藤忠雄の竜王駅
さて今日は甲府遠征。車中の原稿打ちも次の章に進もうと思う。ジョナサン・クレーリーの『観察者の系譜』をカバンに入れて家を出る。思い出すように車内で読む。これが面白い本である。視覚の変容においてカメラ・オブスキュラの静的な視点からフェナキスティスコープやゾートロープ(と言っても想像もつかないかもしれないが)の動的な映像を生む器具の発明への技術的な変化が例示される。ここに映像の時間性が入り込む。一方視覚はニュートン的な物理的な解明からゲーテ的な生理学的な(人間の脳みそが映像を変換する)解明へと進み。さらにショーペンハウエルの極めて過激な発言――視覚とは脳みそが作り出すものであって、客観的な実体とは関係が無い――へと進む。これは極論だが面白い。そしてこちらも物理的な瞬間性から、脳みそ内での変容を生む時間が問題視される。映像を作る技術と受け取る器官の双方に現れる時間が問題となる。視覚の本はさんざん読んで知識が頭の中で断片化されているのだが繋がっていない。思い出すように読み始めるとこれらが何となく繋がる(予定)。一週間くらい昔の本を読み返すとストーリーの輪郭ができるだろう。なんて思っているうちに甲府。午前中甲府で打ち合わせ。パワーランチをいただき、竜王市役所に行って道路の確認をしてから安藤忠雄設計の竜王駅に行く。いやーこれはちょっと。という安藤設計を見ながら塩山へ向かう。こちらはだんだん細かな設計に入り込む。子供がどうやって靴を脱ぐかとか、幼児がどこでパンツを脱ぐかとか、クライアントも経験と想像を交えながら判断するので時間がかかる。気が付いたら7時。またあわてて車を飛ばし駅へ送ってもらいあずさに飛び乗る。毎週水曜日の甲府遠征がルーチン化してきた。
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