丹下健三こそ批判的地域主義
とある理由から丹下健三の分厚い本を読んでいる。読みながら丹下さんの往年の名作の写真をまじまじと見る。そしてツォーニス&ルフェーブルが丹下さんを批判的地域主義者としてととりあげたのは的を射ていると感ずる。
フランプトンは批判的地域主義の定義として
・普遍性と個別性のあいだの弁証法的プロセス
・啓蒙主義的進歩の神話からもノスタルジックな過去へ回帰する反動からも距離を置く
・視覚優位からの解放と触覚の重視
・キッチュに陥らない反中心主義的地域主義
というような言い方をしているのだが一言で言いかえれば「グローバリズムとローカリズムの中庸を行け」ということである。これを建築的に言いかえれば「ローカルヴォキャブラリーを徹底して抽象化して用いよ」と言うことにでもなろう。とすれば丹下さんの梁と柱のRC(あるいは都庁のような鉄骨の)デザインはまさに日本というローカルの抽象化の極みである。この抽象度は現在で言えば伊東豊雄のトッヅビルと言ってもいい(伊東さんのは表参道ケヤキの抽象化と少々スケールは小さいものの)。
きっと香川県庁舎などが出来た時の鮮烈な印象はトッヅを凌ぐものであったに違いない。
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