ヤクザにも歴史あり
午前中事務所で打ち合わせ。午後一のアサマで大学へ。教員会議を終えてからゼミ。この時期のゼミは精神衛生上よくない。誤訳だらけの難解な哲学書を読まされるような状態である。自分もかつてこうだったのだとすれば先生には謝罪したい。
夜のアサマで帰京。車中『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年―』を読み続ける。山口組の歴史は神戸に出て仲士を始めた淡路島出身の山口春吉(一代目)に始まる。仲士に必要な連帯感と体力に長けた彼はあっという間に仲士のボスに見込まれた。そもそも仲士の仕事は義理と人情が不可欠でありヤクザの世界と密接に結びついていた。よって春吉も必然的にその世界に入っていったわけである。それからはまさに、あれよあれよと山口組の日本制覇が始まるが、しかし、忘れてはならないのは山口組とて日本の底辺労働者の構成要素であったということ。彼らが下層労働者の階級闘争の一翼をも担っていたこと。加えて無法状態に近い日本の戦後の警察力を補強もしていたこと。などなど。つまり民衆の側にも権力の側にもつきながら社会の誰もやれないできないことを担っていたのがヤクザだったということだ。もちろんここに書かれていることの裏をとるなんていう芸当はできないけれど、宮崎学の血統からしてこの内容の概略は間違っていない。やはり歴史は知っていないとまずいな。今起こっていることには皆歴史ありということだ。表層だけ見て騒ぐのは余りに愚か。
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