感応する空間
yellow room by ofda 2008
朝から学科会議。11時ころ終り午後の講義のテクストを読む。『言葉と建築』のフレキシビリティ。GW明けの最初の授業は久しぶりで楽しいような、疲れるような。その後ゼミ。今日はワトキンの『モラリティと建築』。五十嵐さんがこの本を読んで建築史を相対化できたとどこかに書いていたような気がするが、正にこの本をバンハムの次に読ませているのはそういう意図からである。歴史は一つの虚構であり、その数は限りなくある。ゼミ後の1時間設計はベンチューリの母の家を題材に、母の家を改造して別のメタファーを作れと言うもの。母の家は言わずと知れたブロークン・ぺディメントである。そして意図的に表層的である。そこでもっと日本人にも通用するメタファーで3次元的な空間を作れという課題を出してみた。1時間後スケッチが届く。「メタファー」なんてなんだかポストモダン時代に逆戻りしたような課題だが、80年代のメタファーとは異なるもっと空間的感応的メタファーを期待した。すると、なかなかそれに応える解答がある。ちょっと嬉しい。なんでこんな課題を思いついたかというと、もちろん相手がヴェンチューリだということはある。装飾を研究テーマとしているということもある。しかしそれに加えて、先日頂いたおはがきにも影響されている。それは拙著『フレームとしての建築』を謹呈した桐敷慎次郎先生から頂いたものである。先生は拙著をご覧になられ、あの中で一番興味深いのはyellow roomhttp://www.ofda.jp/sakaushi/works/type/06other/03/index.html#であり、今後もっと装飾の研究をすればよいとしたためられていた。yellow roomは文字通り黄色い部屋(茶室)なのだが、5色の黄色を塗り分けて人間の色彩知覚の閾値に挑むような作品なのである。桐敷先生の言葉は短くその真意は計りしれぬが、あの感応的な空間に興味を示してくださったことが嬉しく、そうした空間の可能性を探りたい気になってきたところである。そこで今回の課題もあまり理性的なものではなく、感覚で分かり作るということを考えてみたのである。
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