上野千鶴子のエッセイほろ苦い
一日事務所で荒さがし、構造からも設備からも調整項目が続々と送られて来る。電気の容量問題がどうしても解決しない。困ったなあ。高圧受電にならぬようあれやこれややっているのだが、IHが多すぎてどうにも納まらない。施主と電話で相談。
夜上野千鶴子の新刊『ひとりの午後に』日本放送出版協会2010を読む。おっと発行日が4月25日(my birthday)である(なんていうことはどうでもいい)。この本はフェミニスト上野の闘争的な本ではない。上野の数少ない(というか僕は見たことも読んだこともない)イデオロギーを感じさせないエッセイ集である。それも、NHK出版が彼女に書きおろしをお願いするために、「おしゃれ工房」なるNHKの女性向けモノづくり番組のテキストブックに連載をさせてそれをまとめた本である。「おしゃれ」などというフェミニストが最も嫌いそうなタイトルを冠した雑誌に上野が連載したこと自体驚きだが、その内容はそれ以上である。
あとがきで上野はこう言っている「私は研究者だから『考えたことは売りますが、感じたことは売りません』とこれまで言ってきた。・・・・・この本の中でわたしは禁をおかして感じたことを語り過ぎたかもしれない。・・・・札付きのフェミニストとしての上野など知らず、予断も偏見もないだろう『おしゃれ工房』の読者との出会いも、しあわせだったと思う」この言葉もなんとも上野らしくない優しさに満ちている。
今まで彼女の「考えた」ことを書いた書物は多く読んできた。それはそれでもちろん面白かった。しかし「感じたこと」はそれにも増して素敵である。人間ってこういう幾つかの側面が見えてくると魅力が増すものである。
読んでみようっと。すばらしい書評をありがとうございました。
はいお薦めです。