柳澤潤のえんぱーく
朝8時からゼミ。9人発表すると聞いていたのだが蓋を開けたら5人。そのせいか何となくのどか。学生が少ないといいなあ。11時ごろ車2台に分乗して先ず松本へ向かう。数十年ぶりに浮世絵美術館に立ち寄る。外部は変わらないが内装がかなり傷んでいた。民間美術館の限界か?また見た印象もかなり変わった。当時の強烈なフォルムの印象がなくなった。もっと強烈なフォルムに目が慣れてしまったからかもしれない。松本から塩尻へ。柳澤潤氏のえんぱーくの見学会。寺内、石黒、萩原、鈴木明さん、長尾重武さん、伊東事務所の東さんなどなどいろいろな人に会う。この建物は山本理顕さん、高橋晶子さん達とコンペ審査員をした建物だし、長野にあるし、工事中も見にきたし、自分の設計ではないけれど、その一部始終をよく知っている。その上コンペを立ち上げるころから市役所の藤森さんやいまこの建物のセンター長になっている田中さんからはその期待を聞いてきた。曰く「この建物が空洞化する中心市街地活性化の起爆剤になって欲しい、人が来て欲しい、ポンピドーセンターのような画期的な建物が欲しい」。というわけで今日来て見て沢山の人が所狭しとイスや机の周りで何かしていて、この建物の最も特徴的な壁柱(片面鉄板)に磁石でいろいろなものが貼られ、市民の場所ができていたのを見て思わず藤森さんに「よかったねええ!!!!」と言ってしまった。人の建物を見てこれほど嬉しくなったことも無い。そんな気持ちが湧いて来た自分に驚いた。建物のソフトを考えた常世田さんという画期的な図書館のプロがいて、コンペのソフトを作るのに骨身を惜しまない市役所の人と審査員がいて、そして最高の設計者が選ばれた、見事な組み合わせだったということすべてが嬉しさの原因ではあるのだが、でもやはり建築に感激した。人が来るか来ないかなんてソフトの問題だとよく思う。もちろんこの建物もソフトがいいのである。しかしそれだけではない。ハードがそれを上回る人の場所を作っている。そう思えた建築だった。
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